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第3話 リフィアの現在

 2度目となる謎の光に包まれた後、意識を取り戻したばかりだった為か、視界は霞みがかっていたが、俺の双眸にはハッキリと見えていた……




 ――――――本当の女神が。



 肩よりも少し長く伸ばし、ウェーブのかかったサラサラとした銀色の髪。

 そして透き通るような銀色の目に大き過ぎず、小さ過ぎない双丘。



 そして何といってもあの白銀の鎧……騎士甲冑を着た女性は女騎士とか呼ばれているのだろうか。



 神々しいオーラを発していた目の前の女性を見た俺はいつの間にか手を合わせて先程まで会話をしていたリフィアの悪態を心の中で吐きながら拝んでいた。だが、瞑目はせずに目に焼き付けようと刮目していた。



 まさかこの目で拝む日が来るとは……あぁ神よ。ここに居たのですね、本当の女神が。



 ていうかマジであの女神にこの名前不明の女神? の爪の垢を飲んでほしいよ。

ほんと、どこの世界にあんなケバい女神居るんだっての………あ、この世界に居ましたわ。まあ、デレた時はなんだかんだ言って可愛かったんだが。デレが可愛かったからデレデレ女神と今後は呼ぼう。良かったな、クソから昇格したぞ。



 俺達の居る場所周辺にだけ、変な模様が床に描かれていた大広間を見回すと、まだ意識を自分以外全員取り戻しておらず、横たわっていた。



 俺が意識を取り戻した事に銀髪女神が気付く気配は一切なく、騎士と思しき人間と部屋の端辺りで俺達に背を向けた状態で話をしていた。



 たまにチラッと見える横顔がたまりませんなぁ。



 周りの状況から察するに普通ならまだ目覚めないのだろう。

 要するに、デレデレ女神に担当された俺はイレギュラーだったって事だ。



 せっかくの異世界、そして時は金なり、なんて言葉もある事だ。

 デレデレ女神が別れ際に新しいスキルが……と言っていた気もしなくも無いので早速確認して時間を潰しておくか、と思い行動に移った。



ステータス

鷺ノ宮 伊織 17歳

レベル1 種族 人間

hp 100/100

mp 500/500

筋力 100

耐性 100

敏捷 100

魔力 100

魔耐 1000

幸運 10


スキル 刀術 英霊憑依 身体強化 錬金術 空間魔法 氷魔法 死中求活 吸血鬼化 料理 全言語理解 鑑定 偽装


称号 異世界に召喚されし者 女神を妻に持つ者 英霊に愛されし者




………………………ふぁッ!?



 ステータスを確認した俺はよく分からない称号が増えていた事で顔を強張らせてしまう。見間違いかと思い、何度も目を擦るが自身だけ見えるホログラフィーのような文字は俺の願いとは裏腹に存在している。伊達だったが、胸ポケットに入れていた眼鏡をかけても見える文字は変わらない。



 ちょっと待て。スキルが増えたのは分かる。

 称号が異世界に召喚されし者に少々変わっているのも分かる。 

 だが…………女神を妻に持つ者、は可笑しいだろ!!



 もしかして、この称号を知っていたからあのデレデレ女神は「愛しの旦那様」とかなんとかーって言っていたのか!? 嘘だろ………向こうは完全に受け入れてたし、撤回は……無理か? ……いや、いけるか?



 ま、ここにデレデレ女神は居ない。……よし、今決めた。今日から俺の座右の銘は『明日でも考えれるなら今日は考えない!!』だ。我ながら素晴らしい座右の銘だ……あれ? これって現実逃避と同義じゃね? ま、いっか。




 思い付いた言葉に陶酔したりしながらも、まだ一度も使用していなかった魔法を使おうと試みる。



 気を取り直して……こういう異世界系の小説ってアイテムボックスを登場人物達は例外無く使ってたんだよなぁ。空間魔法で代用……いけるか!?



 俺は家具など何も無いただの空き部屋を思い浮かべる。

 すると、右手辺りに例えるなら次元のヒビといってもいいような亀裂が空間に生じる。それを確認した俺は心の中で喝采を上げた。



 あれ!? これ成功じゃね?



