第二十四話 現在の状況
わたしは、まず、自分の今置かれている立場から整理をすることにした。
今は三月。
リディテーヌは、四月になると、王国が設立した学校に通い始めてから六年目で、最終学年になる。
この学校は、貴族や平民といった身分には関係なく、十二歳から十八歳までの選抜をされたものたちが通っている。
リディテーヌはそこで、三位の成績をおさめ続けていた。
この「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」というゲームは、この学校に通う主人公の女性が、周囲にいる男性と仲良くなり、その内の一人と恋をしていく、というのが大きなストーリーの軸になっている。
主人公の名前はオディナティーヌで、リディテーヌの継母の連れ子である女性こそがオディナティーヌなのだ。
悪役令嬢であるリディテーヌとは違い、心やさしくて、我慢強いキャラクターとして描かれている。
姉であるリディテーヌのイジメにもひたすら耐える。
やがて、攻略対象の男性と出会い、一途に愛を捧げることによって、相思相愛になっていく。そして、恋人どうしになり、婚約をした後、結婚をして一緒に幸せになっていく。
オディナティーヌは、好きになった男性に一途で、学校でもトップ五に入るほど成績がいい。
しかも、リディテーヌと同じくらいの美しい容姿を持ち、芯も強い。
わたしとしては、「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」のゲームの世界に転生をするのであれば、リディテーヌではなくて、主人公であるオディナティーヌに転生したかった。
このキャラクターであれば、わたしが推しているルシャール殿下と、周囲から嫌われたり敬遠されたりしているリディテーヌとは違い、すぐに仲良くなることができるからだ。
この「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」の世界には、攻略対象の男性が七人いる。
その中でも、デュヴィテール王国のルシャール王太子殿下とルクシブルテール王国のオクタヴィノール王太子殿下が人気のキャラクターだ。
主人公が、どのキャラクターの好感度を上げていくか、というところで、ルートが分岐していくのだけれど、どのルートを選択したとしても問題になってくるのは、リディテーヌの扱いだ。
今、わたしリディテーヌが生きているところは、ちょうどゲームのスタート時点。
スタート時点だというのに、既に「悪役令嬢」扱いになっているのは、納得がいかないところではあった。
それでも主人公ではないのだから仕方がないと思ってしまうこともある。
いや、ゲームのプレイヤーであればそれでいいと思うのだけれど、このキャラクターそのものに転生をしてしまったわたしとしては、やはり、納得はできないところだ。
ルシャール殿下とリディテーヌとの婚約は必須イベント。
その後、主人公がルートを選択することになる。
主人公がルシャール殿下のルートに入った場合が一番悲惨で、婚約破棄と公爵家追放と処断がセットになる。
わたしの転生一度目がこのルートだった。
主人公がオクタヴィノール殿下のルートや、他のキャラクターのルートに入った場合、ルシャール殿下はメインのキャラクターではなくなる。
しかし、それでも主人公であるオディナティーヌをイジメていて、いつも周囲に傲慢でわがままな態度を取っていたのは、婚約者としてふさわしくないという理由で、処断はされることはないものの、婚約は破棄され、ボードリックス公爵家を追放さてしまい、そして、修道院に送られることになってしまう。
いずれのルートに進んだとしても、救いがないものだと言える。
どうしてこんなルートしかないのだろうと思うほどの扱いだ。
「婚約破棄」「公爵家追放」「修道院送り」「処断」……。
これらのことを避ける方法はあるのだろうか?
わたしは一生懸命、検討を続けていた。
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