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私の日常の非日常  作者: タフ
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家の中で

えーと、今日は何を話そうか。


話したいことはたくさんあるが、少しずつ話していこうと思う。



あれはまだ私が小さい頃、実家で起きた事だ。


当時の私は、寝付きが悪い子供だった。

遅い時間になっても寝付かない私に、母はいつも苦労していたようだ。


そんな私を寝かせるために、母は一つの作り話をした。

電気を消し暗くした部屋で、母は耳元で声を落としながら言った。


いい子にして早く寝ないと、天井おばけがでるよ…と。


その天井おばけが何なのかは分からなかったし、母も説明してはくれなかった。

それでも幼い私は見えない存在に怯え、どうにか寝ようと毎日強く眼をつぶって夜を過ごしていた。


その日、いつものようにどうにか眠りについた夜。

家族も寝静まり、何の音もしない家の中。

私はふと目を覚ました。


そんな時間に目を覚ますことなどほとんどない私は、静まり返った部屋に少し怯えた。

いつもの部屋、隣には母もいる。


見慣れた部屋のはずなのに、なぜか知らない場所にいるような不思議な、それでいて恐ろしい雰囲気を感じた。


一人で起きている寂しさに母に声をかけるが、起きる様子もない。

そうこうしている間に、あの話が頭の中に浮かんでくる。



いい子にして早く寝ないと、天井おばけがでるよ…



怖くなり頭から布団を被るが、途中から感じ始めた尿意のため眠ることができない。

再度母に声をかけるが、やはり起きてはくれない。


泣きそうになりながら必死に我慢するが、その限界も近づいてきていた。

トイレまでの距離は近いはずなのに、動き出すことができない。

それでもどうにか覚悟を決め布団から這い出し、トイレまで急ぐことにした。


そうして向かったトイレの前


そこに「ソレ」はいた


私と同じくらいの大きさの影がある

大人の腰ほどしかないような小さな影だ


家族は寝ているはずだ。

しかしたしかにナニかがそこにいる。


驚き立ちつくし、目を凝らして見る。



「ソレ」は見たことのない服を着ていた

背丈の倍はある知らない何かを持って

一人ではなく三人がそこに立ち

見たこともないような恐ろしい眼で私を睨み付けていた



その後の事はあまり覚えていない。

深夜にも関わらず大声で叫び泣きじゃくる私がトイレの前にいるのを、家族が見つけたと後から聞いた。


私がもう少し大きくなってから知ったことだが

「ソレ」が着ていた服は軍服のようで

持っていたものは銃剣に似ていた。


背丈は当時の私くらいだったが

顔は明らかに大人のものであった。


あのとき見た「ソレ」がなぜ私を睨み付けていたのかは未だに分からない。

ただ誰かが憎くて殺したくて堪らないというあの顔は、一生忘れられないと思う。



ちなみに、天井おばけは未だに私のもとに現れてはいない、ということは伝えておこうと思う。



信じられない人には信じられないでしょう。

それでもこれが私の日常です。

天井おばけ、結局なんなんだろう

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