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第七十一話 素敵な女性

「聞きたいこととは?」


 オクタヴィノール殿下は、わたしに何らかの返事がもらえると思っていたようなので、少し落胆気味のように思う。


「わたしの評判についてです。オクタヴィノール殿下は、ご存じかどうかはわかりませんが、わたしの最近までの評判は、『わがままで傲慢な態度をとる』『嫌味を言うなどのイジメをする』など散々なものでした」


 このような話をして、


「あなたの言う通りのことを聞いていました」


 と返事をされたら少しガックリするだろう。


 でも、それは仕方のないことだ。


 わたしはオクタヴィノール殿下の言葉を待った。


 すると、オクタヴィノール殿下は、


「わたしは先程申した通り、あなたのことはあまり聞いたことはありません。あなたとわたしは同じ学校に通っていますが。校舎が別なので、女性の話はなかなか入ってきません。ただ、それでも話は全く入ってこないというわけではありませんでした。あなたについての話も、少しではありますが、聞いてはおりました。それはあなたも前で言いにくいことではあるのですが……。あなたが今言われた内容と同じようなことでした」


 と申し訳なさそうに言った。


 やはり、わたしが思っていた通りの返事だ……。


 わたしは予想していたこととはいうものの、ガックリする。


 オクタヴィノール殿下は、話を続ける。


「わたしはそうしたあなたの評判は聞いておりました。しかし、それは、耳に入っていたぐらいのもので、もともとわたしはあなたとは、一回ぐらいしか会っていませんでしたし、その時もあいさつ程度しかしていないので、そういう人がいるという認識しか持っていなかったのです。それに、その評判は噂話のものでしたから、誇張されているだろうとも思っていました。とにかくあなたは、わたしから遠いところにいる方ですので、名前だけは覚えたのですが、今までは、特に気にするということはなかったのです」


 オクタヴィノール殿下は、一旦ここで言葉を切った。


 そして、心を整えた後、


「わたしがあなたと出会った時、あなたのことを『運命の女性』だと思ったのは、先程申しました通りです。ただ、あなたの名前を聞いた時、一瞬だけ、以前聞いていた悪い評判を思い出したのです。しかし、すぐにわたしは思い直しました。わたしの前にいる女性は、聞いていた話とは違う方だったのです。美しい女性とは聞いていました。しかし、ただ美しいだけではなく、気品があり、心からのやさしさを持っている女性でした。わたしはあなたのことを今まであまり知らなかったので、よくわからない部分はありますが、もしあなたが悪い評判を立てられているとするならば、周囲の人たちによって誇張されてきたことも大きく、それが今でも続いているということなのでしょう。しかし、いずれにしても過去のあなたは、わたしにとっては、全く関係はありません。あなたはどこかの時点で、生まれ変わるほどの努力をし始めたのだと思います。その努力の結果なのでしょう。今のあなたは素敵な女性です。このことは、わたしがしっかりと今、認識しました。だからこそ、わたしはあなたに一目惚れしたのです」


 と力強く言った。


 オクタヴィノール殿下は、わたしの悪い評判を聞いていても、それでわたしのことを嫌うことはなかった。


 それどころか、


「素敵な女性」


 という評価をしてもらっている。


 こんなにうれしいことはない。


 わたしは胸が熱くなってきた。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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