第22話 脱コミュ障?
近々、登場人物紹介でもしようかと思います( `・ω・´)
「ひっ、ひいぃぃぃぃっ!! ごっ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……何でもしますから命だけは……ごめんなさいごめんなさい……」
俺とティファールはオーガを殺して窮地に陥っていた4人を助けた筈だったのだが、俺達下にお礼を言う為にか、赤毛の女の子が駆け寄って来たのだが俺とティファールの顔を見た瞬間、急に体を震わせて何故か何度も繰り返し謝罪してきた。
「「…………えっ!?」」
俺達は急に怯え始めた赤毛の女の子を見て呆気に取られていた。
――――――――時は3分程遡り
「ティファ!! 俺は赤毛の女の近くのオーガを殺るからティファは違う方を頼む!!」
そう言って俺は4人のパーティーを助ける為にオーガに向かって駆け出した。
「やけに気合い入ってるわね………そんなにあの人間達を助けたいのかしら……まさか、あそこにいる女の中にタイプの女がいたとか? ああ、さっさと殺処分しなくちゃいけないわね、そんな雌豚は」
光を少し無くした目になってティファールは小さな声で呟いた。
「違っ!! 初めてマトモな魔物が相手だからだよっ!! ティファよりも綺麗な女なんか居ないから安心しろ!!」
ティファールがオーガでは無く、人間を殺すと呟いていた事を耳聡く聞き取った俺は走りながらも大声で慌てて宥めた。
実は悠遠大陸にもオーガはいたのだが、俺が向かっている先にいる3m程のオーガとは全く違い、5mくらいの大きさでこれもまた馬鹿でかい大剣をブンブン振っていた。大剣をブンブン振っていただけなら、まだオーガの上位種と納得出来たのだがあいつらは口から火を吹く。名前はエンシェントオーガだったが、あれは絶対オーガではない。
そんなオーガしか知らない俺は先程ゴブリンを殺せなかった事もあり、かなり気合いが入っていた。
俺は5秒程度で100m程離れた場所で赤毛の女の子が主だって相手をしていたオーガの背後を取り、オーガの首目掛けて腰に差していた八咫烏を左手で振り抜いた。刀身の色は漆黒の夜の色。片刃の形状となっており、斬撃特化した得物だ。
抜き放たれた刀は止まる事無くオーガの首を切り落とし、血飛沫と共に首が地面に落ちた。
オーガの首を切り落とした際、何が起こったのか分からなかったのか赤毛の女の子とヒーラーが驚いたような声を上げるが、俺はそんな声を気にする事は無く、絶命していたオーガに向けて鑑定をしようとする。
「…………ふぇっ!? ……おいおい、豆腐でも切ったかのようにスパッと切れたぞ、おい。こいつハイゴブリンより弱いんじゃないか? 全然力入れて無かったのに首落ちたぞ………まあ、いいや。《鑑定》!!」
そう言いながら俺は刀を勢い良く振り下ろして血振りをしてから刀を鞘に納めた。
ステータス
オーガ
レベル19 種族 オーガ
hp 0/1020
mp 0/0
筋力 716
耐性 683
敏捷 87
魔力 0
魔耐 182
幸運 28
スキル 体術
称号 なし
「………………この森、ハイゴブリンを一体連れてきたらハイゴブリンはこの森の主にでもなれそうだな」
オーガはハイゴブリンよりも弱かった……
俺はゴブリン<オーク<オーガが常識と思っていたんだが、その常識が崩れ去った。
いや、なんでハイが名前に付いたくらいでボロ負けしてるんだよオーガ!!
