第六十三話 わたしはオクタヴィノール殿下の微笑みに心がさらに傾いていく
オクタヴィノール殿下は、そんなわたしに、
「あなたのダンスは、とても良かったです。ここまで上手に踊れる方はなかなかいないと思っています。また一緒に踊りたいですね」
と微笑みながら言ってくれた。
オクタヴィノール殿下がわたしのダンスを褒めてくださっている!
何よりもうれしいことだ。
わたしの心がオクタヴィノール殿下にさらに傾いた瞬間だった。
目から涙がこぼれそうになってくる。
わたしは涙をなんとかこらえながら、
「ありがとうございます。オクタヴィノール殿下。わたしのダンスを褒めていただいて、これほどうれしいことはありません」
と応えた。
オクタヴィノール殿下は、それに対して、
「これからもあなたと素敵なダンスを踊りたいので、よろしくお願いします」
とやさしく言ってきた。
それに対する返事は一つしかないだろう。
わたしは、
「光栄あるお話をいただきまして、とてもありがたいことだと思っております。オクタヴィノール殿下がよろしければ、わたしの方こそまたダンスをご一緒にお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします」
と言った。
わたしの方からダンスを望んでいる形の言葉になっているので、少し言い過ぎたかもしれないと思った。
しかし、オクタヴィノール殿下は気にする様子がないどころか、うれしそうだ。
少なくともわたしのことを嫌ってはいないと思う。
オクタヴィノール殿下は、
「わたしのお願い、お聞き届けくださいましてありがとうございます」
と言って微笑んだ。
このオクタヴィノール殿下の思いに応える為にも、もっとダンスを練習して、上達をしていきたいと思う。
そしてその後、オクタヴィノール殿下とわたしは、出席者たちに対して一礼をして、声援に対して感謝をするのだった。
舞踏会から一週間後。
わたしは王都の中にあるオクタヴィノール殿下の屋敷に馬車で向かっていた。
オクタヴィノール殿下のお茶会に招待をされたのだ。
お茶会と言っても、オクタヴィノール殿下と二人だけ。
オクタヴィノール殿下に失礼のないように、身だしなみをきちんと整えていた。
舞踏会でオクタヴィノール殿下とダンスを踊った後、わたしはオクタヴィノール殿下に、
「わたしの友達になっていただけませんか?」
と言われた。
わたしにとっては、うれしい申し出だった。
もちろん、この場合、一番うれしい申し出は、
「わたしの恋人になってくれませんか?」
ということにはなるのだけれど、さすがにそれは飛躍しすぎだ。
オクタヴィノール殿下は、わたしのことをほとんど知らないと言っていい。
その状態で、いきなりわたしに交際を申し込むことは、普通ではありえないだろう。
「友達」という存在になっただけでも、大きな前進だ。
そう言ってならえない可能性だって十分ありえたからだ。
今日や、これからこうして会っている内に、オクタヴィノール殿下のわたしに対する好感度を上げていけばいいいと思う。
今は七月。
学校卒業の三月までは、まだ時間はある。
わたしとしては、それまでに恋人どうしになっていきたい。
そして、ルクシブルテール王国王室とボードリックス公爵家の両方に婚約を認めてもらいたいと思っている。
その後は結婚に向かって、一緒に進んでいきたいと思っていた。
とにかくじっくりとオクタヴィノール殿下との仲を深めていこう!
わたしはそう思っていた。
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