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私、悪役令嬢おたすけ課 ~魔法少女は公務員です?!~  作者: ビオラン
対貴族令嬢 案件

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令嬢第七事例 報告5


◇◇◇◇◇◇


 私達は情報を少しでも多く得るために、第三者である、オズワルドにも実際の様子を聞いてみることにした。


 そう言えば、最初に王子オズワルドに挨拶をしようとしたが、隠すように案内されたことを思い出した。


 もしや、サブリナはオズワルドと私の接触を良しと思っていないのでは? これは、オズワルドがサブリナにとって不都合とも思われる存在だとも言える。


 そのため、サブリナには秘密で話を聞きに行くことにした。


「オズワルド様、今お時間よろしいでしょうか?」

「……君は、もしや先日騒ぎを起こしたという令嬢ですか?」

 口外禁止とは言われているが、王族のオズワルドにはさすがに報告がされていたようだ。衛兵達の、オズワルドへの忠誠には困ったものだ。


「はい、先日はお騒がせをいたしました。改めましてご挨拶をさせていただきます。私は魔法省の職員でエミリーと申します。」

「魔法省とは?」


 ここで、私はゼロバンや魔法省の説明。そして今回自分が何故この世界に来たのか、そしてどういった案件を対応しているのかを具体的に説明した。


 初めは、自分の知らぬ世界について驚きつつも興味深そうに聞いていたオズワルド。

 しかし、しばらくしてオズワルドの表情が怪訝なものに変わったことに気付いた。そこは、丁度サブリナからの依頼の説明をしていたところだ。


「オズワルド様、どうかされましたか?」

「いや、実は私の知っている情報と乖離(かいり)している部分があってな」

「異なっているのですか?」

「……シェリーはそもそもサブリナをいじめたことが無いし、そんな噂を私も含め聞いたことが無いんだ」

「え?」


「その上、非常に言いにくいのだが、正直シェリーがサブリナに嫌がらせ行為を受けているように見受けられることが多いのだ。私はシェリーのことを何回助けにいったか分からない」

「それは現行犯でですか?」

「あぁ、実際にサブリナが手を出そうとしたところを間に入って止めたりした。

「では、私達が依頼を受けたサブリナ様の内容と食い違いますね……」


 私は令嬢に惑わされて嘘の虐めを信じる王子を何回か見てきたが、現行犯で対応しているとなれば信憑性も高い。

 さらに、今回の王子オズワルドは冷静沈着且つ、聡明さが滲み出ており、考え無しの単独行動に出そうな雰囲気では無かった。


「貴重なご意見ありがとうございました」


 私達はオズワルドに礼を言うと、また状況を整理する。


 王子オズワルドの話では、シェリーは虐めをしていない。なんならシェリーの方が虐められている様子である。

 なのに、私の手元には、サブリナが虐めの被害者である内容の依頼がある。話が違うではないか。


 これは、魔法省で私の手に渡る前に内容が変更されたり、元々の内容に虚偽が報告されていた。もしくはシェリーとオズワルドがタッグを組んで虐めを隠蔽しているか……

 どちらにせよ、真実を再調査する必要があると考えられる。


「どう思います? ミハエル先輩」

「ん? 僕の美しさについてかい?」


 私が意見を求めようとミハエルを見ると、ミハエルは横にあった鏡を見ていた。

 自分の髪の毛を物凄く丁寧に整えている。


「あの……真面目に考えてます?」

「あぁ、ごめん。鏡があるとつい自分の顔が見たくなって……今日も美しい……悩ましいな」

「違います、悩む点が見事に違います」


 しばらく鏡に映る自分を見た後、満足したらしいミハエルはやっと私の方を見てくれた。すると、じっと私を見つめて真剣に考え始める。

 ーーこれは良い意見をもらえるか?


「何か思い浮かびました?」

「ん? あぁごめん、君の瞳に映る自分に見惚れていたよ……悩ましい」


 ーーめめめめんどくさい人だなぁ、もう!!


「ええ悩ましいですね、先輩のキャラは!」

 ちょっとイラッとしたので、私は先輩というのを忘れ、仁王立ちでハッキリと言ってしまった。

 しまった、先輩に対して失礼だ。


 しかしミハエルはクスリと笑うと「君のようなキャラ、嫌いじゃない」と言ってきた。どうやら逆鱗には触れなかったようだ。


 ミハエルはやっと真面目に考えてくれるようになったらしい。ふむ……と呟くと意見を出してくれた。


「先ほどの王子オズワルドの話と、今回の僕の案件、そしてリンデンの報告を照合すると……これは今回の依頼内容がそもそも違っていた可能性もあるね」


 依頼内容が違う? 魔法省に来る際には審査があるので、そんなことがこらないはずだが……


「僕は思うんだ。どこかに内容がすり替わるような抜け穴があるのだと思う」


 ということは、内容が私達魔法省の職員に届く前にすり替えられたか。

ーーもしくは、考えたくはないが、依頼の時点で何か起こったことも視野に入れなければならない。



 全ての疑問を洗い出すため、私達はいったん依頼方法に始まり、今回の案件がどのような経緯で私の手に渡ったのかを一から探ることをした。


 妖精には洗いざらい話してもらう。


 ある日、「助けて」の声が聞こえた妖精は、声の主であるシェリーの下に向かったらしい。

 まずは第一審査だ。本人とは接触せずに、令嬢が本当に困ってそうか確認した。そして、シェリーの精神的ダメージの大きさから助けがいりそうであると判断した妖精は、姿を現して「助けてほしい?」と聞いたらしい。すると、シェリーは驚きながらもこう述べたそうだ。


「サブリナによって身に覚えのない罪を着せられそうになっています。私は何もしていないのに! それに王子オズワルド様の婚約者の地位をも奪おうとしているのです」


 その瞬間、妖精は悪役令嬢おたすけ課の案件であると判断。

 正式な依頼書と契約専用のペンを用意した。そして、必要事項や依頼したいことを記入するように口頭で説明をしていく。


 すると、急なことだったのでシェリーは頭を整理させるため、一度席を外したいと言ってきたらしい。妖精も許可し、それならばと一度依頼前に王子の顔を見に行くため席を外したとのこと。


 その時、なんと机の上には依頼書とペンを置いたままだったらしい。

 妖精がかえって来ると、記入が済まされた依頼書が置いてあった。記入がすでに終わったと思った妖精はシェリーに会うこともなく依頼書を持って帰ったらしい。そして、後からペンが無かったことに気付いて……今に至るということだ。


 ということは、怪しいのは席を外した瞬間だ。


 妖精が嘘を言っているとは思えないが、念の為シェリーにも事実確認のため話を聞きに行くことにした。

 本来、敵とはこちらの情報の流出防止のため接触を控えるのだが、事態が事態のためやむを得ない。


「こんにちはシェリー様」

 シェリーは突然現れた私達に驚き、きょとんとした表情でこちらを見た。


「私は魔法省の者です。悪役令嬢おたすけ課という言葉に、聞き覚えはありませんか?」

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