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短編シリーズ

おしくらまんじゅう

作者: 笹井タク

とてもお久しぶりです。

ありがちな話だと思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。

 


 ある町に一人の男の子が住んでいました。

 その子はあまり身体が強くなかったので他の友達と外で遊ぶことがなかなかできませんでした。

 そんな男の子と遊ぶ友達はあまり多くなく、男の子はとても寂しい思いをしていたのです。

 そんなある日、男の子の町には冬がやってきて、雪が降り始めました。雪はどんどん降り積もり、遊びたくなった男の子は夕ご飯を食べた後、お母さんに隠れてこっそり外に出ました。

 冬の夜の風は肌が切られそうなほど寒かったのですが、男の子はざくざくと雪を踏みしめながら、公園の方へと向かっていきます。


「おーい」


 不意に公園の方から声が聞こえ、男の子はそちらへ視線を向けました。

 すると、そこにはふとった男の子がいました。


「こんばんは、遊ばない?」


 ふとった男の子の言葉に、男の子はぶんぶんと首を縦にふりました。

 久しぶりに友達と遊べるのがとても嬉しかったのです。


「雪合戦はどう?」


 男の子は俯きます。


「ぼく、あまり激しい事は出来ないんだ」

「うーん、なら雪だるまをつくろうよ」

「いいよ」


 二人は協力して雪だるまをつくり始めました。

 三個目の雪だるまをつくり始めた頃、


「あ」


 男の子はお母さんに隠れてこっそり出てきたのを思い出しました。


「ごめん、ぼくもう帰らなきゃ、バイバイ」

「うん、また明日」


 そう言って二人は別れました。

 次の日も、男の子は夕食の後、こっそりと公園へと向かいました。


「おーい」


 公園には前のふとった男の子と、同じようにふとった男の子が二人、そして少し小柄な男の子が一人、雪合戦をして遊んでいます。


「こんばんは、今日は何して遊ぶ?」


 男の子は寒かったので、


「おしくらまんじゅう」


 といいました。

 するとふとった男の子たちは少し困った顔をしました。

 でも、


「おしくらまんじゅう、おされてなくな」


 と、男の子をぎゅうぎゅうと押してきました。

 男の子も負けずに何回も押し返しました。

 男の子の身体がぽかぽかしてきた時、公園にお母さんがやってきました。

 居なくなった男の子に気付いて慌ててやってきたのでしょう、息を切らしています。


「何をしているの!」

「みんなでおしくらまんじゅうを……」


 といいかけて、男の子は目を丸くしました。

 なぜなら周りにいたのは、ほかほかと湯気を立てている溶けかけた四つの雪だるまだったからです。


 


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― 新着の感想 ―
[一言] こんにちは。はじめまして。 とてもほのぼのする物語でよかったです。心がほかほか温まりました。 他の短編も読ませていただいたのですが、とても心温かくて素敵な物語をお書きになるのですね。 これ…
2012/09/19 09:58 退会済み
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