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第一話 ルシャール殿下に婚約破棄されたわたし

 わたしはリディテーヌ。ボードリックス公爵家令嬢。


 デュヴィテール王国のルシャール王太子殿下の婚約者になっている。


 ルシャール殿下はイケメンで、頭が良く、剣術も武術も馬術も王国一までとはいかないが、なかなかの腕前。


 わたしはそんなルシャール殿下がだんだん好きになってきている。


 七月。


 今日は、王室が主催する夏の舞踏会に出席していた。


 舞踏会では、いつもルシャール殿下にふさわしい女性であろうとして豪華なドレスを着てきている。


 わたしは金髪碧眼の女性。


 周囲の人たちからは美しいと言われていた。


 舞踏会に到着した後、わたしはすぐにルシャール殿下のもとにあいさつに行き、褒めてもらおうとした。


 しかし、いつもは、


「きみは今日も美しい。これほどの美しい女性は、この王国のどこを探してもいないだろう」


 とこちらが恥ずかしくなるほど褒めてくれる殿下が、今日は、


「今日も来たんだね」


 と言うだけで、わたしがその後話しかけても、どこか上の空。


 いつもはわたしの容姿を褒めてくれるのに……。


 お疲れなのだろうか?


 最近、ルシャール殿下は政務が忙しくてわたしと会う時間が減っていた。


 まだ婚約者の身なので、ルシャール殿下の政務のお手伝いはできない。


 それがもどかしい。


 今すぐにでも結婚式を挙げて、ルシャール殿下の正式な妃になりたい。


 しかし、わたしは、王国が設立した学校の学生で、卒業は来年の三月。


 来年の四月以降でないと結婚式を挙げることはできない。


 ただ、国王陛下や王妃殿下は、ルシャール殿下とわたしが二十歳を迎えてから結婚式を挙げてほしいと言っていた。


 今までの王太子の結婚式のほとんどが、王太子が二十歳を迎えて以降に行っていたことによるものだ。


 そうなると、あとまだ二年以上先の話となる。


 その間は、会える日も時間も限られてくる。


 わたしとしては、一日中ルシャール殿下のそばにいたいと言うのに……。


 せめて今日は、ルシャール殿下とずっと一緒に踊っていたい。


 まだわたしはルシャール殿下とキスをしたことがないので、できればこの舞踏会の後、ルシャール殿下とキスをしたい。


 そう思いながら、舞踏会の開会をルシャール殿下が宣言するのを待っていた。


 わたしはまだ婚約者で妃ではないので、ルシャール殿下とは少し離れたところにいた。

 あれ、どうしたんだろう?


 ルシャール殿下の隣には、いつの間にか継母とその連れ子のオディナティーヌがいる。


 二人は、微笑んでいるが、わたしの方を向くと、それは意地に悪そうなものに変化していた。


 ルシャール殿下とわたしは婚約している。


 しかし、まだ結婚式を挙げたわけではない。


 二人は、わたしが結婚式を挙げてから初めて王室の親族になることができる。


 まだ王室の親族になったわけではないのに、なぜルシャール殿下のおそばにいるんだろう?


 ルシャール殿下が許したことなのだろうか?


 そう思っていると、ルシャール殿下は突然、


「今日、お集まりいただいた方々にわたしは宣言をしたい」


 と言い出した。


 出席者は、ルシャール殿下の言葉にざわめき出す。


 しかし、それは一瞬のことで、すぐにおさまった。


 そして、ルシャール殿下の次の言葉を待つ態勢になった。


 わたしも、


 これからルシャール殿下は、何を言い出すのだろう?


 と思いながらルシャール殿下の言葉を待つ。


 すると、ルシャール殿下は厳しい表情になり。


「わたしルシャールは、リディテーヌとの婚約を破棄する!」


 と大きな声で叫んだ。


 舞踏会の出席者もわたしも、言葉自体は聞こえてきていた。


 しかし、それが意味するところを把握するのには、少しだけ時間がかかった。


「婚約を破棄する!」


 その言葉の意味をわたしは理解し始めると、心の中で少しずつ怒りが沸いてくる。


 そして、


「それは、いったいどういう意味でございましょう? 冗談でしたら、せっかくの舞踏会の場です。おつつしみいただきたいと思います」


 と反撃し始める。


 ルシャール殿下は、それに対し、


「冗談でなかったとしたら? きみはどうするのかな?」


 と今までにない猫なで声でわたしに応える。


「どうするも何も、わたしたちは既に婚約をした仲ではありませんか? しかも、婚約してからは、定期的に謁見を受け、愛を育んできたではないですか? それなのに、『婚約破棄』などと言われては、冗談と受け取ることしかわたしはできませんわ」


 そう言うと、わたしは高笑いをした。


 すると、ルシャール殿下は


「きみのその傲慢な態度、今までは我慢をしてきた。しかし、もう我慢ならん!」


 と怒声を発する。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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