令嬢第八事例 報告7
次章の関係から、短めになっています。ご了承ください。
次の日、私が目隠しの魔法をしてセリカの側に待機していると、ジュンが物凄い勢いでセリカに駆け寄ってきた。その顔は驚きで汗びっしょりだ。
「セリカ、大変だ。アイラの性格が変わってしまったんだ。設定上は問題ないらしくて……今朝から変な発言ばかりするんだ。心当たりはないかい?」
セリカは私をチラッとみると、ジュンにニコリと微笑んだ。
「いえ、わたくしは介入の余地がありませんでしたから。アイラについてはなにも存じ上げません」
「そ、そうなのか? 僕がまじめな話をしているのに、スキップスキップらんらんらーとか、変な発言や動きををしたりするんだ」
ーーブッ
あ、吹いてしまった。姿を隠しておいて良かったと思う。
聞いているセリカも笑いを堪えているのか、すこし肩が震えていた。
「まあ、不良品だったのでは? 元に戻らないでしょうから、初期設定にして違う担当にでも就かせればいいではありませんか」
「そ、それはそうかもしれないが……」
納得しない様子でセリカに背を向けたジュン。
私とセリカはその後ろ姿を見て、互いにクスクスと笑い合った。
ーー数日後、アイラは屋敷のメイドとしてジュンと共にいた。その発言は堅苦しく、ジュンのことを覚えている真最中のようだ。
無事、今回も任務を終えて私は世界に帰ることになった。
「エミリーさん、ありがとうございました」
「いえ、無事セリカ様を助けることが出来て安心しました」
「あ、そうだ。よかったらこれを」
そう言うと、セリカはひも状のカメラを渡してきた。
「これは?」
「これは、ひも状のカメラです。魔法が使えない状況で役に立つかもしれません」
「ありがとうございます、いつか使えるかもしれませんね」
一見蛇のように見えるカメラを私はありがたくもらい、ポシェットに入れた。
そして、扉を召喚すると元の世界に戻っていった。
◇◇◇◇◇◇
魔法省に戻ると課長が机に向かって仕事をしていた。何回か帰れなくなる事態にあったが、今回は無事帰還出来たらしい。いつも通りの平穏な環境にとても安心した。
いつも通り、課長と共に今回の案件の報告の処理をしていると、課長が驚いたように声を上げた。
「イチロウに会ったのか?!」
「あ、そうなんです! とても気さくな方でしたが……何かありましたか?」
「……いや、詳しく語られていないのであれば問題ない」
詳しく聞くとまずいことでもあるのだろうか?首を傾げつつも、それ以上追求はなかったので、私はそのままにしてしまった。
次回以降、エミリーの周辺で大事件が発生します。今までとは規模が違うようですね。




