変化の苗
あの一件以来からなのか、とにかく人の顔色を伺っていた。
その時は父母と市営団地に住んでいた。
可愛い妹と弟も出来た。
とにかくいい子で居なければといつも思っていた。
ある時父と母が僕の目の前で大喧嘩をした。
父は僕とよく遊んでくれたり、一緒にゲームをしてくれたり面白い人柄で大好きだった。
そんな父だったが、それこそ見た事ないくらい怒鳴っていて、電子レンジを入れて置けるタイプの食器棚を蹴った。
ステンレス製だったのだろうか、電子レンジを入れるスペースの縁がへこんだ。
あぁ、この人も何だか怖いな。
普通に叱ってくれる時ももちろんあった。
でも僕には普通に見えてはいなかった。
僕が小学生3年生の頃、そんな両親は離婚した。
妹と弟は父に引き取られていった。
僕は母に・・・と思ったのだが、祖父母の家に逆戻りした。
祖父母はどちらも優しい人だったが、行儀良くしていないと、そう思っていた。
妹と弟と離れ離れになった事も、辛かった。
本当に可愛く思っていた。
もっと優しくしてあげれば良かった。
そんな後悔を毎日抱いていた。
そんな思いと同時に「なんで僕だけ1人に」
そんな気持ちも湧き上がってきていた。
父も居なくなり、妹と弟とも離れ離れになり、母も会いに来てはくれない。
祖父母の事は大好きだが心を開けていない。
なんだが何もかも無くなってしまったような気持ちになっていた。
僕は勉強する事を辞めた。
小学校の授業は教室の後ろの隅っこの床の上で寝っ転がるか、掃除用具入れの中で過ごした。
先生は何も言わなかった。
今思えば、本当に迷惑な生徒だったと思う。
何もかもが嫌になって、毎日ゲームばかりに没頭するようになっていた。
ゲームの世界は本当に良かった。
頑張ればお金は貯まるし、頑張ればレベルが上がって強くなれる。
都合が悪ければリセット出来る。
ゲームの世界だけが当時は居場所になっていた。




