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殴り書きとか

幻覚する生首

作者: 三隅 凛

 ぐらぐらと視界が揺れる。幻覚前の症状。これはまずい。慌てて目をきつく閉じる。じゃないと、現実と幻覚が混ざって大変面倒だ。

 吊り革に掴まる私の首が斜めに切れて、すとんの前の座席に座っていた男の膝の上に着地する。血が噴き出る事も零れる事もないが、全く付いていない事もないだろう、と男は私の首を持ち上げて断面と自らのズボンを確認した。視界が変な向きになる。特に問題なかったらしい。視界が戻る。見上げると私の身体は吊り革に掴まったまま、少し不安定に立っていた。ならいいや。膝の上の生首に生えている髪で男は遊んでいるらしい。僅かに引っ張られている感触がある。暫くされるがままだったが(抵抗手段がない、声帯も切れているし)電車が速度を落としてから視界が急上昇した、私の身長くらいに。ジェットコースターもこれで怖くないな、と思っていたら、御丁寧にも首の上に載せ直してくれたみたいだ。礼を言う前に男は降りて行った。さらさらの髪という訳ではないので、弄ばれた髪型は結構そのままになっている気配がする。

 まだ型が残っている三つ編みを手に持ち、目の前に持ってくる。中々上手く出来ているけれど、多分似合わないからさっさと手櫛で解く。前の座席の女子高生が目を丸くしている。しまった。ちらちらと周囲を伺うと同じような反応をしている人と、明らかに指を差してくる人が少しだけ居た。これはまずい。電車が止まる。元ショートヘアの女は慌てて降車する。首に痕が出来てるか、確認するのも憂鬱だ。落ちないといいけれど。

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