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私、悪役令嬢おたすけ課 ~魔法少女は公務員です?!~  作者: ビオラン
試験課題 特例(対マジカル戦士)案件

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令嬢第二事例 試験報告4

 私とメンドイーナはそれはそれは一生懸命考えた。しかし名案は出ず、時間だけが過ぎていく。そろそろ焦りが出てきた。


「あー! もう! このままじゃ話がどんどん進んじゃうわ! また新しい戦士が出てきたらどうするの?!」

 煮詰まったのか、パニックになるメンドイーナ。慌てて私はなだめに入った。

「気持ちも分かりますけど、少し落ち着いてください……そんな新しい戦士なんて……ん?新しい戦士?」

 メンドイーナの話を受けて、何か頭の中で箱が開いたような感覚になった。

「そう、それです!!」

「ど、どうしたの?!」

 私の頭の中である名案が閃いた。



「メンドイーナ様、『光堕ち』しませんか?」



「……はぁ?」

 意味が分からないと首を傾げるメンドイーナ。

 

「マジカル戦士になるのです!」

「……マジカル戦士になる……?」


 戸惑うメンドイーナをよそに、私は脳みそをフル回転させる。


 そう、悪役令嬢メンドイーナをマジカル戦士として引き抜いてしまえばよいのだ。


 自分でも名案だと思った。”例外”を除いて悪役を辞退出来ない決まりなのであれば、その”例外”となれば良い。マジカル戦士として配属移動をさせればいいのだ。幸い、まだ新しい戦士は追加されていない。事前に追加予定の有無を問い合わせ、メンドイーナもそれに混ぜてもらえば良いのだ。


 貪るようにアニメを見ていた甲斐があったのか、おおよそ新メンバーの追加される時期や流れは分かる。そもそも追加戦士なんて存在を知れたのはあのアニメのおかげだ。

 思い立てばあとは早い。行動に移すのみだ。


「メンドイーナ様、私が貴方を悪役令嬢から、マジカル戦士に生まれ変わらせてみせます!」

「本気で私を悪役からヒロインにしようっていうの?! そんなの無理よ!」


「無理かどうかはやってみないと分かりません! ギリギリまで頑張りましょう!」

「確かに、マジカル戦士が好きだから、なれたらそりゃあ嬉しいけれども……でも……」

「ならば尚更です! 試してみましょう!」


 不安なのか、いまいち乗り気ではないメンドイーナ。しかし、これが最後の手になるかもしれないと思うと試さない以外の言葉はない。

 心配しているメンドイーナを置いて、私は急いで本部に戻った。


◇◇◇◇◇◇


「課長、悪役令嬢をマジカル戦士にしたいと思うのですが」


 黙ってコーヒーを飲んでいた課長は思わず吹き出した。そしてこちらを訝しげに見る。


「お、お前は何を言ってるんだ」

 無表情な顔からは伝わらないが、コーヒーを噴き出すくらいには動揺しているらしい。無理もない。私が前代未聞の提案を持ってきたのだから。しかし、申し訳ないが時間がないため、速やかに事を進めたい。


「文字通り、悪役令嬢をマジカル戦士にするのです。そのための方法をお聞きしに来たのですが」


 さすがの課長も状況がうまく掴めないのか頭を悩ましているようだった。

 私は手っ取り早く事情を説明し、課長の指示を仰ぐことに。


「では、ヒーロー局にあるマジカル戦士部、追加戦士課に問い合わせる方が良いな」

「つ、追加戦士課?」

「そうだ、追加戦士の勧誘やサポートをする課だ」

「そんな課が……そこに問い合わせるのですか?」

「研修で習っただろう、覚えておけ。……きっと対応してくれると思うが……そもそも許可が出るか……」


「え、許可がやっぱり必要なんですか?」

「当たり前だ。しかし、悪役局とヒーロー局は相対する局なのでな、そもそも受け入れが可能なのかも不明だ。」

「悪と正義って感じですもんね。それに、悪役から寝返るとこになるんですから……普通は許可しないですよね……」

「まあ、悪役がヒーローになること自体はよくある話だが、急な人事異動の上、悪役救済部からの依頼は異例なので対応には時間がかかるだろう。行動は早めがいい。今すぐにでも申請書を作成しよう」

 そう言うと、課長はすぐに机に向かった。


 ヒーロー局は悪役局と同様に魔法省の中にある局の一つだ。しかし、その担当は悪役局とは対照的にヒーローやヒロインをメインとする。いわば物語の主人公のような者たちを扱う局である。その中でもマジカル戦士部は文字通りマジカル戦士に特化している。そして、マジカル戦士の中でも追加戦士に特化してフォローをしているのが追加戦士課という所らしい。


 さらに、この悪役局とヒーロー局は敵対しているといっても過言ではない。両者の立場を考えると致し方ないところはあるのだが……


 その後、私と課長は急ピッチで申請書を作成し、リンデンにそれを託した。

 後は返事を待つのみとなった。



ーーしかし、待てど暮らせど返事は一向に来なかった。

 リンデンに進捗を聞くと、どうやら追加戦士課には連絡が届いているものの、まだ協議されている段階らしい。何を迷っているのだろうか。



ーーそして、ついに私は堪忍袋の緒が切れた。


 「課長、遅いです! あまりにも遅い! もう私待てません! このままではメンドイーナ様が消えてしまいます! 私も試験に落ちます!」

「しかし、返事はないのだろう?」


「でも!! ……もう待てません! 追加戦士課に乗り込んできます!」

「勝手なことをするな! ……おい待て!」


 もう待てない。そう思った私は勢いに任せて追加戦士課に向かって駆け出していた。後ろでは手を伸ばして引き留めようとしたのだろう、無表情でもわかる焦った課長の姿だけが残った。

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