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第二十二話 わたしの心は壊れてしまった

 わたしの心は壊れてしまった。


 それだけではない。


 もともと病弱ではあった。


 しかし、中学生の時や、高校生になってからも今の時点までは、入院するほど体調が悪化することはなかった。


 その体の方も壊れてしまった。


 それはあまりにも急激なことだった。


 入院をすることになったのだけれど、もともと病弱だったので、それからわずか二日ほどでわたしは危篤の状態になってしまう。


 わたしが冬伸ちゃんに振られて五日も経っていなかった。


 これほど急激な病状の悪化だったので、友達がお見舞いに来ることはできなかった。


 もう少しわたしの入院が長くなっていれば、お見舞いに来たかもしれない。


 今思うと、この世を去る前にもう一度おしゃべりをしたかったと思う。


 わたしに付き添ってくれていたのは、両親。


 わたしのことをよくかわいがってくれていた。


 いいお父さんとお母さんだ。


 若くして、二人を残してこの世を去ってしまうのは、申し訳ない気持ちで一杯だった。


 その両親には、冬伸ちゃんと別れたことは伝えてはいなかった。


 伝える気力自体、わたしにはなかったからだ。


 両親は、冬伸ちゃんに、わたしの病気のことや入院したことを伝えたのだとは思う。


 しかし、わたしの病状がここまで急激に悪化することは予想できなかったので、冬伸ちゃんに、もしお見舞いの意志があったとしても、翌週のことになっていただろう。


 わたしを振った今になっては、お見舞いの意志があったのかどうかもわからない。


 それに、今さらお見舞いに来られたとしても、既に壊れてしまったわたしの心に対して、さらなる打撃を与えるだけのものになっていただろう。


 冬伸ちゃんとは、会えなくてよかったと思う。


 友達ともう一度会えなかったのは残念だけれど、両親がそばにいてくれるので、わたしとしては、それでいいと思っていた。


 つらく苦しい状態の中、わたしは一生懸命願っていることがあった。


 それは、来世で転生した時に、わたしの好きな乙女ゲーム「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」の登場人物であるルクシブルテール王国のオクタヴィノール王太子殿下のような素敵な方と恋人どうしになり、婚約、結婚をするということ。


 デュヴィテール王国のルシャール王太子殿下も素敵な方。


 このゲームの中のキャラクターでは、ルシャール殿下とオクタヴィノール殿下のことが好きで推している。


 しかし、もしこのゲームの中に転生できるのであれば、婚約、結婚したいと思っているのは、ルクシブルテール王国のオクタヴィノール殿下だった。


 ただ、このゲームの世界の中に転生をしたいという気持ちは強いのだけれど、一方では、今、わたしが生きている日本のこことは違う場所で転生をしたいと思う気持ちも強い。


 今の世界で、オクタヴィノール殿下のような素敵な方と結婚をするということにもあこがれていた。


 オクタヴィノール殿下の一番いいと思うところは、好きな女性に一途なところだ。


 冬伸ちゃんに浮気されたわたしとしては、ますますオクタヴィノール殿下のような方へのあこがれが強くなってくる。


 来世というものがあるかどうかはわからない。


 周囲の人たちでそれを信じている人はいないと言ってもいいぐらいだ。


 しかし、わたしはそれを信じたかった。


 この世で、恋人に浮気され、こうして人生を終えようとしているわたし。


 これだけつらい思いをしたのだから、来世では幸せになりたい。


 もし来世がないというのなら、わたしの人生はただ悲惨なものになってしまう。


 来世があってほしい。


 来世があったとしても、「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」の世界の中に転生するかもしれない。


 今の世界の中に転生するかもしれない。


 そして、もしかすると、全く違う世界の中に転生するかもしれない。


 しかし、どの世界に転生するとしても、オクタヴィノール殿下のような素敵な方に出会いたい。


 そして、来世でわたしは、オクタヴィノール殿下のようなお方と幸せになっていきたい!


 わたしはこの世を去るまで、そう願い続けていたのだった。


「面白い」


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