第六十四話 継母の反対
それにしても、継母への対応は難しい。
わたしはオクタヴィノール殿下にお茶会に招待されたことを、お父様とお母様、そしてオディナティーヌに伝えた。
お父様は、
「オクタヴィノール殿下は優秀な方で、人格の方も優れている方と伺っている。そういう方と友達になり、そしてお茶会に招待されるというのは、名誉なことだ」
と言って喜んでくれた。
オディナティーヌは、ルシャール殿下に夢中になっていることもあり、特に関心はないようだったけれども、一応、
「よかったですね、お姉様」
と言ってはくれた。
本心で言っているかどうかはわからない。
それでもそう言ってくれるだけ、以前よりもわたしとオディナティーヌの関係は良くなってきていると思っている。
しかし、継母は、わたしと二人きりになると、
「あなたはオディナティーヌに比べると魅力はないのに、なんでオクタヴィノール殿下はあなたと一緒にダンスを踊ったり、お茶会に誘ったりするのかしら。素敵な方だと言われているオクタヴィノール殿下とあなたでは、全くつり合いが取れないのにね。そうだ、あなた、今すぐこの招待を断りなさい」
と言ってきた。
わたしは継母がそういったことを言ってくることは、想像していなかったわけではない。
でもどこかで、継母がわたしのことを多少なりとも祝福してくれることは望んでいた。
わたしはオディナティーヌにオクタヴィノール殿下の婚約者の座を譲ったのだし、最近は、なるべくやさしい気持ちで継母に接するように努力していた。
その努力が少しでも実ってほしいと思っていた。
しかし、今の言葉を聞くと、わたしの思いは通じていないようだった。
ガックリしてしまうと同時に、怒りも少し湧いていた。
なぜわたしがオクタヴィノール殿下のありがたいお誘いを断らなければならないの!
いや、怒ってはいけない。
それではまでのわたしと変わらなくなる。
わたしは怒りを抑えながら、
「どうして招待を断らなければならないのでしょう?」
と聞いた。
すると継母は、
「このままあなたが招待に応じたら、オクタヴィノール殿下の前で恥をかくことは確実よ。そうなったら、ボードリックス公爵家の恥になってしまうわ。あなただけの問題ではなくなるの。だからわたしは、あなたの母として、断りなさいと命じるの!」
と強い口調で言った。
何様のつもりで言っているのだろう?
当主であるお父様が認めてくれる以上、継母が反対したとしても、それは関係がない。
わたしは招待を断る必要はないのだ。
まだ継母がわたしのことを気づかっているのであれば、こちらも、
「心配ありません」
とやさしく応えるところ。
でも継母は、わたしが嫌いだからそう言っている。
継母がこの家に来てからずっとこうだ。
転生の記憶が戻る前までのリディテーヌは、継母に対して反撃することも多かった。
それがリディテーヌの評判を悪くしていく一つの大きな理由になっていた。
そして、最終的には、ルシャール殿下による「婚約破棄」「処断」につながっていった。
今回は、それらのことを避けられるようになったものの、ボードリックス公爵家から追放される可能性は、継母がわたしのことを嫌っている限りは、なくなったとは言えないと思う。
では妥協した方はいいのだろうか?
わたしが継母に妥協してその意見に従おうと、妥協せずに逆らおうと、わたしに対してもっている「嫌い」と言う感情はなくなるわけではない。
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