第四十話 イメージを変えたい
こうしてわたしは、ルシャール殿下の婚約者候補をオディナティーヌに譲ることができた。
これで、わたしは、ルシャール殿下と婚約をしないですむことになる。
ホッとするわたし。
これで、ルシャール殿下からの婚約破棄と処断の可能性はほとんどなくなった。
しかし、わたしにはまだまだしなければならないことが多い。
わたしが今背負っている「悪役令嬢」というイメージを、なんとしてでも変えていかなくてはならなかった。
というのも、このままのイメージで進んで行くと、
「ボードリックス公爵家からの追放」
というところは避けられない可能性が強いからだ。
ルシャール殿下のルートだと、この公爵家からの追放は、婚約破棄と処断の間に発生するイベントだ。
ルシャール殿下に無礼を働いたリディテーヌに対し、ルシャール殿下は処断を命じるのだけれど、公爵家令嬢のままだと、その命令を下すことが難しい。
そこで、公爵家から追放するという命令をはさんだ後で、処断を下したのだ。
ルシャール殿下との婚約が成立しなくなったので、ルシャール殿下の命令と言う形での、公爵家追放はなくなった。
しかし、お父様がこの世を去った後、このままの状態で進んでいった場合、オディナティーヌが公爵家当主になる。
継母は多分、オディナティーヌがルシャール殿下の婚約者になったことで、ルシャール殿下に対して、オディナティーヌを後継者にするように働きかけるだろう。
ルシャール殿下も、継母に頼まれれば、OKをしてしまうに違いない。
ただでさえ、OKしやすい話だというのに、わたしの評判が良くないままであれば、なおさらOKはしやすくなるだろう。
オディナティーヌが後継者になれば、オディナティーヌは継母のいいなりになる。
これを好機として継母はわたしをボードリックス公爵家から追放しようとするに違いない。
その時、今までのように人望がないままであれば、ボードリックス公爵家の人たちも全員、わたしの追放に賛成することだろう。
わたしがボードリックス公爵家から追放された場合、お母様の実家であるギャールボルドン侯爵家に行かされることになるのだと思う。
リディテーヌはお母様と一緒にそこを訪れたことが何度かある。
わたしの悪い評判はともかく、お母様の子供であるので、わたしの受け入れを断ることはないと思う。
ただ、ギャールボルドン侯爵家では、わたしを持て余すことになる。
冷たい扱いを受ける可能性は強い。
居心地は決して良くないに違いない。
そして、なによりも、その時点で、わたしは大きな心の傷を負うことになってしまう。
その傷を癒すこと自体大変なことだ。
予想されるギャールボルドン侯爵家のわたしへの冷たい扱いと、この心の傷によって、わたしの心は壊れてしまう可能性は多いにあると思う。
このように思ってくると、ボードリックス公爵家からの追放は、なんとしてでも避けたい。
ルシャール殿下の婚約者になると、ボードリックス公爵家からはほぼ間違いなく追放されてしまう。
追放されなかったとしても、追放の可能性がかなりの確率で存在してしまっている。
リディテーヌではなくて、オディナティーヌに転生していれば、こういうことで悩むことはなかった。
なぜリディテーヌに一度だけならまだしも、二度も転生しなければならなかったのだろうということは、どうしても思わざるをえない。
しかし、現実的に、わたしはリディテーヌとして生まれ、生きている。
生きている以上は、なんとしてでも活路を開いていかなければならない。
それには、わたしの評判をこれから上げていくしかない。
今までのような、わがままで傲慢なわたしは、もういない。
これからは、心がやさしくて素敵な女性になる。
そして、周囲から慕われる女性になるのだ。
そうすれば、わたしの推しであるオクタヴィノール殿下の愛を受けられるようになり、婚約、結婚へと進んでいけるはず。
明日は学校に行く。
学校でも評判は決して良くないわたし。
その評判を良いものにしていくよう、態度を変えていこう!
わたしは強くそう思うのだった。
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