首無しの逝く 2
ぱっぱと思いついた設定を書いて投稿。次がいつになるかは分かりません。
目が覚めると洞窟の様な場所に居た。ゴツゴツとした岩肌に湿度が高いのか少し湿っている様だ。暗いが見えないわけでもなく少し離れた所に光が見える。アレが入口なんだろう。
「それよりも……ここ、どこ?俺って死ん…いや、アレは確実に死んだ。首が取れても身体がミンチでも生きてたら人じゃない。」
俺は死んだ筈だ。でも目が覚めて、どこかも分からない洞窟にいた。
「奇跡的に助かったとしても、なんで洞窟にいるのかわからん。これはアレか、よくある転生って奴なのか?」
転生、又は異世界転生は友人がハマっていたネットの小説投稿サイトで人気のジャンルだったはずだ。俺自身は詳しくないが友人から話をよく聞いていたので少なからず知識はある。
その中でも一番多かったのは「良い行いをしたら死んでしまいそれを見ていた神様が転生させてくれた」と言う話だったが、俺が死んだ理由は事故に巻き込まれたからで良い事をした覚えはない。それに白い空間で神様にあった記憶はない。
記憶を消されたという可能性は無いわけじゃないが、それなら前世も消されていてもおかしくない。
「…わからん。とにかく今は外に出てみるか。」
岩の上にずっと寝ていたのか、凝り固まった様に動かしにくい身体をどうにか動かし唯一の微かな光を頼りに洞窟を出る。
「つっ……!」
予想よりも小さい入口に身を屈めながら顔を出し、突然の突風に目を細め息を呑む。
洞窟から出たそこは崖だった。眼下に広がるのは森。それも広大で地平線の先まで続いており、富士の樹海とは比べ物にならないほど人の手が入っていない完全な自然だ。
空は雄大で雲一つ存在せず巨大な太陽が輝いている。遠くの空には鳥か何かが集団で飛び、とても幻想的で美しい光景が広がっている。
「ここは…もう、異世界なのは決定だな。」
風の音にに混ざって聞いたことも無い動物の声が聞こえて、正気に戻りどうにか言葉を絞り出す。
テレビでレポーターが美しい景色をみて「言葉にできない」というのをよく聞いていたが、その時は「そんな馬鹿な」と思っていた。
だがこの景色をみた今では分かる。見たことも無い大自然に大空、この力強い景色を前にして俺は実際に言葉が出なかった。
「さて、これからどうしよう。」
正気に戻り冷静になった所で下を見て、急いで洞窟の中に戻り状況を整理する。
下を見て実感したが、この崖はとても高い。少し前にスカイツリーに登ったがその時以上に高く感じた。全面ガラス貼りにされたスカイツリーと違いこちらの崖は柵もなく恐怖心からそう感じただけかも知れないが。
ロッククライミングの様に降りるにしても風が強過ぎるため途中で風に煽られ落ちるのが関の山だろう。上に登るにしても同じだ。
「本当にどうするか…」
ここで生活するにしても食料や飲み水の調達は不可能。水は湿った岩から集めればいいかもしれないが集める方法も無く集めたとしてもとても人が1日に必要な水分量は集められないだろう。
人間が水も飲まず何も食べずに生きていけるのは約3日の間だけ。
「どうやら、異世界に来て1日目で早くも積んだかもしれないな」