第七十八話 婚約の申し出を受け入れる
わたしは、ルクシブルテール王国の友好国であるデュヴィテール王国の公爵家令嬢。
しかし、ルクシブルテール王国の、妃は自国の貴族令嬢から選ぶというしきたりからは、はずれてしまう。
国王陛下をはじめとした王室の方々が反対するのはもちろんのこと、自分の令嬢と結婚させたい貴族たちが反対する。
「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」のオクタヴィノール殿下ルートでの主人公オディナティーヌも、この反対勢力に直面した。
この反対勢力に対して、オクタヴィノール殿下は粘り強く説得することを決意した。
反対勢力の中でも、国王陛下と王妃殿下を説得することが一番大切だ。
それできれば、他の王室の方々も貴族たちも渋々ではあるのだけれど、従うと思っていた。
最初の頃の二人は、オクタヴィノール殿下の話すら聞く耳を持たなかった。
「ルクシブルテール王国の王太子、そして、国王になるものの妃は、わが王国内の女性でなければならないのだ!」
と二人は言い続けていた。
しかし、オクタヴィノール殿下の懸命な説得で、少しずつ二人の態度は軟化し始めた。
オディナティーヌも、国王陛下と王妃殿下と対面し、オクタヴィノール殿下への愛と誠意を伝えることによって、二人の心を変えていく。
そして、ようやく二人も、オクタヴィノール殿下とオディナティーヌの婚約を認めた。
付き合い始めてから婚約が国王陛下と王妃殿下に認められるまで、九か月ほどの長い時間が経っていた。
二人が婚約を認めたので、他の反対勢力の力は急激に衰えていった。
そしてその後、オクタヴィノール殿下とオディナティーヌの婚約式が行われた。
これにより、正式に婚約は成立した。
このように、国王陛下と王妃殿下の説得には時間がかかる。
オクタヴィノール殿下は、これから説得をしようとしている。
しかし、主人公のオディナティーヌが相手ではなく、わたしであるリディテーヌの為、時間がより一層かかりそうな気がする。
でもこれは避けて通ることはできない道。
わたしはオクタヴィノール殿下が好きで、愛している。
わたしはオクタヴィノール殿下のもの。
きっと、オクタヴィノール殿下は、国王陛下と王妃殿下を説得して、わたしとの婚約・結婚を推進してくれるはず。
わたしは、
「わたしはオクタヴィノール殿下が好きです。愛していますし、これからずっと、オクタヴィノール殿下のおそばにいて、尽くしていきたいと思っております、オクタヴィノール殿下の申し出、お受けしたい気持ちで一杯ですし、心の中はうれしさで一杯になっております。今までのわたしの人生の中で、これほどうれしいことはありません。とても名誉で、ありがたいことだと思っております。ただ、わたしはデュヴィテール王国の人間です。今までのようなお付き合いであれば、許していただけると思うのですが、婚約となると、反対する方も結構いらっしゃるのではないかと思っております。そうなるとオクタヴィノール殿下に迷惑をかけることになるので、わたしとしては、今返事をすべきかとうか悩んでおります」
わたしからすれば、すぐにでもオクタヴィノール殿下に、
「オクタヴィノール殿下の申し出、お受けいたします。よろしくお願いします」
と言いたいところだった。
でも、そこは我慢するしかない。
少しわたしは落胆気味になっていた。
しかし、オクタヴィノール殿下は、
「反対する方がいるのは、わたしも予想をしています、でもわたしはあなたを愛しています。
何があっても、あなたのことを守ります。一生あなたのことを愛し、守るつもりです。わたしはあなたとずっと一緒にいたい。そして、一緒に幸せになりたい。それがわたしの一番の想いです。どうか、わたしと婚約をしてください。そして、わたしと結婚をしてください。よろしくお願いします」
と力強く言ってきた、
オクタヴィノール殿下はここまでわたしのことを思ってくれる。
この想いに応えるしかない。
わたしは、オクタヴィノール殿下のものなのだ!
わたしはそう強く思い、覚悟を決めた。
そして、
「オクタヴィノール殿下のありがたい申し出をお受けさせていただきたいと思います。これからどうか、よろしくお願いします」
と言った後、頭を下げた。
オクタヴィノール殿下は、
「ありがとう。わたしの想いを受けてくれて……」
と涙をこぼしながら、わたしの手を握ってくれた。
わたしも、涙をこぼしながら、
「こんなわたしではございますが、オクタヴィノール殿下の為、尽くしていきますので、よろしくお願いします」
と応えた。
こうして、オクタヴィノール殿下のプロポーズをわたしは受け入れた。
わたしたちは喜びに包まれていた。
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