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第31話 まさかの三つ巴!?

月曜日から不定期更新になります。

スミマセン(´ ; ω ;`)

「……イイネ、イイヨ、スゴく良い。私をどれだけ愉しませてくれるの? アハッ、アハハハハハハハハハハハハ!!!」



 イディスは魔法陣の正体が自分を攻撃する為のものと理解し歓喜といったような表情を浮かべる。



 そして、歪んだ口元から再び甲高い狂ったような笑い声が闘技場に響き渡る。



 ティファールは指を鳴らした手をゆっくりと下げ、ニヒルな笑みを浮かべながら口を開いた。



「まずは100程度で様子見かしら。ふふふっ……そろそろ黙りましょうか……(つるぎ)達よ、殺れ」



 ティファールが叫んだ瞬間、巨大な黒い魔法陣から出てきた千本の闇色に染まった剣の内、百がイディスに刃を向け、一斉に凄まじい速度で襲いかかる。



 百の剣をイディスに向かって飛ばした直後、轟音が鼓膜が破れんばかりに鳴り響く。

 ティファールの攻撃によってイディスを支えていた地面が、轟音と共に陥没し、砂煙が巻き上がる。



 ティファールは、死んじゃった? と小さく呟きながら砂煙を見つめる。



 数秒経つと、彼女の魔族特有である赤色の双眸にゆっくりと立ち上がる人影が一つ映る。

 まさか、と目を少し大きく見開きながら人影を凝視すると、歪んだ笑みを浮かべながら立ち上がろうとする全身血だらけの変態が一人。



 イディスは手や足などに何本か対処しきれなかった闇色に染まった剣が刺さっていたが、刺さった剣を痛みで顔を一切歪める事無く、笑いながら次々と抜いていく。



 イディスがぶつぶつと口を動かしながら、何かを呟いているのが見え、つい耳を傾けてしまったティファールは直ぐに後悔した。



「……アハッ……アハハハッ………痛い、痛い、痛い、痛い……だけどそれよりも気持ちいぃ……アハッ、アハハハハハハハハハハハハ!!!! 嬉しいなぁぁぁぁ!!! 愉しいなぁぁぁぁぁ!!!」



 イディスは全身から血を流しながら歓喜に震える桜色の唇を開き、叫びながら立ち上がる。



 喜びに打ち震えるイディスを見てティファールは心底嫌そうな顔をしながら慌てて残りの九百の剣を一斉にイディスへと放った。



「き、気持ち悪い………さ、さっさと死になさい!!」



 再び剣を放った事で先程よりも大きな轟音が鳴り響く。

 そしてイディスが先程いた場所には大きなクレーターが出来上がっていた。



 だが、イディスは砂煙が巻き上がる中尚、立ち上がる。



「アハハハハゴホッ……ハァハァハァ……キヒッ…エヘヘヘヘヘヘハハハハハハハハ!!!! 最ッッ高に気持ち良いィィィ!!!」



 血をゴポリと吐きながらも笑みを絶やす事なくゾンビのように立ち上がる。

 ごほごほと咳き込みながらもわめき散らすイディスを見てティファールは泣きそうな顔をしながら、俺に向かって言葉を発する。



「ひぃっ…………もう嫌……伊織!!! 代わって!! 助けて!!! こいつ気持ち悪い!!!」



「ティファはジョークが上手いなぁ。俺にその変態の相手をしろと? 笑えます」



 俺は観客席で座りながらニッコリと笑って拒否をした。



 いやいやいや、あんな変態の相手とか無理だって!

 自分の蒔いた種は自分で刈り取ろうよ!!



 俺は一瞬の迷い無く拒否をしたが、そんな言葉は知らんと言わんばかりに俺のいる場所へと一直線に向かってくる。



「……ティファールさん? なんでこっち向かってきてんの? 敵はあっちだよ? ねぇ、冗談キツイよ?」



 俺は額に汗を滴ながらイディスのいる場所を指差す。

 ティファールが俺に向かっているという事はイディス(変態)もこっちに向かってくるわけで。



 うっそぉぉぉぉぉん。ちょ、まじ!? 俺に何か恨みでもあんの? ……そういやイディスとの戦いの前に俺に対してキレてたわ………ちっくしょぉぉぉぉ!!



 イディスが俺のいる場所へと向かって来ていたので俺の近くにいた野次馬達は避難しようと逃げ始める。

 逃げようとする野次馬達に便乗してトサカ頭も逃げようとするが、俺がトサカ頭の肩をガシッと掴んで逃げる事を許さない。



 テメーは逃がさねぇよ!!



