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第六十話 オクタヴィノール殿下のことがますます好きになっていく

 オクタヴィノール殿下は、ぎくしゃくしていたわたしの心と動きを、そのリードで、見事に立て直してくれた。


 これほどありがたいことはないと思う。


 これからの時間で、わたしはオクタヴィノール殿下に応えていく。


 わたしは、今までの自分をすべて出していくつもりで一生懸命踊っていく。


 オクタヴィノール殿下も微笑みながらそういうわたしの思いに応える形で踊ってくれている。


 これほどの素敵な方だとは思わなかった。


 いや、わたしはまだオクタヴィノール殿下の魅力をほんのちょっとしか理解していないと思う。


「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」のゲームでオクタヴィノール殿下の魅力は理解したつもりでいた。


 しかし、それはわたしの思い違いだった。


 わたしの思っていたよりも、はるかに魅力一杯の方だったのだ。


 これからもっとオクタヴィノール殿下の魅力を味わっていきたい!


 わたしはこうして踊れば踊るほどオクタヴィノール殿下に魅了されていく。


 オディナティーヌすなわち主人公がオクタヴィノール殿下のルートを選択した場合、オディナティーヌとオクタヴィノール殿下も、今のわたしたちと同じようにダンスを踊るシーンがある。


 ゲームでのオディナティーヌは、ルシャール殿下ルートを含むどのルートを選択しても、ルシャール殿下とリディテーヌが婚約した後からダンスの練習に本腰を入れ始める。


 ルシャール殿下とリディテーヌのダンスのうまさに影響されて、自分もそのように踊りたいと思うようになったからだ。


 現在の展開とは大きく違っている。


 しかし、ゲームでもダンスは上達していた。


 ここでオディナティーヌは、オクタヴィノール殿下の心をつかむきっかけを得ていた。


 オクタヴィノール殿下にダンスの誘いを受けた時は、オクタヴィノール殿下の心をつかむチャンスが訪れたということで、うれしい気持になった。


 リディテーヌとオディナティーヌでキャラクターが違うとは言っても、このチャンスは生かしたいと思った。


 しかし、その時、主人公ではないリディテーヌであるわたしの場合、ダンスを上手に踊れたとしてもオクタヴィノール殿下の心をつかむきっかけにはならないのでは、という気持ちが一瞬ではあるけれど湧いてきた。


 ただ、すぐにそういうことは思わないようにした。


 それを思ってしまったら、ダンスをする気力がなくなってしまうからだ。


 それではオクタヴィノール殿下と仲良くなるきっかけ自体がなくなってしまう。


 この思いはなんとか抑え込んだ。


 その結果、先程、一時的には心がコントロールできないところまで到達してしまったけれども、ダンス自体は続けることができていたし、こうして本来のわたしを取り戻している。


 もし、この思いを抑え込むことができず、その思いが盛り返していたら、踊っている途中であっても、ダンスをする気力がなくなっていったかもしれない。


 今のオクタヴィノール殿下は、わたしに心が傾きつつあると思う。


 わたしの方は、もうオクタヴィノール殿下の魅力に心が奪われてきていた。


 この関係を大切にしていきたいと思う。


 夢のような時間が続く。


 わたしの人生の出発点では、病弱で短い生涯だったので、こうしたことは経験できなかった。


 転生一度目では、ルシャール殿下とダンスを踊ったことは何度もある。


 しかし、今日のような「夢のような時間」という経験はできなかった。


 ルシャール殿下とリディテーヌは、心を通じ合うことはできなかったからだ。


 ルシャール殿下はリディテーヌに甘い言葉をかけたりして、リディテーヌと仲を深めようとする努力をしていた。


 今思い出しても、心が甘くなるほどの言葉。


 それが今は、オディナティーヌに対して言葉がかけられていると思うと、少し嫉妬してしまうのではあるけれど……。


 ただ、ルシャール殿下は、リディテーヌの扱いには、もともと苦慮しているところはあった。


 そうしたところに、リディテーヌに対する悪評がたくさん耳に入ったので、リディテーヌに対する怒りが爆発したのだろうという気がする。


 リディテーヌの方はルシャール殿下に対して、好きだという気持ちを婚約の時点で持ってはいた。


 しかし、それは、


「まあまあ好意を持っている」


 という程度のものでしかなかった。


 それでも婚約以降、会うことが増えていく内に、ルシャール殿下のことをだんだん好きになってきていた。


 とはいうものの、ルシャール殿下がリディテーヌに対して仲を深めていく努力をしていたのに対し、リディテーヌの方は、ルシャール殿下の婚約者にふさわしい女性になる努力はしていたものの、自分からルシャール殿下と仲を深める努力はしなかった。


 それどころか、仲を深めようとするルシャール殿下に対して、冷たい態度を取ることも少なくはなかった。


 結局のところリディテーヌは「悪役令嬢」だったので、ルシャール殿下のことを素直な気持ちで愛することはできなかった。


 このようなことによって、ルシャール殿下によるリディテーヌへの婚約破棄と処断につながっていったのだと思っている。


 その点、今回のオクタヴィノール殿下とわたしは、最初からうまく言っている気がする。


 この夢の時間が今日だけではなく、これからも続いてほしいと思う。


 ああ、オクタヴィノール殿下。


 わたしはオクタヴィノール殿下に恋をしています。


 もともと推しでしたし、好きでした。


 しかし、今日、こうして近くで接している内に、ますます好きになりました。


 この熱い想いが少しでも伝わっていくとうれしいです!


 わたしはオクタヴィノール殿下と踊りながら、強くそう思うのだった。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


と思っていただきましたら、


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