第3話 旅立ち③
今日は2話公開しました!明日も2話公開しようと思っています!
俺達は急ぎ足で改札を通り、駅のホームに下りた。
「ピンポンパンポーン間もなく2番ホームに8時17分発特急東京行きの電車が通過します。危ないですから、黄色い線の後ろでお待ちください。」
『ギリギリセーフか。確かこの次に来る電車に乗ればいいんだっけね?』
『そうだよ。お兄ちゃんがタクシー呼んでくれたおかげだね!ありがとう!』
身につけていた時計を見ると、今の時刻は8時15分。俺たちが乗る電車は8時19分に着く。本当にギリギリだ。
『元はと言えば優月妃が起きるの遅かったせいだからね。』
『本当に反省してるから許してよー』
俺が2人に向かって頭を下げる。
その時だった。
「ドン」
『あっ…お、お兄ちゃん!!』
いきなり音羽が線路に落とされた。音羽が今にも泣き叫びそうな顔でこちらを見ている。俺の思考は一瞬停止したが、そんな場合ではない。
(?!犯人はフードを被った男、身長は俺と同じくらいか??いや、今はそんなことはどうでもいい、もう電車が近づいて来てる!早くホームに引き上げなきゃ!)
『紗雪はここにいてくれ!誰か!!緊急停止ボタンを押してください!』
俺は急いで線路に飛び降りた。
『音羽!怪我してないか?』
確か東京行きの電車がもうすぐ通過するはずだ。早くしなければいけない。周りは野次馬で溢れかえっている。誰も緊急ボタンを押していないようだ。
『お兄ちゃん!ごめん、足挫いちゃったみたい。』
『そうか…』
俺は急いで辺りを見渡す。確か駅のホームの下には人1人が入れるくらいの空間があるはずだ。だがいくら探してもそんな空間はない。駅が古いから無いのかもしれない。それなら…あの手しか残っていない。
『俺が下から押すから、ホームに上がるんだ!』
『でもそれだとお兄ちゃんが、』
『良いから!!!!!早く上がって!!』
その時だった。誰かが線路に飛び込んできたのは。
…………………紗雪だった。
『紗雪?!何してんだ!!待ってろって言ったよな?なのに…どうして!』
『音羽は足挫いてるんでしょ?じゃあ2人いたほうが上げやすいでしょ?』
『それはそうだけど…もう仕方ない!2人で音羽を上げるぞ!せーのっ!』
『そ、それに、ゆ、づき、に、まだ、ちゃんと、わ、たし、の、きもち、を、伝えられて、ないし、』
足元は砂利なので安定しない。力を込めながら紗雪が何かを言っている。
『2人とも!私のことはいいから、ホームに上がってよ!!』
音羽の泣き叫ぶ声。必死の形相の俺。俺のことを追いかけていた頃のような純粋な目で見てくる紗雪。そして、ホームにいた人々の、慌てる声。
電車の音が近づいてくる。耳を切り裂くようなブレーキ音。火花と電車のライトによって、3人の影が濃くなっていく。
「ズドン」
電車が骨を砕く音がした。3人とも電車に轢かれてしまった。線路の周りに集まってくる人々の声が微かに聞こえる。俺は薄れゆく意識の中で父さんの言葉を思い出していた。
『優月妃お前は最初に産まれてきた長男だ。だから何があっても紗雪、そしてこの後できるかもしれない、弟妹を守ってやらないといけない。だから強くなるんだぞ?分かったな?父さんとの男の約束だ。』
『うん!分かった!!』
(俺はこの時から強くなろうと、色んな格闘術を習って大会では優勝もした。家族にとって恥ずかしい兄じゃないように、ファッションや流行にも気をつけたりもした。だけど、ごめん。父さん。色々頑張ってきたけどもう約束守れそうにないや。今からそっちに行くよ。)
そうして俺は完全に意識を失った。
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