第四十五話 わたしをあざ笑うルクディアさん
わたしは心を入れ替え、新しい人生を歩み出した。
とはいうものの、周囲の評判はすぐに良くなるものではない。
最初の一週間ほどは、わたしが微笑んでも返ってくるのは、わたしを恐れ、嫌がる表情だけだった。
いかにリディテーヌというキャラクターが周囲に対して、恐怖をもたらし、嫌がられていたかが良くわかるというものだ。
わたしは、そのような対応を受ける度に、少し落ち込んでいた。
しかし、その程度でめげるわけにはいかなかった。
わたしは、より一層。気品を維持しながら、やさしい気持ちで接するように心がけた。
その努力は、二週間目になり、ようやく少しずつではあるけれども、実を結び始めてきた。
まだ数人ではあるものの、わたしの微笑みながらのあいさつに対して、微笑みながら返事をしてくれるようになった。
いい方向に進み始めたと思う。
クラス全員とそうしたあいさつができるように、もっと努力をしていきたい。
ルクディアさんとの関係は、わたしがルクディアさんの美しさを認め、言い争いをしなくなってからは、良いということは言えないまでも、悪化の方向に向かうことはなかった。
嫌味は依然として言ってはくるものの、勢いは大幅に失っていた。
ルクディアさんは、わたしがルクディアさんの
「軍門に降った」
と言って喜んでいたのだけれど、それも実質的なものは全くなかったので、そのことについて、わたしに話すことも減っていった。
そして、わたしがルクディアさんの嫌味を聞き流すようにしているので、張り合いがなくて困っているようにさえ思えた。
このままいけば、嫌味を言うこともなくなるだろうと思っていた。
思っていたのだけれど……。
わたしたちが入学六年目を迎えた、春の四月上旬のある日。
放課後の教室で、わたしはルクディアさんと二人で対峙していた。
ルクディアさんが、
「あなたと二人で話をしたい」
とわたしに言ってきたのだ。
二人きりになって、また激しくわたしに嫌味を言う気になったのだろうか?
わたしはそう思っていた。
ここのところ、わたしに対する嫌味はまずますその勢いを失っていた。
そのことについてもストレスがたまり、一気に噴き出すのでは?
そういう懸念を持っていた。
とはいうものの、わたしとしてはもう言い争いをする気は全くない。
いつものように聞き流すだけの話だ。
そう思いながら、ルクディアさんと向かい合っている。
ルクディアさんは、最近ではなかった厳しい表情をしていた。
「リディテーヌさん、わたしはちょっと気になることを聞いたの」
「気になること?」
「単刀直入に言うわ。あなた、ルシャール殿下の婚約者の座を妹に譲ったんですってね。想像もできないことだわ」
ルクディアさんはあきれたように言う。
そして、
「理由はなんなの? まあ、ルシャール殿下があなたと二人で会う機会が会った時に、その性格のわがままさとか、傲慢な態度をルシャール殿下に認識されて、嫌われたということなんでしょうけど」
そう言った後、ルクディアさんはわたしをあざ笑った。
それにしても、自分もわがままで傲慢な態度を取るというのに、相変わらずそのことを棚に上げて、人のことを指摘するとは……。
なんとなく笑いがこみあげてくる。
そして、わたしは、我慢できずに少し笑った。
すると、ルクディアさんは、
「何を笑っているのかしら。わたしに指摘されるのがそんなにうれしいのですか? あきれた方ですね。そんなことだから、ルシャール殿下の婚約者の座を妹に譲ることになるのですわ」
と言った後、また高笑いをした。
わたしは、そんなルクディアさんに対しては腹が立つことはない。
「ますます美しくなってきていいなあ……」
と思うのだった。
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