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第八十九話 王宮に向けて出発

 八月下旬のデュヴィテール王国の王都は、まだまだ暑い。


 ただ、この場所ははもともと、そこまで湿度が高いところではなく、その湿度が八月上旬に比べると下がり始めているので、蒸し暑さはほとんどなくなってきていた。


 暑さに弱いわたしにとっては、少しずつ過ごしやすい季節になってきている。


 オクタヴィノール殿下とわたしは、ルクシブルテール王国の王都にある王宮に向かっていた。


 わたしはオクタヴィノール殿下の一緒の馬車に乗っていた。


 オクタヴィノール殿下の護衛がわたしたちの馬車のそばに常にいる。


 今回は、ルクシブルテール王国王室の私的な招待になる。


 その為、ボードリックス公爵家からは、二十歳台の護衛一人と四十歳台のお父様の側近一人のみが参加していた。


 今回は私的な招待ではあるけれども、こういう機会なので、外交という面も忘れてはいけないところだ。


 側近は、ルクシブルテール王国王室とボードリックス公爵家の間の外交を担当するという役割も持っていた。


 また、オクタヴィノール殿下の方も公的な移動ではないので、護衛の人数は七人で少ないし、オクタヴィノール殿下の側近の人数も一人と、こちらも少ない。


 もし道中の治安が悪ければ、いくら私的な招待・行動といえども、増員が必要になる。


 しかし、概ね道中の治安は良い。


 そして、オクタヴィノール殿下とわたしの護衛は、全員剣術・武術・剣術の達人だ。


 その中でも、ルクシブルテール王国一の剣術・武術・剣術の達人であるオクタヴィノール殿下の存在は、とても大きい。


 たとえ賊が襲ってきたとしても、問題なく撃退することが想定できるので、この人員で十分だった。

 デュヴィテール王国とルクシブルテール王国の関係は良好なので、その点でも安心をして旅をすることができる。


 そして、わたしたちは宿屋に泊まる。


 ボードリックス公爵家から参加している側近と護衛は、以前、わたしのことを敬遠し、嫌っていた。


 それは、ボードリックス公爵家のほぼ全員が同じ気持ちだったのだから、仕方のないことだ。


 しかし、最近のわたしの態度の変化で、敬遠したり、嫌ったりすることはなくなっていた。


 大きな前進だと思う。


 そして、わたしが出発前に、


「申し訳ないですけど、よろしくお願いします」


 と言うと、


「こちらこそ、リディテーヌ様の為、尽くしていきますので、よろしくお願いします」


 と護衛は言ってくれたし、側近も、


「今回の招待がうまくいきます様、わたしも一生懸命努力いたします」


 と言ってくれた。


 わたしはその時、涙をこぼしそうになるほどうれしかった。


 ルクシブルテール王国の王宮までは、二日かかる。


 適度に休憩を入れながらとはいうものの、転生一度目も今回の転生でも馬車旅になれていないわたしにとっては、結構つらいものだった。


 オクタヴィノール殿下はその点、なれているのだろう。


 特につらい様子はない。


 さすがだと思う。


 馬車の中では、これを機会に、オクタヴィノール殿下といろいろな話をした。


 最初に、今回の謁見についての打ち合わせを行った。


 国王陛下は威厳があり、その前にいくと萎縮してしまう人も多いとのこと。


 わたしも萎縮して、国王陛下に幻滅されるのではないかと思った。


 しかし、オクタヴィノール殿下は、


「あなたは芯が強く、魅力がある素敵な方。萎縮をされることなないと思っています。そして、父上はきっとあなたのことを認めると思っています」


 と言って力づけてくれた。


 オクタヴィノール殿下のその言葉のおかげで、わたしは、今回の婚約の話を認めてもらえるという自信が湧き上がってきていた。


 ありがたいことだ。


 その後は、様々なことについて話をした。


 話をすればするほど、オクタヴィノール殿下とわたしは、心が通じ合っていく。


 特に趣味の話は、お互い、夢中になった。


 お互いに小説を読むのが好きで、その話をするのは楽しいので、話は永遠と続きそうな気さえするほどだった。


 馬車に乗っているつらさも話をしている内に、忘れることができる気がしていた。


 途中で二泊した。


 宿屋は、いずれも普通よりはちょっと高級。


 レストランと風呂はもちろんあり、結構快適だった。


 転生一度目は、馬車で、一日で着く公爵家の領地にしか行ったことはない。


 その為、宿屋に泊まった経験はない。


 いい経験ができたと思う、


 しかし、オクタヴィノール殿下とは別々の部屋になったのは残念だった。


 二人だけの世界に入りたかったのだけれど、自重した。


 わたしたちは、今回の招待旅では、国王陛下と王妃殿下に認めてもらうまでは、その世界に入っていくことを自重しようと決めていたのだ。


 オクタヴィノール殿下も残念がっていたのだけれど、まあこれは仕方がない。


 もし、その世界に入ることができれば、旅先での素敵な思い出になったと思う。


 ああ、残念。


 それでも寝る前は、キスをすることができた。


 それだけでも良かったと言えるだろう。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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