第5話 死んだ理由①
またしばらく1週間、2週間ほど連載がストップします。
俺の意識はだんだんとはっきりしてきた。視覚、聴覚、触覚はまだ回復しきっていない。だがほのかに甘い香りがする。例えるならば、金木犀のような香りだ。だが、嗅覚以外が回復していないので、何も出来ない。指先に力を入れてみたが、動いている感覚がない。仕方なく俺は頭は働き始めたので、俺はガンダの正体について考えることにした。
(俺がこの場所に着いた時、目視で確認した限りは、妹達に危害は加えられていなかった。妹達は頭が良い。相手に敵意を感じたら、俺が着いた時も座っていなかっただろう。
だが、音羽を線路に落として、殺したのはヤツだ。その事実だけは変わらない。
何故ヤツは俺達を殺そうとしたんだ…理由がないだろ?理由が…)
考えれば考えるほど謎が深まっていく。そうして考えている内に少しずつではあるが、感覚が元に戻ってきた。俺はどうやら寝転がっているようだ。それにしては頭の下が柔らかい。それに温かい。俺が入った部屋の床は硬く冷たかったはずだが…これは……
「あ、ゆづ兄!!目が覚めた?大丈夫そ?」
「お兄ちゃん!!どこか痛いとこは無い?」
紗雪、音羽が俺を心配そうに覗き込んでいる。その目元は少し湿っている。俺が目覚めるまで、ずっとそばにいてくれたようだ。
「あぁ大丈夫だよ。2人ともありがとな。2人こそ大丈夫か?」
「うん!!」
2人が声を合わせて答えてくれた。俺が寝ている間も、特に何も起こらなかったようだ。俺は一安心して、先ほどから気になっていることを質問することにした。
「それは良かった。ところで、俺はなぜこんな体勢をしているんだ?」
俺は紗雪に膝枕をしてもらっていた。あの甘い匂いと、柔らかさと、暖かさは紗雪のものだったのだ。
「もう!紗雪ぃ!ジャンケンに勝ったからって長すぎるよ!」
音羽が顔を風船のように膨らませて怒っている。いや、怒りというより嫉妬だ。
「ジャンケンは公平なんだから、諦めて。」
紗雪が勝ち誇ったように音羽をニヤニヤしながら見る。
やはり、紗雪の態度がこの場所に来てから変わっている。これでは超がつくブラコンだ。
そう、まるで昔の紗雪のように。
(俺にとっては嬉しいけど…紗雪に何があったんだ…?)
俺には何も分からなかった。だが、その理由を紗雪に尋ねるのは後だ。ガンダに聞かなければならないことがある。ガンダはまたもや俺の前に鎮座していた。ガッチリと座る佇まいは、まるで地に根を深くまで生やした大木だ。俺がどんなに攻撃しても、効果がないだろう。
「どうやらお目覚めのようですね。やっと落ち着いて話を聞いてくれそうです。」
ガンダは落ち着いた口調で話しているが、まるで隙がない。
「俺はまだ警戒を解いたわけじゃない。だが、何度脳内でお前と戦っても勝てるビジョンが湧かない。話を一先ず聞いてやるよ。」
自分でも妹達の前で口調がキツくなっているのが分かる。それでも、気を張っていないとダメだ。相手に威圧の姿勢を与えなければ、こちらが飲み込まれてしまう。
「ありがとうございます。今はそれで良いですよ。」
ガンダはニコッと笑ってみせると、また話を始めた。
「今から遡ること、人間の時間で約46億年前。私は創造神によって、『地球』の神として、地球が
造られたのと同時に生み出されました。
神と言っても仕事はあまりありません。
私の仕事は主に2つ。
1つ目は地球の成長を見守る。
2つ目は死者の魂をこの天国ともう1つの地獄に分けることです。
私が死者の数をコントロールは出来ません。見守ることしか出来ませんから。
そして約29億年前。人間で言うところのスノーボールアースが起こった頃。地球の世界線は、『α』、『β』の2つに分岐しました。ちなみに優月妃さん達がいたのはβの世界線です。
ここまでが話の前半です。」
ガンダの話は簡潔且つ無駄のない説明だ。時間軸も分かりやすいように説明している。
「なるほどな…あんたが地球の神だったのか…そして地球には世界線が2つ合ると…
だが、紗雪と音羽を殺した理由にはなってねえぞ?」
「待ってください。話の前半って言ったじゃないですか。ここからが重要なんですよ。」
焦るな焦るな、と言わんばかりに右手を上から下に小さくこまめに動かしながら、ガンダはまた語り始めたのだった…
今回もお読みいただきありがとうございます!
いよいよ、彼らが殺された理由についてガンダの口から語られ始めました。ガンダの名前にゴッドを入れる伏線はあからさまだったかもしれませんが、ネーミングセンスないので許してください(笑)
紗雪の優月妃に対する態度が変わった理由はもう少し後の話で明らかにする予定です。