第七十五話 継母の反対は続く
オクタヴィノール殿下とわたしは、恋人として最高の段階の一つに到達した。
それからのわたしたちは、一週間に一度のペースで逢瀬を重ねるようになった。
わたしは、オクタヴィノール殿下に会えば会うほど、その魅力に心を奪われていく。
オクタヴィノール殿下は素敵な方だけど、特に素敵だと思っているのは、心からのやさしさをもっているところ。
わたしの心をいつも癒してくれる。
オクタヴィノール殿下と一緒にいると、どんどん幸せな気持ちになっていく。
オクタヴィノール殿下も、
「あなたと一緒にいると、幸せ一杯な気持ちになれて、うれしいです。わたしはあなたとこうして恋人どうしになれて、良かったと思っています」
と言ってくれている。
これはわたしのことを褒めすぎているのかもしれない。
わたしは生まれ変わろうと決意し、一生懸命努力は続けている。
しかし、オクタヴィノール殿下にふさわしい人間にまでは、まだまだ遠いと思う。
オクタヴィノール殿下のもっている心からのやさしさをわたしが身につけていくには、もっと努力が必要だと思っている。
それにしても、一週間に一回程度しか会えないというのはつらいものだ。
お互い、学校はあるし、その他の用事もあるので、仕方がないと思っている。
でもわたしとしては、毎日逢瀬を重ねたい気持ち。
オクタヴィノール殿下と会えない日は、寂しい気持ちになることが多い。
特に夜になると、寂しさで涙がこぼれてくることもあった。
ベッドで横になりながら、
「オクタヴィノール殿下、今すぐ会いたいです……」
とつぶやくこともある。
それだけ、わたしはオクタヴィノール殿下のことが好きでたまらなくなっていた。
オクタヴィノール殿下の方も、
「あなたとは毎日でもお会いして、恋人どうしとしての時を過ごしたいです」
と言ってくれていた。
しかし、継母は、わたしが一週間に一度オクタヴィノール殿下の招待を受けていることを、心よくは思っていなかった。
それどころか、
「あなたはオディナティーヌと違い、魅力がないのだから、その内、オクタヴィノール殿下に嫌われてしまうとわたしは思っています。とにかく、あなたは嫌われてもいいと思っていますが、嫌われるというのは、我々ボードリックス公爵家に迷惑をかけることにもなります。わたしとしては、ボードリックス公爵家の名誉の為にも、これからのオクタヴィノール殿下の招待は、断るべきです。いい加減母親であるわたしに従ってほしいものだわ」
と嫌味を言ってくる。
嫌味を言う回数自体は、だんだん減ってきている。
今までは、毎日会う度に嫌味を言ってきたのだけれど、今は毎日というわけではない。
わたしが継母のことを相手にしなくなったので、言う気力が少しずつ失われ始めているように思う。
それでもオクタヴィノール殿下にわたしが会う前日になると、必ずこのような嫌味を言ってきていた。
継母は、オクタヴィノール殿下とわたしが会うこと自体、反対をしている。
わたしのことを憎んでいることは、理解はする。
とはいうものの、オディナティーヌがルシャール殿下の婚約者になっているのに、なぜ、わたしのことをまだ憎んでいるのだろう?
憎んでいた主な理由は、わたしがルシャール殿下の婚約者候補として有力で、このままではオディナティーヌが婚約者候補になれないから、ということではなかったのではないのだろうか?
オディナティーヌがルシャール殿下の婚約者になったことで、わたしに対する憎しみは弱くなったと思っていたのだけど……。
わたしの存在そのものが嫌だということなのだろうか?
いずれにしても、以前のように相手をして、口ゲンカに発展するのでは、時間の無駄だ。
そして、何よりも、わたしの評判が良くならないので、避けたいところだ。
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