表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/102

第五十九話 オクタヴィノール殿下とのダンス

 二人のダンスが終わった後、少しの休憩を経て、ダンスは再開される。


 ダンスの準備をする人たち。


「リディテーヌさん、それではよろしくお願いします」


 オクタヴィノール殿下は微笑みながらわたしに言う。


 いよいよオクタヴィノール殿下とダンスを踊る時がきた。


 わたしは急激に緊張してくる。


 ダンスは自信があった。


 幼い頃から一生懸命練習してきて、ダンス教師にも、


「これほどの腕前をお持ちの方は。この王国にはほとんどおられないでしょう」


 と言って、褒められていた。


 もちろんルシャール殿下には及ばない。


 今日のダンスを見て、それは実感した。


 でも、ルシャール殿下以外のデュヴィテール王国の人たちには負けない自信はあった。


 しかし、推しの方と一緒に踊るということがどういう意味を持つことか、ということまではさすがに想定はできなかった。


 胸のドキドキがどんどん大きくなっていく。


 この情勢化で、普段通りのダンスを披露することができるのだろうか?


 失敗して、出席者の笑いものになり、オクタヴィノール殿下に嫌われる。


「わたしも恥をかかされてしまった……」


 と言われるかもしれない。


 そして、継母に嘲笑されてしまうだろう。


 オディナティーヌは口には出さないと思う。


 しかし、内心はここぞとばかりに軽蔑の心に満たされるに違いない。


 わたしがマイナスの気持ちに心が占められ始めていた時。


「緊張しなくて大丈夫ですよ。わたしはあなたに合わせますから、あなたの思いのままに踊ってください」


 オクタヴィノール殿下がわたしに微笑みながら言ってくれた。


 オクタヴィノール殿下がわたしを支えようとしてくれる。


 それに応えなければならない!


 わたしの心の中に力が湧いてきた。


「力をいただいて、ありがとうございます。わたし、一生懸命踊ります」


「わたしも一生懸命踊ります。お互いにいい思い出として残るようなダンスにしていきましょう」


「よろしくお願いします」


「こちらこそよろしくお願いします」


 オクタヴィノール殿下は、わたしを包み込むような笑顔でわたしに言う。


 胸のドキドキはなかなかおさまらないのだけれど、緊張の方は少しずつほぐれ始めていた。


 とにかく今は、踊ることに全エネルギーを集中しよう!


 これだけわたしに気づかいをしていただいているオクタヴィノール殿下の為に!


 そして、ダンスは再開された。


 王室楽団が上質な音楽を演奏する。


 その中では出席者たちが、思い思いの質の高いダンスを展開していく。


 オクタヴィノール殿下とわたしも踊り始めた。


 最初の内は、心がフワフワして、ぎこちない動きになっていた。


 胸のドキドキは、一旦はおさまる方向だったのだけれど、これほどオクタヴィノール殿下と近接してくると、それを抑えることは困難になってくる。


 それだけではない。


 恥ずかしさが一気に押し寄せてきた。


 わたしは一時的に、心のコントロールができなくなる。


 こんなことなら、オクタヴィノール殿下の誘いを断るべきだった……。


 そんな思いさえもわたしの心の中に湧いてくる。


 しかし、そんなわたしを救ってくれたのが、オクタヴィノール殿下の巧みなリード。


 そのおかげで、だんだん本来のわたしの動きになっていく。


 そして、オクタヴィノール殿下との息もピッタリと合うようになってきた。


 もう何年も前から一緒に踊っていたパートナーどうしと思えるほどだ。


 これはやはり、オクタヴィノール殿下のダンスの技量が優れているからだろう。


 先程のルシャール殿下のダンスと比べても遜色はない。


 いや、もうルシャール殿下のことは考えなくてもいいだろう。


 わたしは、オクタヴィノール殿下と踊ることができれば、もうそれで十分だ。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


と思っていただきましたら、


下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。


ブックマークもいただけるとうれしいです。


よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