「ちょーっと待とうか!! 置いてきぼりにするなよ!! 顔見知りだろ? な? な?」



 ここで決して嘘でも友達だろ? とは言わない。これぞ伊織クオリティ。



「っ!? おっ、おい!! 離せっ!! 生け贄はお前一人で良いだろうがっ!! 俺を巻き込むな!!」



 トサカ頭は必死で俺の手から逃れようとするが、俺の手が離れる事は無い。

 生け贄は一人? そうだな!! 確かにトサカ頭一人で十分だ!! さぁ、俺の肉壁となれやトサカ頭ァァァァ!!



 俺はトサカ頭を肉壁にしようと自分の前に力ずくで連れていこうとした瞬間、トサカ頭の体が光に包まれ、肩をがっしりと掴んでいたはずのトサカ頭が俺の前から消え失せる。そして俺の5m程後方に姿を現した。



「くくくっ、俺を肉壁にしようなんざ3年はぇぇよ!! これは光魔法の応用だっ!! 精々、神にでも祈るんだな!!」



 トサカ頭はそう言って中指を立てながら俺から逃げるように去っていく。

 3年ってやけにリアルだな!!

 神に祈る? 神ってあのケバかった女神の事か? …………ジーザス!!



 トサカ頭とのそんな会話をしている間にティファールとイディスはもう目の前まで迫って来ていたので、俺は諦めて腰に下げていた二本の刀を抜き、イディスと相対する事になった。



「さ、流石伊織!! 何だかんだ言っても代わってくれるって信じてたわ!! じゃ、この変態お願いね!!」



 そう言ってティファールは俺にイディス(変態)を擦り付けて逃げた。



「アハァ♪ 今度は新人君が相手なのぉ? ヨロシクねぇ? ウフフフ、アハッ、アハハハハハハハハハハ!!!」



 相変わらずの甲高い狂った様な笑い声を出しながら、振りかざしていた右手に持った得物(ファルカタ)を俺の頭目掛けて振り下ろす。

 俺は右手に持った得物(八咫烏)を盾として使い、イディスの攻撃を危な気なく防ぐ。



 甲高い金属音が響き渡る。



「ちょ、待って!! まず冷静に、落ち着いて「殺し合いぃぃぃぃ!! アハハハハハハ!!!」違うっ!! 殺し合いじゃない!! 落ち着いて殺し合わないよ!!」



 くそぅ、駄目だ。話が通じねぇ……どうする、どうする……



 俺は変態を落ち着かせる方法を考えながらもイディスの攻撃を受け流したり、避けたりと軽くいなしていく。

 途中、画期的とも思える閃きがふっ、と頭の中に浮かび上がる。



(はっ!! 妙案思い付いたぞ!! このエルフは戦闘狂だから俺が戦えないと分かると俺から興味失うんじゃね!? 例えば死んだフリとか!! 俺の迫真の演技ならいける筈だ!! よし、この案でいこう。流石俺!!)



 そう思いながらイディスの連撃を巧み応対していると急にイディスが喋りかけてきた。



「アハハハハハハハハハハ!!! 新人くぅん? 何か作戦考えていたみたいだったけれど途中からだだ漏れだったよぉ? エヘヘヘヘヘヘアハハハハハ!!!!」



「なん……だと!? 一体どの辺からだ……」



 俺は驚愕の表情を浮かべ、イディスの攻撃に対して防御に徹しながらも訊ねた。



「うぅん? 『はっ!!』の部分からだよぉ? アハハハハハ!!! 斬り合いは愉しいねぇぇぇぇ!!!」



「それ冒頭部分んんんんっ!!」



 ツッコミを入れた直後、後ろに跳躍して距離を取ってから口を再度開く。



「あのね、イディスさん。俺って実は(殺人)童貞なのよ。悪人なら話は別だが、悪人じゃないなら、たとえ相手がどんな変態だろうと殺せないわけよ!! 俺ってビビりだから!! だからさ……勘弁してくださいっ!!!」



 イディスは、俺の言葉に面食らってポカンと一瞬だけするが、すぐに唇を吊り上げて笑い始める。



「………へ? …………アハッ、アハハハハハ!!! ならさぁ……私で捨てちゃおうか!!! (殺人)童貞を。アハハハハハ!!!」



 そしてイディスが(殺人)童貞と言った瞬間に唐突に事態が動く。



「っ!?」



 俺は全身を埋め尽くす悪寒を感じ取り、斜め前へと飛び移る。

 飛び移った後、先程まで自分のいた場所を見るとそこには闇色に染まった剣(、、、、、、、、)が数十本刺さっていた。




 どこから剣が!? と思い、周囲を見渡すとそこには




 ―――――闇色に染まった剣を大量にスタンバイさせて、ブチギレていたティファールさんが。




 ……………勘弁してくれ………



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