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○○だったら……責任とります委員会!  作者: 柿ノ木コジロー
第2章 そのカノジョ、醜いアヒルの子だったら!
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2-1 ツマンネ選手権開催のお知らせ

「タカヤマ・トモエさんがいいと思います!」

 元気のよい、しかし少しばかり粘り気の多いアルトが、教室に響く。


 動きが止まった。


「る、るもいが……」どこからか、呆然としたようなつぶやきが漏れる。

 とつじょ推薦を受けた、いや喰らった高山留萌(タカヤマ・トモエ)、通称ルモイは心底恐ろしげに頬を引きつらせたまま、その肥満気味の体をぶるりと震わせた。


 どうしてそんなツマンネエもんがあるのか、よく解らなかったが、とにかく

『第四回・ミス&ミスター第二中 クラス対抗ベストカップリング選手権(コンテスト)

 つうイベントがあるらしい。しかも、一学期の終わりに。

 一年から三年まで、各四ずつ計十二クラスがそれぞれ男女一名ずつのペアを出し合って全校投票によって、『ベストカップル』を決めるのだと。

 別にその二人が実際につき合ってるとか仲良しどうし、とかじゃなくてもいいらしい。

 HRでクラスから代表を男女各一名決めて、彼らに色々とオシャレさせたり芸を教え込んだりして、終業式の前日、全校集会で各方面を競い合うのだが、たいがい選ばれるのは美少女やイケメン、各部での代表選手だったり学級委員だったり、ピアノや芸事に秀でていたり、あるいはその全てで他に抜きんでている、みたいな。

 まあスナから言わせれば(もち、ケンイチロウから言わせても)かなりイケてる連中ばかりだろうな。

 つまり、クラスの他の連中にしてみれば、特にクラスで仕込む必要のない、すでに出来上がったって感じの子たちが揃うわけだからお気楽なもんだね。クラス全体には特に負担はかからねえし、選ばれたヤツらもまんざらでもないらしいし、案外行事のない一学期末にはちょうど絶好のヒマつぶし、と思ってる連中が多いというのは、何となく雰囲気で分った。

 しかし、そのベストカップリングに選ばれてからつき合い出した、ってヤツらも実際にいるらしい。侮るなかれ、ヒマつぶし。

 まあ、俺から言わせれば

「そんなクダンネエことで大事な義務教育期間を数時間か数日無駄にするくらいなら、もっと他にやることあるだろ?」

 なんだけどな。

 クラスでの話し合いの日も、そんなワケで俺は鼻の下にシャーペン挟むのに夢中になってたから、たいして興味もなく流し気味にしてた。

 席替えはされていないので、俺の右脇には相変わらず掲示物がひらひらとひらめいている。

 その中に1枚、ライトグリーンの色画用紙がレタスサラダの翌日から加わっていた。ハナの提案だった。曰く

『責任とります委員会 委員長・嶋尻直 委員・花野木杷奈

 ありとあらゆるバカげたことに、責任とらせていただきます!』


 あのレタスサラダの日からすでに三週間。

 俺……スナはあれから少しはこの二年三組の中にも存在を認められたようで、気軽に声をかけてくれるヤツはわずかに増えたような気がする。

 しかし、ばかなんですよコイツは。

 昔の自分にいまだに縛られていやがる、いざという時に気のきいたことがさっと口から出ないのは相変わらず。

 最初は面白がって声をかけてきた連中も、次から次へと移り変わる興味にいつの間にか目を奪われ、そのうちに、俺の周りはまた静かになってきた。

 海辺に作った砂の城だな、波が来れば自然と平らになっていくんだ。

 セイギたちは少し様子見と決め込んだようで、ほとんど近寄って来なかった。

 俺が少しばかりクラスに居場所を定めてきたせいか、ヤツらだって元々あまりパッとしているわけでもないので、大人しくせざるを得ないようだった。


 しかしだからと言ってヤツらが諦めたわけではなかった。

 俺は話し合いの席でがつんと一発、思い切り喰らわされることとなる。

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