第十四話 わたしは幼馴染に告白する
翌日。
放課後の校舎の外れ。
わたしは冬伸ちゃんをここに呼び出していた。
今日、冬伸ちゃんは部活が休みの日。
幼馴染として、今までは対してきたので、胸がドキドキするということはほとんどなかった。
しかし、今日は違う。
幼馴染としての関係から決別し、恋人どうしとしての道をこれから歩み始める。
その為に、わたしは冬伸ちゃんに告白をする。
その告白の仕方については、今日ここに来るまで、一生懸命心の中で組み立ててきた。
とはいうものの。こうして冬伸ちゃんを目の前にすると、胸のドキドキが大きくなってきて、苦しくなってくる。
わたしが冬伸ちゃんを誘ったのにも関わらず、最初の言葉が出てこない。
本来であれば、少し冬伸ちゃんがリラックスするような話をしてから告白するつもりだったのだけれど、最初から計画が壊れ始めている。
わたしは、自分というものが、度胸があるようでない人間だと思わざるをえない。
冬伸ちゃんは、わたしが話し出すのを待っている。
それはそうだ。
わたしが話し出さなければ、冬伸ちゃんはどう対応していいかわからないだろう。
しばらくの間、お互いに沈黙の時間が続き、冬伸ちゃんは。困惑した表情になっていく。
わたしは何とか言葉を冬伸ちゃんにかけようとするものの、胸のドキドキがさらに大きくなってきて、言葉を出すことができない。
やがて、冬伸ちゃんは、わたしのことを気づかってくれて、
「冬伸ちゃん、今日の朝、俺に話があるって言っていたけど……」
と言ってくれた。
わたしは、ホッとした。
しかし、ホッとしているだけではいけない。
その気づかいには応えなければならない。
わたしは、決意し、
「今日、冬伸ちゃんにどうしても話があって、ここに来てもらったの。ごめんなさい」
と言って頭を下げた。
すると、冬伸ちゃんは、
「今日は部活がないから別に謝らなくていいよ。それに俺たちは幼馴染じゃない。そんなにかしこまることはないよ」
と言って微笑んだ。
最初の予定では、ここで少し他愛のない話をしてから告白しようと思っていた。
しかし、その余裕はない。
ここは一気に行くしかない。
そうしないと胸のドキドキに押しつぶされて、何も言えないまま終わってしまう。
それは嫌だ!
そう思ったわたしは、
「冬伸ちゃん、いきなりすぎて申し訳ないと思っている。でも、今日言わなければならないことだと思っているの」
と言った。
「今日言わなければならないこと?」
「そう。今日言わなければならないこと」
わたしは言葉を一回切り、心を整えた後、
「わたし、冬伸ちゃんのことが好き。恋人として付き合ってほしい。わたしは幼馴染ではなく、冬伸ちゃんの恋人になりたい」
と一気に言った。
言った後、急速に恥ずかしさが湧き上がってくる。
そして、いきなりこういうことを言ったら嫌われてしまうのでは、という気持ちも少しずつ湧いてくる。
冬伸ちゃんは、わたしの言葉を聞いて、とても驚いているようだ。
しばらくの間、沈黙がこの場を支配する。
やがて、冬伸ちゃんは。
「俺、りくらちゃんが俺に対して、そういう気持ちを持っているとは思わなかった。だから、ものすごく驚いているんだ」
と言った。
「冬伸ちゃん、ごめんなさい。突然の告白だったので、心の準備はできていなかったと思っている。でもここで話をしなければ、冬伸ちゃんがわたしからどんどん離れて行く気がしていたから、今、話をさせてもらったの」
わたしはそう言っている間に、だんだん胸が熱くなってきていた。
「面白い」
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