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かつて大好きだった君を好きになりたかった。

この世界のどこかにいるたった一人に向けた古びたラブレターです。

 好きだった。

 触れたらいけないことなんてわかっていた。

 

 20歳の誕生日、僕は高校から付き合った彼女に振られた。

 彼女がほかの男の家に泊まっていたのも許したし、サークルでほとんど連絡を返さなくなっていたのもしょうがないと思っていた。

 でも、振られた。僕が振ったんじゃなくて浮気も何もしていない僕が振られた。

 泣いたよ。すっごく。

 泣いて泣いて、たくさん泣いた。

 太陽の居場所もわからなくなるぐらい泣いた。

 そんな時出会ったのが君だった。

 死ぬ準備をしていた僕に声をかけてくれたのは15歳の女の子だった。

 

 「大丈夫ですか?私力になりたいです!!」

 

 僕は無視しようと思った。

 別にSNSに出会いなんかいらないしましてや話したこともない人に相談なんてできない。

 でも、そんな思いとは裏腹に僕は

 

 「しんどいよ」

 

 短くそう返した。

 その時はまだ君の年齢は知らなかった思う。

 ツイートは見ていたけどどこか大人びていて同い年ぐらいかなって思ってた。

 名前も年齢はもちろん顔なんてしらない君に僕は全部話した。

 フリック入力をしながら顔を上げて久しぶりに太陽の位置を確認したと思う。

 そんな僕に君のたくさんいろんなことを話してくれたことを覚えているし、その時かな?君の年齢を知ったのは。

 15歳の君には辛すぎるどうすることもできない現実に苦しんでいた。

 それから好きな作品が同じで僕が好きなアイドルを好きになってくれたことを覚えてる。

 だんだんと仲良くなって毎日連絡を取るようになってから僕に言ってくれた言葉を僕は今でも覚えている。


 「私は君に死んでほしくないです。まだ話し始めて少ししかたっていないけど私はあなたのことをずっと考えています。好きです」


 ありふれた言葉だったのかもしれない。

 でも家族も友人もそして恋人もいなかったそんなことを言ってくれた君が僕のすべてになった。

 そして君はそれからこんなことを言ってくれるようになった。


 「今日学校で想像したんです。私が15歳であなたが20歳だから18歳になったら23歳。大人になったら年齢とか大丈夫なのかな?」


 僕は何も言えなかった。

 だって20歳の男が15歳の女の子を好きになってはいけないから。

 苦しい、死にそうな僕を救い出してくれたのがいくら君でも恋をしてはいけない。

 よくある体目当てとかじゃない本気で好きになったとしてもそれでもその気持ちを伝えてはいけない。

 でもそんなことを伝えることをできない僕を知らないで君は楽しそうに僕に言うんだ。


 「大人になったら大丈夫!18歳までは二人だけの秘密です」って。


 分かってるよ。誰にも言わないし誰にも言えない。

 それでも僕は君に

 

 好き


 の二文字を伝えなかった。

 付き合おうはもちろん言わなかった。

 君を守るために。

 僕が告白したらokをくれたと思う。

 でもそれは犯罪だしもしばれたら君は学校に行けなくなる。

 苦労して入った学校だったのも知ってるし家庭ももちろん許してくれない。

 

 だから僕は嘘をついた。

 彼女ができたように見せた。

 君に見えるように君じゃない人と付き合ったように。

 君を泣かせるのはわかっていた。

 傷つけるのもわかっていた。

 でも僕は弱いから、君を愛してしまったから。

 もし気持ちを伝えてしまったら君の敵は世界になってしまう。

 味方は僕一人。

 守れない、守り切れない。

 君の笑顔を僕は守れない。

 だったら今泣かせるかもしれないけど未来が幸せになるように僕は君の前から消えた。

 無責任だよね。

 好きにさせて、急にいなくなる。

 わかってる。

 でもどうしたらよかったのかな。

 15歳の君にいくら救われたからって好きになったらだめだったのに。

 

 僕は君のことを忘れた日はありません。

 好きという気持ちは忘れてしまったけど君に救われた恩は忘れたことはありません。

 君は青春の真っただ中だから恐らく忘れてしまっているでしょう。

 それで大丈夫です。

 だって忘れるくらい幸せで居てくれるんだから。

 君が笑って今を過ごしていますように。

 僕を忘れずに過去に生きていませんように。

 月に手を延ばしていますように。

 




 

 

 

Xとかで拡散されてその人に届けばいいなぁ

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