一人落胆しているとティファも殺し終わったのか、俺の下に駆け寄って来た。
「伊織~、終わったわよ。それにしてもこの指輪、使い勝手が良いわね。アイテム収納なんて効果の付いた装備がメイド服しかなかったから余計に使いやすく感じるわ」
指輪をうっとりした顔で見ながらティファールはべた褒めしていた。
「ティファ、お疲れ様。いやぁ、ダヴィ……ゴホンッ……良かったな」
俺はつい、「ダヴィスに言われて指輪をあげたが、こんなに喜ばれるとはダヴィス様様だな」と言い掛けたが、何故か言っては駄目だと本能がストップをかけたので喉元まで来ていた言葉を慌てて飲み込んだ。
俺とティファールが急にやって来てオーガを瞬殺した事で呆然としていた4人だったが、赤毛の女の子だけはいち早く我に返り、俺達の下に駆け寄って来た。
「あっ、あの!! 助けて頂いてありがとうござい……まし、た……」
赤毛の女の子が俺に向かってお礼を言おうとすると、地球で培ったお礼や謝罪は人の目を見てする、される。が、無意識で機能して俺は赤毛の女の子の方を向いた。
ティファールも俺が視線を赤毛の女の子に移すとそれを見て同じように移すが、俺達の目の色を見てしまった赤毛の女の子は急に怯えだした。
そんな感じで冒頭だ。
「……えっ!? 何で怯える!?」
俺は何で怯えるのか。といった疑問で頭が一杯だった事もあり、思った事をそのまま無意識に口に出してしまった。
「えっ、だ、だって貴方達のその目って……ま、魔族じゃないんですか?」
そう言われて俺とティファールはお互いに顔を見合わせてお互いに目を確認する。
「「……………………」」
(し、しまったぁぁぁぁぁぁ!! 吸血鬼化が癖になってたから解除するのすっかり忘れてた!! ど、どうしようかティファ……)
俺は額に汗を滴ながら、ティファールに向けて小声で話し掛けた。
(………ここは手っ取り早く皆殺しじゃない?)
物騒な事をティファールは首を傾げながら可愛らしい顔をさせながら口にした。
(おいおいおい、それじゃあ何の為に助けたか分かったもんじゃないぞ……あー、ここは適当に俺が誤魔化すからティファは今すぐ偽装して碧眼とかに変えておいてくれ)
そう言うと同時に俺は吸血鬼化を解除してティファールから離れて赤毛の女の子に向けて話し始めた。
「あー、怖がらせて悪かったな。先日この近くで吸血鬼を見たもんでな。たまたま偽装のスキルがあったから吸血鬼に偽装していたんだよ。こっちにいるティファも同様だ」
そう言うと、少し困惑していたが徐々に落ち着きを取り戻して赤毛の女の子は口を開いた。
「えっ!? ……あ、目が黒色に……そ、そうでしたか。そうですよね、魔族が人間を助ける筈がありませんし……あ、あの、私、ウィリアと言います!! 危ないところ助けて頂いてありがとうございましたっ!!」
ウィリアと名乗った赤毛の女の子は慌てながら俺とティファールに頭を下げた。
「いや、偶然通りかかっただけだ。だから気にしないでくれ。あと、助けた代わりと言ってはなんだが迷ってしまってな。近くの街まで案内してくれないか?」
「そ、そうでしたか。そんな事でしたら是非案内させてください!!」
俺が案内をと、頼むとウィリアは快諾して案内役として街まで案内してくれる事となった。彼女はその事を伝えにか、未だ呆然としていた残りの3人の下に駆け寄っていた。
あれ? 俺、いつの間にか脱コミュ障してね? ティファだけ大丈夫なのかと思っていたけど普通に初対面の女の子とお話出来てるよ!!
異世界に来るまでは、話は続かないし話す事が苦痛だったどこからどう見てもコミュ障な俺だったが、いつの間にか脱コミュ障していたのか!?
ま、焦る事はない。時間を掛けて確認しようかね。
ウィリアに案内をしてもらい、街に着いて一休み……と、トントン拍子に進むわけが無く、
「なっ、なんでお前ら俺達の獲物を横取りしたんだよっ!!」
先程まで呆然としていた魔法使い君が大きな声で俺とティファールを睨み付けながら怒声を上げていた。
あー、やっぱりティファ以外と話すのは苦痛かも……