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閑話 1 望月楓 中編

閑話は基本短いです(´つω `)



 私がもし、誰かに伊織君とどういう関係? と聞かれたら一切迷わずこう答えるだろう。私が言う言葉は、友達でも無く、親友でも無く、幼馴染みでも無い。




―――――家族だよ、と。




 私は伊織君との、今の関係がいつまでも続いていくと思っていた。



 実際、長い間続いた。

 小学生の時は私が伊織君が使っている一つ下のクラスに毎時間のように遊びに行ったり、一緒にご飯を食べたりなどをした。

 勿論、登下校も一緒だ。



 伊織君さえいれば、何をするのも楽しかった。

 そして私は小学校で過ごした様な伊織君と一緒の時間が中学校でも一年待てばやって来る、そう思っていた。



 私は家に一番近い中学校に進学した。

 理由は勿論、家に一番近かったからだ。



 私が二年生になると、伊織君も同じ中学校に進学をしてくれた。

 そして私は伊織君が中学校に通うようになると、小学生の時と同様に一緒に登下校をすると共に度々、彼のいる教室へと遊びに行っていた。



 私は伊織君と一緒にいられる、そんな時間が一番幸せで……大切だった。



 伊織君が中学校に入学して一ヶ月程経った五月のある日、いつものように彼のいる教室に行こうとしていると



「あの……望月先輩ですよね? ちょっと聞きたい事があるんですけど」



「……ん? ……どうして私の名前知ってるの?」



 後ろから急に話し掛けられ、私は肩越しに振り向いた。

 名前は知らなかったが、顔は知っていた。

 この人は確か、伊織君のクラスの女子の中心人物のような存在だった女の子だ。

 私に何を聞きたいのだろうか。



「どうして知ってるか? そりゃ、望月先輩有名ですからね………鷺ノ宮君に一方的に付きまとってるって事で」



「………え?」



 私は言っている意味が理解出来なかった。



「いや、え? じゃなくて、そのままの意味ですよ……で、聞きたかった事なんですけど……望月先輩って鷺ノ宮君と付き合ってるんですか?」



「……付き合ってはない、よ」



 私のお母さんや、伊織君のお母さんからはよく、恋人みたいに仲が良い、といった事を言われていたけれど、付き合ってはいない……と思う。



「あ、やっぱりそうなんですか。ま、鷺ノ宮君と望月先輩が釣り合うわけが無いですもんねー。あ、付き合ってるわけじゃないなら、今後は私達の教室に来るのは止めた方が良いですよ。鷺ノ宮君も鬱陶しいと思ってるだろうし」



 昔から思ってはいたが、伊織君の容姿は凄く整っていると思う。

 それに対して私は、可愛い、とか言われた事はあるが容姿は先程声を掛けてきた下級生の女の子の方が普通に私よりも可愛いらしかった。だからこそ、釣り合う釣り合わないと私に言うのだろう。



「……伊織君はそんな事……」



 思ってないと思う。

 伊織君はとても優しいから……



「はぁ……望月先輩? 気づいて無さそうなんで言いますけど、鷺ノ宮君ってクラスで……いや、男子の中で孤立してますよ?」



「……伊織君が孤立?」



 伊織君が孤立していると聞いた私は驚いて目を大きく見開いた。



「考えてもみてくださいよ……休憩時間、昼食、下校みたいな一緒に遊んだり出来る時間全てあなたが引っ付いてるんですよ? そりゃ、孤立しますよ……ま、鷺ノ宮君はあの顔であの優しい性格なんで、女子達は積極的に話し掛けようとしてますけどね……」



 後ろから声を掛けてきた女の子はそう言って苦笑いをした。



「……でも、伊織君はそんな事一度も……」



 言ってなかったのに。と言う前に声を被せられた。



「ま、鷺ノ宮君は優しいですからね~、それは先輩が一番分かってるんじゃないんですか? ま、私は望月先輩が鷺ノ宮君と付き合ってないって分かったんでそろそろ教室に戻りますね」



 そう言って声を掛けてきた女の子は私から離れるが、あ……そういえば、と呟いて私のところまで駆け戻って来た。



「鷺ノ宮君に付きまとう先輩を目障りと思ってる人もいるんで気を付けてくださいね?」



 そんな意味深な事を私の耳元で小さな声で囁くように言ってから、再度離れていった。



 今日は色々と言われた事あって乗り気になれず、伊織君の教室に行く事を止めた。

そして



「後で伊織君に聞かなくちゃ……」



 私はそう小さく呟きながら自分の教室へと踵を返して戻っていった。


誤字脱字の指摘、感想など待ってますっ( `・ω・´)

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