表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

第9話「意外と押しに弱い」

「それで、話とは何かしら?」


 屋上に着くなり、吹雪はさっそく切り出してきた。

 姫花は吹雪と二人きりの空間にドキドキしながら、かわいらしく小首を傾げる。


「とりあえず、お弁当食べながらお話ししない?」

「…………」


 嬉しそうにお弁当箱を見せてくる姫花に対し、吹雪は冷たい目を向ける。


「一緒に食べるつもりはないわ。話を聞いたら教室に戻るから」

「でも、お弁当箱……持ってきてるよね?」

「――っ」


 指摘をされた吹雪は、バッとお弁当箱を後ろ手に隠す。

 だけど、それで持っていたことは誤魔化せない。


「氷坂さんも、一緒に食べるつもりだったんじゃないのかな?」

「違う、これは咄嗟に持っただけ……! あなたなんかと食べる気はない……!」


 指摘されたからか、吹雪の頬はほんのりと赤い。

 そんな吹雪を見た姫花は――。


(氷坂さんって、実はツンデレ?)


 と、考えてしまう。


「それはちょっと効率悪くない? 食べながらお話ししたほうが、効率いいと思うの」


 吹雪がどういう人間なのか。

 なんとなくわかっている姫花は、吹雪の攻略にかかる。


 吹雪は物事を利害で考えたり、効率を気にする節がある。

 そのため、そこを突いてみたのだ。


「あなたと食べた場合、静かに食べられそうにないんだけど……」


 一応姫花の言葉は刺さったのか、食べる方向を検討してくれたようだ。

 しかし、返ってきた言葉は、チクリと姫花の心に刺さる。


「私、うるさい人間だと思われてる!?」

「実際今、普通にうるさいじゃない」


「これは、氷坂さんがツッコますようなことを、言ってるせいだと思う……!」

「人のせいにしないでくれるかしら?」


 相変わらず、吹雪は取り合わない態度を取る。

 それにより、姫花は不服そうに頬を膨らませた。


(まるで、子供ね……)


 姫花の態度を見た吹雪は、そう思う。


「まぁ、いいわ。今回だけ、一緒に食べてあげる」


 いったいどんな気まぐれなのか、吹雪は日陰に向けて歩を進めた。


「いいの!?」

「あなたの場合、食べるって言うまで食い下がってきかねないからね。もう一度言うけど、今回だけよ?」

「んっ、ありがと!」


 姫花は嬉しそうにお礼を言い、吹雪の隣に腰を下ろす。


(この感じ、グイグイ行けば意外といけるかも……!)


 ここまで、何度か姫花が押すと、吹雪が折れる姿勢を見せていたため、姫花は勝算を見出す。

 今までは、冷たく突き放す吹雪に食い下がれるような、根性のある男子がいなかっただけなのかもしれない。

 このままいけば、少なくとも姫花にとっては、楽しいランチタイムになりそうだった。


 しかし――。


「氷坂さんのお弁当おいしそう! お母さんが作ってくれてるの?」


 姫花にとっては、何気ない質問だった。

 吹雪のお弁当を見て、とてもおいしそうだったので、そう聞いただけだ。

 だけど、吹雪は――。


「…………」


 とても不機嫌そうに、姫花の顔を見てきた。


「えっ……?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ラブコメです……!』
↓のタイトル名をクリックしてください

エロゲーの主人公に転生したので、ルートがないのに人気投票で一番人気だったサブヒロインを攻略することにしました

『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』5巻2023年10月25日発売です!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊び5巻表紙絵
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『「幼馴染みがほしい」と呟いたらよく一緒に遊ぶ女友達の様子が変になったんだが』1巻2022年11月25日発売開始しました!
  ★画像をクリックすると、ブレイブ文庫様のこの作品のページに飛びます★ 
おさ変1巻表紙絵
  ★画像をクリックすると、ブレイブ文庫様のこの作品のページに飛びます★  

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