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第三十三話 わたしに対する意識をいい方向に変えていく侍女

 わたしはジゼルアさんに自分のやさしさが伝わったことがうれしかった。


 とはいうものの、わたしへの恐れはもったままのようだ。


 わたしに頭を下げた後、体が震えている。


 また厳しいことを言われるのではないかと思っているのだろう。


 リディテーヌとしての記憶を振り返ってみても、リディテーヌは、たまにジゼルアさんにやさしい言葉をかけることがあったのだけれど、それをジゼルアさんがその通りに受けて喜んでいると、途端に、


「何をあなたは喜んでいるの! わたしがあなたにやさしくしたのはただの気まぐれでしかないの。そんなこともあなたはわからないのかしら!」


 と言ってジゼルアさんのことを嘲笑していたからだ。


 ただ、リディテーヌの心の中は複雑なものだった、


 自分に尽くしてくれるジゼルアさんをねぎらいたいというやさしい気持ちをリディテーヌは、心の底には持っていた。


 しかし、それをうまく伝えることはできないので、こうした対応になってしまっていた。


 とはいうものの、ジゼルアさんにとっては、リディテーヌがどのように思っていたとしても、リディテーヌの対応は恐怖でしかない。


 わたしの今日の言葉や態度も、ただの気まぐれだという意識が強いと思う。


 まずはこのジゼルアさんのわたしに対する意識を変えてもらうところから始めなければならない。


「ジゼルアさん、まずは今までのことを謝らなければならないわね。今までのわたしに対して酷いことをたくさんしてしまった。ごめんなさい」


 わたしがそう言って頭を下げると、ジゼルアさんは、


「リディテーヌ様、それはご本心でございますか? 急にそういうことを申されても、わたしはどのように対応してよいのか、わかりません」


 と困惑した表情で言った。


「あなたがそう言うのもわかります。でも、わたしは生まれ変わろうと決心したのです。このままでは、名門であるボードリックス公爵家の令嬢としてふさわしくない人間になってしまうと思ったからです。わたしは、ボードリックス公爵家の令嬢としてふさわしい人間になる為、心を穏やかにし、心の底からやさしい人間になろうと決心しました。もうあなたに対しても、酷い仕打ちはしません」


「それは本当のことでございますか? 今までのことは冗談で、また厳しいことをおっしゃるのではないかと思って、怖れております」


 ジゼルアさんはまだ体の震えが止まっていない。


 そんなジゼルアさんに、わたしは、


「今までのことを思うと、あなたがわたしのことを信じないというのは理解します。しかし、わたしは、本心から生まれ変わろうと思っていますし、あなたに対しては、やさしく接したいと思っております。そのことを理解してもらえるとありがたいと思っています」


 とやさしく言った。


 ジゼルアさんは、この言葉を聞いて、ようやく少しホッとしたようだった。


 体の震えも止まったジゼルアさんは、


「昨日までのリディテーヌ様と違い、先程も申しましたが、やさしさを感じます。わたしはリディテーヌ様の言うことを信じたいと思います」


 と言った。


「ありがとう。そう言ってもらえるとうれしいわ」


「ただ、わたし自身、決してリディテーヌ様に対してよく尽くしてきた侍女ではないと思っています。怒られるところがあっても仕方がないと思っていました。そういうところはお詫びいたします。これからは、より一層リディテーヌ様に尽くしていきたいと思います」


「あなたは、今までもわたしに尽くしてきてくれました。その点は感謝しています」


「もったいないお言葉でございます。ありがとうございます」


「ジゼルアさん、これから改めて、よろしくお願いするわね」


「リディテーヌ様、こちらこそよろしくお願いします」


 ジゼルアさんの胸に熱いものが込み上げてきているようだ。


 ただ、まだまだわたしのことは信じきれていない様子。


 それは仕方のないことだと思っている。


 ジゼルアさんに対しては、長年、酷い仕打ちをしてきたので、今日一日ではわたしの変化を全面的に信じることはできないと思う。


 これからの毎日の対応で、少しずつ信頼を築いていくしかないだろう。


 わたしはそう思っていたのだった。


「面白い」


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