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私、悪役令嬢おたすけ課 ~魔法少女は公務員です?!~  作者: ビオラン
対貴族令嬢 案件

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令嬢第七事例 報告2

すると、騒ぎを聞いて駆けつけたのだろう、1人の男性がやって来た。

「何事か!?」


 サブリナはその男性の顔を見て「王子……」と呟いた。


 ーーほう、この人が王子か。

 私はこの人物の顔を見て今回のサブリナの相手となる王子だろうと直ぐに判断出来た。特徴が事前資料と一致しているからだ。


 これは好都合である。今後どこかで接触する可能性が高いので、挨拶をしようと思っていた。

 今の内に顔を売っておいても良いかもしれない。それに一応私の滞在許可と、少し騒ぎを起こしてしまったので、詫びも入れるべきだろう。

 私は挨拶をするために王子の方に進み寄ろうとした……が、何故かサブリナにガシッと腕を掴まれ制止される。


 私が驚いていると、サブリナは王子に対して「な、何にもございませんことよ」と言うと、ほほほと笑いながら私をその場から連れ出した。


 仕方ない、挨拶は後で行くか。


◇◇◇◇◇◇


「先程は失礼しました」

「いえ、こういったことはたまに起こるそうなので、大丈夫ですよ」


 お茶を飲みながら申し訳なさそうにサブリナは謝った。深緑の髪に黄色の瞳がとても申し訳なさそうにこちらを見ている。


 私はあれからサブリナに連れ出され、来客用の部屋に連れていかれた。そして今はお茶をしているのだ。


「では、気を取り直しまして、わたくしは今回サブリナ様の依頼を受理して、この世界に参りました」


 すると、サブリナの顔は先程の申し訳なさそうな顔から一転。明らかに嬉しそうな顔に変わる。


「まあまあまあ! 本当に来てくださるとは! もしやあの依頼の通り動いてくださるのですか?!」

「はい、ご依頼とあればこちらも出来る限り対応致します」

「ありがとうございます!」


 私がきたのがそれほど嬉しかったようだ。余程困っていたのだろう。


「つきましては、詳細をお聞かせ願えますか?」

「勿論です。実は……わたくし、異母妹のシェリーによって虚偽の嫌がらせ申告をされているのです」


 サブリナによる内容は以下の通りだ。


 サブリナの家は王子の婚約者となる家系だった。

 本来なら自分が姉なので選ばれる予定だったのだが、王子はシェリーのことを気に入ってしまったらしい。そこでサブリナは王子が好きだったにも関わらず王子の意思を尊重して、仕方なくシェリーに婚約者の立場を譲ることにしたそうだ。


 しかし話はここで終わらなかった。本来なら感謝されるべきサブリナだが、なんとシェリーはサブリナのあらぬ噂を流したり嫌がらせをしてくるようになったらしい。サブリナに虐められたなどという嘘の情報を王子に流すこともあり、サブリナは傷ついているとのこと。


 シェリーは、どうやらサブリナが王子にアピールが出来ないように、そして自分の立場を強固にしようとして裏で根回しをしているらしかった。


「なんと、自分の思い通りになったにも関わらず、さらに姉を陥れるとは……これは許し難いですね」

「そうですの。私悲しくて悲しくて」


 およよと泣き始めるサブリナ。見た目はすごく悪役令嬢っぽいが、悪役令嬢っぽい見た目のせいでさらに悪役感が増している人が多くいたことを思い出す。サブリナもその類の人だろう。


「では、正式にご依頼を引き受けたいと思います。理想は……シェリー様の嫌がらせを止めることですかね?」

「シェリーはこの際どちらでもいいわ。私が王子と結ばれる方がとてもありがたいのだけど……」


「では、王子がサブリナ様を選ばれるように導くのが今回のご依頼となりますね。出来る限り協力させていただきます」

「はい、是非そうして下さいまし。どうぞよろしくお願いします」


 

◇◇◇◇◇◇


 私は早速調査を始めた。

 まずは、妹のシェリーの様子を伺う予定である。


 どうやって調査をするのかとサブリナに尋ねられたので、目先は情報収集のために監視することになると伝えた。


 魔法でコロッと気持ちを変えたりすると思っていたらしいサブリナは、「手間がかかるのですね」と意外そうな反応をしていた。


 私だって本当は魔法で人の感情を操れたら楽だ。でも基本的に人の感情操作の魔法の使用は禁忌とされているため、そもそも教えられていない。そのため、案件の解決にはこのような手を使うしかないのだ。



 私はとりあえず、1週間ほどシェリーを張り込むことにした。


 シェリーは、姉のサブリナとは違い薄緑の髪をした少女だった。第一印象としては、線が細く気弱そうだ。

 人を陥れるような人物には見えなかったが、悪役令嬢に見える者が悪役ではないなんてことがよくあるため、迂闊に見た目で判断してはいけないことを私は知っている。実際過去にも、可愛らしい令嬢が真の悪役だったことがあった。


 私は警戒しつつ、シェリーの行動を監視していった。


 ちなみに、依頼主のサブリナは私の仕事にすごく協力的である。というのも、「どんなことをされるのですか私は何をすれば良いですか? 私に出来ることはありますか?」などと気を利かせて聞いてくれる。


 残念ながらまだ監視の段階なので特にやってもらうこともなく……

「ここ1週間はシェリー様の監視だけですね。それ以降はサブリナ様の周囲を張り込みます。何、いつもどのように被害に遭われているのか見るだけです」

 などと一応、今後の予定を伝えておくだけに留まっている。



 そしてついにシェリーを監視して1週間が過ぎた。


 1週間監視を続けて得られた情報は……実はほぼ無い。

 どうにもシェリーからは行動に移す様子が見受けられなかったのだ。気分屋なのだろうか?

サブリナに自ら接触する気配も無く、サブリナとの関わり方も知ることが出来なかった。


 そしてもう1週間は計画通りサブリナの様子を監視することにした。サブリナ目線でのシェリーの行動を知るためだ。しかし、今週もシェリーは接触さえして来なかった。


 もしや私の存在がバレており、行動を制限しているのでは? と思ったが、箝口令を敷いている今、情報が流れた可能性は低い。


 どうしよう、現場を見ることが出来ていない。

 私は少し肩を落としつつサブリナに現状の報告をした。


「申し訳ありません、何も情報が得られませんでした……」

「わたくしとしてはこの上なく平和だったので、問題無いのですが……現場を見られないと何かあるのですか?」


「状況証拠が無いと、依頼主の発言の正当性が担保出来ません。それに、揚げ足を取るようなことも出来ないので、解決が難しいのです。」


 私ははぁーっとため息をついた。すると、サブリナは困ったように首を傾けた。

「そうですか……いじめの現場が必要なのですね」


 私はサブリナに監視を続けることを伝え、張り込みを再開した。


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