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私、悪役令嬢おたすけ課 ~魔法少女は公務員です?!~  作者: ビオラン
対部族令嬢 文化省・異世界統制省合同案件

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令嬢第五事例 報告8


 数日後、アニーサは宮殿に呼び出された。

 その時、何故かタロウが護衛として、アニーサの後ろに付いていた。


 謁見の間に着くと、王位第一継承者であるジャミールとサーラが現れる。

 ジャミールはアニーサの姿を確認すると、口を開いた。


 「今日其方を呼び出したのは、他でもない、占いのことだ。我が婚約者であるサーラが、君以上の占い師が現れたと言い出したのだ」


 私以上の占い師? と突然の話に当惑するアニーサ。ジャミールは、アニーサの様子を伺いつつ、話を続ける。


「そこで、サーラは其方等2人の力比べをしたいと申し出たのだ。大方、以前の占い結果に不服を申し出たといったところだろう」


 余計なことを……! と言いたげなアニーサ。サーラを見ると難色を示して、今にも舌打ちをしそうな感じだ。ただ、王族の手前、すぐ表情を取り繕ったが。


「私としては、其方の力は耳にしている身。サーラの呼んだ占い師に容易に勝つであろうと予想している。この力比べに参加してくれないだろうか」


 ジャミールが占い対決を提案してきた。


 アニーサは少し返事に迷っている様子。不安なのだろうか。……しかし、直ぐに自信に満ちた表情に切り替わった。


 魔法を使うのはこの世界では自分だけだと把握している。どうせ、占いとはいえど私には敵わないだろうなどと思ったらしい。


 しかも王族の願いとあれば拒否はできない。当のジャミールはアニーサの占いを信じている。自分に勝算があると思ったようだ。


「承ります」


 アニーサはいとも軽く同意した。


 アニーサの同意を得るのを確認したサーラは、ニコリと微笑むと、合図をした。

 すると、奥から1人の少女が現れる。


「今回、相手となるのはこの少女です」


 サーラが紹介するその少女はゆっくりと入場する。

 褐色の肌に、黄色のきらびやかな衣装。ヴェールを被っているが、薄っすらと金髪に青い瞳であることが分かる。


 少女はジャミールの前、アニーサの横に並ぶよう跪いた。


「では、これより占いの力比べを行う。題材だが、そうだな出題者が不正しないよう平等性を保つために3つ占ってもらおう。サーラと私からと、3つ目は……そうだなアニーサ側から誰か出せるか?」


「では、わたくしが」

 アニーサの後ろに控えていたタロウが答えた。


「其方は?」

「わたくしは、アニーサ様を尊敬してやまず、今回の護衛に自ら志望しました」


 そう言うとアニーサに目配せのウインクをした。アニーサは同意するように頷く。タロウとアニーサの間には信頼関係が出来ているようだ。

「では、其方に題材を出してもらおう」

「承知しました」


 準備が整ったところで、早速対決が始まった。


「では、まずサーラから」


 サーラは一つの苗を取り出した。その苗は、枯れているらしく茶色でしわくちゃになっている。


「わたくしが占っていただきたいのはこちらです。私の大事な苗が今にも枯れそうになっています。今後復活し、花が咲くとこはありますでしょうか」


 アニーサの口が一瞬ぴくっと反応した。生物に関することは専門外だからだろう。ただ、王族の手前、逃げることは許されない。

 動揺を隠すように占い始めた。いつも通りの「ウラウラ……」と占いの言葉を述べる。その目は考えるように、植物をガン見していた。超見ている。


 そして、決心がついたのだろう、アニーサはこう言い放った。


「枯れ始めており、今後花が咲くことは不可能でしょう」


 アニーサは咲かないと占った。いや、生物に関する魔法は使えないため、見た目の勘で判断したのだろう。どう見ても枯れているから、普通は枯れると判断するのは当然だ。


 一方、サーラの紹介した少女が占いを始める。

 アニーサのようにわざとらしく何かを呟くようなことはせず、ただ黙って考えるように目を瞑った。

 そして目を開けると、こう言い放った。


「"花よ眠るその力を解き、美しき花を咲かせたまえ"と、唱えながら愛情をこめて水をやると、美しい花が咲くでしょう」


 少女の占い結果は、花が咲くである。


「ふむ、結果が分かれたな。」


 ジャミールは面白そうにアニーサと少女を交互に見た。


「言葉を唱えるだけで花が咲くとは信じられぬ。しかもこの枯れた苗だぞ? 少女よ、本当に其方占いをしたのか?」


 少女は、迷うことなくジャミールに返事する。


「はい。疑いがあるのであれば、試すとよろしいかと存じます」


 少女の迷いのない真っ直ぐな目に、ジャミールは少し圧倒されたらしい。


「ほお、自信があると見た。どれ、試しにサーラよやってみよ」


 薄っすらと少女が笑みを浮かべる。


 サーラは呪文を唱えながら花に水をやった。

「花よ眠るその力を解き、美しき花を咲かせたまえ」


 するとどうだろうか、瞬く間にしおれていた花は元気を取り戻し、見る見るうちに成長していく。ついにつぼみが現れた。


 程なくして……花が開き、白く美しい花が現れたのだった。人の顔ほどの大きさはあるだろう。


「そんな馬鹿な……」


 花が咲いた。

 予想しなかった結果に、全員驚きの表情を示した。特にアニーサは驚いているようだった。無理もない、完全に枯れていると思ったのに、大きく外してしまったのだから。


 ところで……今の一連の流れ、実は仕組まれていたことにお気づきだろうか。


 この花は先日ローリンと共に植物管理課でもらってきた苗である。呪文を唱えると花が咲くのだ。サーラはこのことを事前に私達から知り、権威あるジャミールの前で花の占いを披露できるよう、お膳立てしてくれたのだ。あえてアニーサの前で別の占い師を出し、アニーサが劣勢であると思わせるために。


 そして、この敵となる占い師だが……もうお気づきだろう。変装した私エミリーなのである。


 占い師のふりをして、アニーサの力比べに参加している。

 第一回戦は植物管理課でもらった苗を活かして、計画通り、私の方が占いが当たると証明をしてみせたのだった。ヤッタネ!

 

 花の占いが外れたアニーサ。ジャミールは「少女の勝ちか……」と呟いた。


 ジャミールの呟きを聞いて、予想外の展開に焦り出したアニーサ。少し汗が滲んでいる。そんなアニーサに対し、タロウがコソコソと声を掛けた。


「アニーサさん、俺にまかせて。有利になるようにするから」


 そうなのだ、アニーサ側からも占いの題材を用意できるのだ。今回はアニーサが信頼している護衛タロウが出題者として控えている。

 アニーサは、頼んだとばかり目配せをした。


「では、次、アニーサ側からの依頼を」


 

気付けば40話を超えていました。

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