泣きっ面に蜂
「今日こそは我慢出来ねえ」
「宝具持ちなのに何であんなに弱いの?」
「ある意味才能だよね」
とうとうこの日が来てしまった。
俺の名はシャイダー。最高ランクパーティー【白金の騎士団】に所属している剣士だ。
いや、所属していた所属していたと行った方が正しいかな。
俺の愛剣アッシュは【宝具】と呼ばれる部類の武器で、世界でも数個しか見つかっていないものだ。
さらにある特定の条件に当てはまる人しか使用出来ない、いわゆる【使用者を選ぶ武器】って奴。
アッシュを持ってるから、俺はこのパーティーに所属られた訳だが... 俺はゴミみたいに弱かった。俺のせいで失敗した依頼がいくつもある。だから遂に今日追い出される。
「もちろん、金は全部置いていけよ。あと、アッシュも。誰か使えるかもしれないし、王に献上すれば表彰ものだ。」
「あんた、今まで散々迷惑かけて来たんだから当然よね。」
「ほんとだよ。」
「...は?」
なに言ってんだコイツら。金も武器も無かったら生きていけねえだろ。せめて、アッシュは取るなよ。唯一の武器だぞ。
「は?、とは?」
「当たり前でしょう。」
「身の程を弁えてほしいね。散々迷惑かけて来たんだから異論は認めない。」
金の亡者め。
『束縛せよ』
「うっ」
青年のような喋り方をする団長、トッドは魔法を発動させる呪文唱える。
くそ、身動きが、取れねえ。
「反抗しなかったら街まで送って行くつもりだったんだけど... そういう態度を取るならそれ相応の覚悟はできているんだよね。」
「じゃあなゴミ。」
「アンタが悪いんだから恨まないでね。」
そう言って3人は去って行った。
誰がゴミだよ。てめえ等の方がよっぽどゴミだろ。絶対に許さねえ。今に見てろよ。
今から特訓だ!
「来い!!アッシュ!!」
淡い光の中から俺の相棒が出てくる。
取られたと思った?
これは宝具の能力その一。召喚。名前を呼ぶとある条件を満たさなければ、どこでも喚び出せるるという能力だ。
「出ておいで、相棒」
「ふぁ〜。おはようございます、ご主人様ぁ。2年ぶりですね。何で喚んでくれなかったんですか?私のこと、嫌いになりました?」
か、可愛いなぁ。喚び出すの2年ぶりだけど、ほんと超可愛い。あっ、この娘は宝具の能力その2。宝精召喚。宝具の精霊を喚び出す能力。宝精にはもちろん感情がある。
「聞いてます〜?」
「ごめんごめん、久しぶりに見たから見惚れちゃって。喚び出さなかったのは、宝具の最強の能力をアイツらに見せたくなかったし、おまえも見せたくなかったから。」
「えーと、っていうことはあのパーティーから抜けたという事ですか?」
「追い出された、っていうのが正しいかな。お金も全部持ってかれた。」
「あと、私も取られましたよね。ご主人様と違う人が私を持っていたみたいですし...今から○しに行きますか?」
「いや。おまえと修業して、アイツらより強いパーティー組んで仕事取ってやる。」
「嫌だ。」
「え?」
どうしたどうした?
「だから、嫌だ。」
「えっと..何が?」
「修業。」
「なんで?」
「2年も女の子ほっぽらかしてお願い聞いてもらえるとか思ってるんですか?主従関係の前に私たち恋人ですよね。
もしかして、私のか、ん〜〜〜〜〜」
うるさい口は塞いでやったぜ。
「そのあとは言わせないよ」
答えるのが恥ずかしいから。
「ごめんなさい。でも、そんなことしたってお願いは聞きませんよ。最低2年分は埋め合わせせていただかないと。」
はぁ〜。女の子は怒らせちゃダメだな
⚠︎森のど真ん中です
「わかったよ。だけどその前に、ムードもへったくれもないこの薄暗い森の中から抜けないと。」
「はい!まずは周りにいるモンスターどもを○します!『|焼き尽くせ』」
「ちょっと待った!『命令魔法行使停止』」
「ご主人様、なんで止めたんですか?」
忘れてた、コイツ天然だった。
「森で、そんな魔法ぶっ放したら大変なことになるだろ!」
「すみません。では、『落...』」
「それもダメだ」
「まだ全部言ってないのに発動する魔法がわかったんですか?」
「どうせ、『落雷』だろ?同じじゃねぇか!」
「冗談ですよ。『樹海の牙』」
まぁ、木を操る魔法だし大丈夫だろ...上級魔法だけど。
「森にいるモンスターは、粗方倒しました。よっと、ひい、ふう、みい...2億5500万¥$ですね。」
「...は?」
聞き間違いか?
「だから、2億...え〜〜〜〜〜!?...数え間違えはしてないです。」
「「大金だ〜〜〜!!!」」
領主館、ちょうど2件分の金額だぞ。この金だけで一生遊んで暮らせる。
「ど、どうしましょう?」
「俺の装備品と家建てて、あとは生活費だ。」
「とても使い切れませんよ。」
「パーティを組む予定って言ったろ。意外と無くなると思う。」
「やっとご主人様に召喚してもらえたのに...。」
「前みたいにはしないから。」
「なんで言い切れるんですか!」
そう。俺の幼馴染が3人いる。パーティーを4人で組まないかという話があったんだが、もう、白金の騎士団に入ってたからな。
「信用...。」
「出来る!アイツらは、何があっても裏切らない!!」
「そこまで言うなら信じますけど...埋め合わせが終わってからですよ。」
「はいはい。」
ー森を出たあとめっちゃ頑張った...色々と。