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1.君+僕=

*登場人物

千寿ちず:女の子、女子高生、兄あり、18歳

なっちゃん:男の子、大学生、21歳、千寿の兄の友人



Fortune Fateさんよりお題をお借りしております。

強く、強く、強く。

私の腕を引き寄せて。

転んで、口付けて、嘘にまみれたの愛を囁く。


深く深く、何もわからないところまで堕ちてしまえばいい。











午後4時30分。


合鍵を使って、部屋に入る。

部屋の中には当たり前のように誰もいない。

だって部屋の主は今はバイトの時間だろうから。


冷蔵庫を開けて適当に物色する。

おなかがすいた。

どうせ彼だっておなかすかして帰ってくるだろうし、何か作ろう。



午後6時を少しすぎた。

冷蔵庫の中身はあまりなく、残り物のご飯を使ってチャーハンを作った。

彼を待たずに食卓でそれを食べていると、玄関のドアが開いた。


「晩御飯作ってくれたなら、せめて帰ってくるまで待つのが普通だと思うんだけど。」


「・・・・・・・・・おかえり、なっちゃん。」










強く、強く、強く。

私の腕を引き寄せる。

転んで、押し倒して、噛み付くように口付けて・・・・・・。

なっちゃんは少し乱暴に私を抱く。


とは言っても、私となっちゃんは恋人同士ではない。

いわゆる・・・セフレというやつだ。


どうしてこういう関係になったのかは覚えていない。

ただ気づいたらこうなっていた・・・とは言っても誘ったのは私だ。

だけどそれではどうにもならないので、なっちゃんと私が知り合った経緯から話そうと思う。











なっちゃんは、私の兄の友達だ。

4つ上のなっちゃんと初めて出逢ったとき、私は12歳の小学生で、なっちゃんは16歳の高校1年生だった。

私と私の兄はとても仲がよくて・・・というか、私はお兄ちゃんっ子であり、お兄ちゃんはとてもシスコンだったから、なっちゃんが遊びにきたとき、一緒に遊んでくれたりした。



あれから6年。

なっちゃんとお兄ちゃんは相変わらず仲がよく、それとは別に私となっちゃんは二人だけで会ったりするようにもなった。


なっちゃんは高校を卒業してから一人暮らしをしていて、その下宿先は私が通う高校の近くだった。

ただなっちゃんが通う大学が私の通う高校の近くにあって、なっちゃんは大学の近くで一人暮らしをしていた、それだけ。










しとしと、雨の降る日のこと。

小雨とは呼べない程度の雨が降っていてもあまり気にならず、私は傘を差さずに駅へと一人歩いていた。


雨は、嫌いじゃないから。

そしてもともと、傘を差すことが好きじゃなかった。


しとしとしとしと、雨が降る中を歩くと、跳ねた雫が靴下を濡らす。

雨に濡れることは小さい頃から好きで、でもやっぱりそれをすると怒られる。

私が一人暮らしをするなっちゃんの部屋にきたのは、傘を差さずに歩いていた、そんな雨の日。


いつもどおり傘を差さずに歩いていたら、ふと雨がやんだ。

だけど周りを見渡してみると相変わらず雨は降っていて、頭の上を見ると見慣れたなっちゃんの傘が差しかけられていた。


千寿ちず・・・なんで、傘差してないの。」


私の手には迷った末に差さなかった折り畳み傘が握られており、傘を手に持ちながらも雨に濡れながら楽しそうに歩く私の様子になっちゃんは心底呆れていた。


「雨、楽しいよ。」


私が笑ってそう言うと、呆れた顔のなっちゃんは大きなため息をひとつ吐いて自分の家のお風呂を貸してくれたんだ。










腕を引いて引き寄せて、私よりずっと背が高いなっちゃんは斜め下に引っ張られて少しバランスを崩す。

形のいいなっちゃんの唇に自分のそれを押し付け、離れた瞬間目を見てにっこり微笑む。



「ねぇなっちゃん、教えてほしいことがあるの。

千寿のお願い、なっちゃんは無下に断ったりしないよね?」


精一杯甘く口付けて。

腕を伸ばして首に巻きつけ、にっこり微笑む。


その日から私はなっちゃんのセフレ。









君+僕= いつもどおりの関係

なっちゃん と ちず は おともだち

普通とは違う おともだち


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