 空間に出来たヒビに、恐る恐る手を突っ込んでみるとヒビの先にある空間の中が頭に映像のように浮かんでくる。もはやテンションは最高潮である。



 おお~!! あれ? この世界、超楽なんじゃ……はっ!! もしかして俺、異世界チーレムしちゃうの!? 沢山の女の子から、ちやほやされちゃうの!?

 ……コミュ障にハーレムは無理だったわ。



 人知れず、思い浮かべた野望が一瞬で砕け散ったが、俺のアイテムボックス? に怪しげな封筒が1つ、何故か入っていた。不審に思った俺は手に取ろうとするが、何故かあと少しという所で手を止めてしまった。



 誰が入れたのかは知らないが、この封筒はヤバイと俺の危険察知センサーが大音量でサイレンをガンガン鳴らしていた。慎重さが売りの俺は、伸ばしていた腕をゆっくりと封筒から遠ざけようとヒビから手を引いていく。これで万事解決だ。と思ったが、そうは問屋が卸さなかった。



 封筒には「お前のPCの風景フォルダの中の画像をばらまかれたくなければ読め」と記載されている事を見てしまった。



 …………は!? おいおいおい、なんで俺の2年掛けて溜めた秘蔵の画像を詰め込んだフォルダの名前知ってんだよ…………え、マジ? そんな事されたら俺、また引きこもっちゃうよ?



 ……俺がこんな脅しで屈するとでも? ……はい、普通に屈します。良かったな、俺が豆腐メンタルで。



 相手は一応……そう、一応女神なんだ。名前にちゃっかり神ってついてるし不可能も可能にする……かもしれないと思っていいはずだ。いや、あいつポンコツだし案外無視しても……ま、いっか。今回は大人しく従ってやろうじゃないか。



 楓にバレたら殺されるかもしれないってのが一番恐れている事だ。あいつ、あっち系の画像とかヤバイくらいに嫌ってるんだよな……だから、これはバレた時が怖いから、という保険だ。だから仕方ない……仕方ないということにしておこう。



 俺は半分、自己暗示のようなものを自分にかけながら封筒の中にあった4つ折りになっていた手紙を広げて内容を確認した。



「え~っと、何々………」



私の愛しの旦那様

この手紙を読んでいるということは、無事に異世界に着き空間魔法を使いこなしている事でしょう。流石、旦那様!! 一緒に二人で喜びを分かち合いたいのですが、私が旦那様に会えるのはおよそ1ヶ月程先なんです……

ですので、新婚旅行は後程ということでお願いします。

知り合いの助力を得て、1ヶ月で清楚な女へと変わってみせますのでご安心を。

楽しみに待っていて下さいね♪


貴方だけのリフィアより





……………ゴフッ(血反吐



「……待て待て待て。手紙から察するにケバい女神キャラは完全に捨てて清楚キャラになります。ってか? 行動力ぱねぇよ……そして、やべぇ……もう引き返せる気がしねぇよ……俺はどこで選択肢をミスった? ………光に包まれた瞬間から今の今までの行動全てミスってるな。間違いだらけだったわ」



 俺は近くにいる銀髪女神の耳に入らない程度の絶妙な声量で叫んだ後、手紙をアイテムボックスに納めようとした瞬間、封筒の中から一枚の写真がヒラリと落ちてきた。その写真には……



 色々と付けていたアクセサリー等は全て外し、腰まで伸ばした艶のある綺麗な黒髪に碧い瞳、巫女服を着た完璧すぎる清楚系美少女が写っていた。濃かった化粧は薄くなっており、ハッキリ言ってマジでタイプだった。ケバかった頃なんて化粧が濃過ぎてどこからどうみてもパンダだったが、化粧を薄くしだけでこうも美少女になるとは……元々の顔の素材が良かったのだろう。



 俺の目に写真が映った瞬間、折り曲がらないようにと丁寧に拾い、写真と手紙を一緒にアイテムボックスにゆっくりと大事そうに仕舞ってから呟いた。



「……リフィ……俺の負けだぜ……一生の宝物にしま……ブシャァァァ(鼻血)」




 俺は鼻血を出し、近くに血溜まりを作りながらも再度、意識を失った。




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