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第七十九話 説得に向かうオクタヴィノール殿下

「わたしは明日、ルクシブルテール王国の王都に戻ります。そこで、父上と母上に、わたしたちの婚約を話し、おおよそのところは認めてもらおうと思います。最終的に認められる為には、あなたに一度来ていただく必要があります。申し訳ありません。でも、それは形式的なものになるようにするつもりです」


 オクタヴィノール殿下はわたしにそう言って、わたしにプロポーズをした翌日、ルクシブルテール王国の王都に向かった。


 ルクシブルテール王国の王都までは、デュヴィテール王国の王都から馬車で二日かかる。


 往復で四日かかることになる。


 滞在は、三日間。


 そこで、オクタヴィノール殿下は国王陛下と王妃殿下を説得しようとしていた。


 オクタヴィノール殿下の言った通り、二人にはここでオクタヴィノール殿下とわたしの婚約のおおよそのところを認めてもらうことがその説得の目的だ。


 これもオクタヴィノール殿下が言っていたことではあるのだけれど、最終的にオクタヴィノール殿下の婚約者として認められる為には、いずれわたしもルクシブルテール王国の王宮に行って、国王陛下と王妃殿下に会う必要がある。


 そこで二人に認められた後、婚約式を行うことによって、わたしは、正式なオクタヴィノール殿下の婚約者になっていくことになる。


 しかし、ここでオクタヴィノール殿下が二人を説得できるのとできないのとでは、その後の展開に大きな差が出てくる。


 もしオクタヴィノール殿下の説得が全く通じないのであれば、その時点でわたしが行く前に、この話はなくなってしまうだろう。


 また、ある程度説得ができたとしても、オクタヴィノール殿下の言葉に対して納得できないところが大きければ、わたしが受けるプレッシャーは大きくなる。


 今思った二点については、決して考慮したくないことだ。


 その為の心の準備はしておかなくてはならないだろう。


 しかし、わたしとしては、オクタヴィノール殿下が二人の説得に成功して、無事に帰ってくることを一番に願いたいところだ。


 それにしても、また一週間、オクタヴィノール殿下に会えなくなる。


 オクタヴィノール殿下のことを心配する気持ちは強く、また、会えない寂しさが組み合わさっていく。


 わたしの心は、次第につらい気持ちで覆われた。


 オクタヴィノール殿下の説得が成功すれば、すぐにルクシブルテール王国の王宮に向かう必要がある。


 その為、オクタヴィノール殿下は、今の内からルクシブルテール王国の王宮に行く準備をしてほしいという依頼をわたしにしていた。


 その準備に集中している時は、少しそのつらさはやわらぐこともあった。


 しかし、夜、寝る前になると、つらさがまた大きくなり、涙がこぼれてくるも多かった。


 とにかくオクタヴィノール殿下が帰って来るのを待つしかない。


 今回で、説得が成功するのが一番いいのだけれど、それを求めてはいけない。


 わたしにとっては、オクタヴィノール殿下が健康で、いつもそばにいてくださることが一番大切なことだ。


 わたしは、オクタヴィノール殿下が無事に帰ってくることを祈り続けた。




 オクタヴィノール殿下は、一週間後、無事にルクシブルテール王国の王都にある屋敷に戻ってきた。


 オクタヴィノール殿下は、翌日、すぐにわたしを屋敷に招待した。


 疲れはあると思う。


 でも、オクタヴィノール殿下は、それだけわたしに会いたいのだろう。


 うれしいことだ。


 わたしも、オクタヴィノール殿下に会いたかったので、この申し出はありがたかった。


 ただ、婚約の状況がどうなったのか、という気持ちが強く、心の状態は決していい方ではなかった。


 わたしはオクタヴィノール殿下の寝室にオクタヴィノール殿下と一緒に入ると、すぐにオクタヴィノール殿下に抱き締められた。


「お待ち申しておりました。お会いしたくてたまらなかったです」


 わたしがそう言うと、オクタヴィノール殿下も、


「わたしも同じ気持ちです。あなたに会いたくてたまりませんでした」


 と言ってくれた。


 そして。


「好きです、リディテーヌさん」


「好きです、オクタヴィノール殿下」


 と言って、お互いの気持ちを伝え合う。


 そして、お互いの唇と唇を重ね合わせた後、二人だけの世界に入っていく。


 幸せの時間だった。




 二人だけの世界から帰ってきたオクタヴィノール殿下とわたしは、ベッドの上に座り、向かい合っていた。


「それではあなたに状況を報告したいと思います」


 オクタヴィノール殿下は微笑んではいるものの、少し緊張気味。


 わたしもだんだん緊張してくる。


 オクタヴィノール殿下は心を整えると、話をし始めた。


「わたしは今回、ルクシブルテール王国に戻り、父上である国王陛下と母上である王妃殿下に、あなたとの婚約のことを話しました。その前に父上と母上には手紙を出していました。これは、あなたには伝えていたことでしたね。ただ、今回、父上と母上が、どういう対応をするのかということは、なかなか予想をするのは難しいところでした。場合によっては、強く断ってくることも予想されました。そうなると、説得にこれから長い時間がかかることも予想されていたのです、そうなると、あなたにはご迷惑をおかけしてしまうので、なんとか今回で説得しようと思っていたのです」


「わたしにお気づかいをしていただきまして、ありがとうございます」


「父上も母上も、わたしが一生懸命説得すれば、きっとあなたとの婚約を受け入れてくださると信じて、行動をいたしました。それだけわたしはあなたのことが好きなのです」


 オクタヴィノール殿下はそう言うと、少し微笑んだ。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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