9‐ 2 レタス実習ふたたび、しかーし!
調理実習が参観、というのが珍しいのか、時期的になのか分からねえが、父兄はほどほどに集まっていた。スナの親は来ていない。ヤツに聞くと、いつものことらしい。
その代わりに、とんでもないお客がいた。俺は、調理室に入ろうとしたところで彼女に気づき、ぎょっと立ち止まった。
廊下のずっと向う、暗くなったあたりにぼおっと白銀の輝きが見えた。
「理世……」俺は、引き寄せられるようにそちらに一歩、が
「おい委員長」コースケからもイインチョー呼ばわりされてるな、
「なんですかミスター・ブルー」嫌味っぽく言ってやるとびっくりしたような顔で
「さ、さあ始めるぞ」それだけ言って中に引っこんだ。
ルモイがちょうどモノ言いたげな目で通りかかる。急いで袖を掴む。
「見たかアイツ」
「うん」ルモイ、言おうかどうしようか一瞬迷ったようだが
「ごめん、ヤスケンさんが今日ここに来る、って話しちゃったんだ、そしたら」
父兄ってことで授業を見学するらしい。
「なんでだよ、どうせもう会ったって何ともならねえしよ……」
「そんでも犬に入ってたのはずっとヒミツにしといたよ」
確かに、それはバラされなくてよかった。
「たまたまササラを見たいっていうお客も連れてくるらしくて、その人たちは校長とちょっと話したい、って」
「ヒトタチ?」「うん、スーツの人とも一人オバサン」
「何だかな……」俺は軽く肩をすくめた。「まあいいや、スナ、行くぞ」




