気づいてしまった。
僕は今、恋をしている……。
その言葉から鴻野アイトの【物語】は始まった‥…。
生まれた時から一緒にいた訳ではなくて親が離婚して再婚した時に出会った連れ子が兄・鴻野リンヤだった…。
僕がリンヤに出会ったのは6歳の時、リンヤは既に13歳と思春期真っ盛りだったのに人見知りで友達ができなかった僕と遊んで兄の役目を果たしてくれいつでもリンヤは僕の傍にいてくれた。
おかげで僕はわがままに育ってしまった……甘え過ぎたのだ。
でもそれは僕アイトの中では成長していく中でだんだん違う感情になっていた。
僕がリンヤと出会った歳13歳になった頃リンヤは成人していた。
アイトは青春真っ盛りなのにリンヤから離れることなくまだ甘えていたけれど、アイトの心の中ではリンヤの事が家族とかではなく異性としてだんだん好きになるという恋愛の感情が芽生えていた。
だが、リンヤに一言も何も伝えることなくこのままの義理の兄弟の関係を続けようとしていた。
そんなある日……。
いつも通りリンヤが家に帰ってきた。
「アイト!ただいま!!」
とリンヤが帰ってくると玄関からアイトに向かってここに自分がいることを知らせるよう帰宅の挨拶をした。
「リンヤ‥…。おかえりどうしたの?そんなに大声で僕を呼んで?」
アイトは寝起きのような顔でリンヤを出迎えた。
だが、リンヤが大声でアイトの事を呼ぶことなどそうそうなかったのでアイトは不思議に思い聞いてみたリンヤの顔はニコやな笑顔を浮かべていた。
そんな顔をみたアイトは少し嫌な予感がしたが、
「何かいい事でもあったの?その笑顔?」
キッチンに行って紅茶を作りながら聞いてみると、
「わかる?オレな……」
とリンヤから出た言葉は、
【彼女出来たんだ】
とアイトに嬉しそうに言ったがアイトはその言葉を聞いてショックで手に持っていたリンヤに誕生日にもらったマグカップを落としてしまった………。
(ガシャーンーー!!)
「アイト?!大丈夫か?!」
グラスの割れた音に玄関にいたリンヤはすぐ真横の部屋のキッチンに急いできた。
「だ‥…だいじょ‥…大丈夫……だよ。心配しないでいいよ……手‥……滑っただけだから……。」
と少しつまりつまりでしゃべりながらリンヤの顔を見ずに下を向きながらマグカップの破片を片づけていた。
「そうか……気をつけろよ~落ち着いたら上がってこいよ!彼女も紹介したいし!久しぶりにアイトお前とも遊びたいしな~」
アイトは複雑な心境の中、
「うんわかった……。」
とだけリンヤに返事をしリビングのソファーに自分の心臓を抑えながら寝こ
ろび考え事をしていた。
「彼女………だって……かわいいのかな?。」
とふわふわと考えていると、アイトはリンヤに対しての気持ちが一人になって考えると大きく膨らんでいくのが分かった。
「今すぐ抱きつきたいのにな……もう無理なんだ。」
と言いながらリンヤに上に上がってこいと言われたので上がることにした。
アイトはリンヤの部屋の前に着くと深呼吸をし、
「いつもの僕に戻れ!!」
と言い聞かせリンヤの部屋のドアを叩いた。
(コンコン)
「リンヤ入っていい?」
アイトがドアノブに手をかけてドア置開けるとそこにはリンヤと知らない女の人がいた。
「(あぁ・・・・・・この人がリンヤの彼女なんだ……。)」
と瞬間的に思ったアイトは悲しくなってしまった。
「アイト!座れよ!この人だよ。彼女、【シオリ】って言うんだ。」
と言ったリンヤにアイトは彼女の名前を下の名前で呼んでたリンヤに、
「(あぁ・・・・・・ホントに付き合ってるんだ夢じゃないんだ……。)」
とアイトは絶望を感じていた。
「伊達シオリです。よろしくお願いします」
と言われたアイトは、
「あ・・・・・・はい。」
何も言葉が出なかった。
「アイト?」
リンヤに不信に見られたみたいだったのでアイトは、
「僕、勉強あるから部屋戻るよ。」
と言いその場から逃げた。
十三歳のアイトにはあの三角関係の場所はキツ過ぎた‥……。