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私、悪役令嬢おたすけ課 ~魔法少女は公務員です?!~  作者: ビオラン
対貴族令嬢 案件

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令嬢第一事例 報告2

 タイムアウトは二週間後の学園の卒業式。オリヴィアと私は作戦を練ることにした。


 まずは、王子本人の調査や例の平民女生徒の調査だ。特に女生徒の人物像や実際のいじめなどの有無を確認する必要がある。さらにオリヴィアの周辺の監視も怠らない。一番は人に害を与えていない証拠を出す必要があるため、周りの人物も捜査が必要だ。


 目星をつけていき、私はオリヴィアと共に行動に移すことにした。



 まずは王子ジークについて調査する。これについてはオリヴィアが情報を提供してくれた。


 オリヴィアと同じ学校、学年。特に大きく性格に問題は無さそうだ。ただ、一つ引っかかる部分がある。

 正義感が強く、悪いことが許せないらしい。いじめの現場などに出会すと必ずと言って良いほど助けに入る。今回の件も、女生徒がいじめられているのを聞いておそらく正義感が働いたのだろうと分かる。


 女生徒とは学園で知り合い、最初は女生徒に興味がなかったが、オリヴィアからのいじめの報告を聞いて庇い始めると、守りたい衝動から懇意にし始めたということらしい。


 きっと守りたくなる系女子だったのだろう。王子の正義感を逆手に取った女生徒が物凄くやり手なのだろうと思った。


 そのやり手女生徒を次に調査する。

 オリヴィアは表立って動けないため、私が動くことに。

 私は数日間女生徒を尾行することにした。勿論怪しまれないよう、妖精の姿でだ。


 尾行をしていると、データが揃ってきた。

 女生徒の名前はアリサ。最近男爵家の養子となったらしい。その為、令嬢教育が行き届いておらず、他の令嬢とは一風変わった雰囲気を醸し出している。おそらく、この令嬢らしからぬ雰囲気に貴族男性達は惹かれているようだ。

 なんと、アリサは王子以外の男子生徒にもアプローチしているらしい。少し気に入る男性がいると、令嬢の文化が分からないなどと甘えたりしている。

 尾行を続けていると、女生徒アリサの化けの皮がみるみる剥がれるため、見ていて面白かった。


 このノン悪疑惑はアリサが黒幕の可能性が高いとみて間違いない。


 あとはアリサがいかにオリヴィアを陥れようとしているかを探る必要がある。


 アリサの動向を調べたいので、オリヴィア周りの監視を頼むべく私は助手を召喚することにした。


「リンちゃーん!」


 呼びかけに応えるように、羽の生えたネズミのような生物が現れた。そして現れるやいなやこの生物はプンプンと怒り始める。


「我が名はリンデン。軽々しく愛称で呼ぶでないこの若造が!」


 リンちゃんは研修の時からずっと一緒にいる妖精だ。上から目線で話すが、呼べば必ず助けてくれる、頼れるパートナーである。性格はいわゆるツンデレだ。


「着任いきなり呼び出しとはこの馬鹿者が!」

 リンちゃんは体当たりをしてきたが、全身毛でできているためポフンと柔らかく全く痛くない。


「いきなりごめんって。実はあの女生徒の監視をしてるのだけど、ノン悪疑惑の令嬢の方の監視が足りなくて……」

「ふん、そんなの定点記録媒体を使えばいいだろうが」

「いやそうなんだけど、初仕事だしリンちゃんとデビューしたいなって」

 お願い……?っと私は渾身のウルウルとした瞳をしてみた。

 するとさすがツンデレ。

「ま、まぁどうしてもっていうなら付き合ってやってもいいぞ。で、どうすればいいんだ?」

 頼まれると弱いらしい。簡単に引き受けてくれた。チョロいものである。


 リンちゃんという強いサポーターを手に入れ、その後私はアリサの尾行を、リンちゃんにはオリヴィアについてもらうことにした。


 アリサの尾行をして数日後、アリサはついに行動に表してきた。なんと虚偽のいじめの報告を王子にしに行ったのである!


 ーーことの次第は以下の通りだ。

 池の辺りでお散歩しているアリサをいつも通り監視していると、なんと何の前触れもなくアリサは池に飛び込んだのである!

 突然その光景を目撃してしまった私は驚きのあまり自分の目が飛び出たのではないかと思ってしまった。水泳選手でもあんなに綺麗に飛び込みはしないのではないだろうか。

 アリサは何事もなく水から出てくるとずぶ濡れのまま、王子であるジークの所に泣きながら向かって行った。


 ジークは驚いて駆けつけた。女の子がびしょ濡れになって泣いているのだから。正義感の強いジークは放っておけない。それを良いことにアリサはジークに訴え始めた。

「池に突き落とされましたの……!私怖くて怖くて……」


 嘘つけーー!自分で飛び込んだやないかーい!っと思いっきりツッコミを入れたくなったが私は我慢した。


 ジークは真剣に話を聞いている。

「誰にされたのか……分かるか?」

「オ、オリヴィア様に……」

「またあいつか……! そろそろ我慢の限界だ……」

 見事な騙されっぷりである。アリサはジークに上着をかけてもらえ、満足そうにしていた。


 一連の流れを見て、私はもう決心した。アリサは黒だ。というか、もう真っ黒である。オリヴィアを陥れようとしているのはアリサで確定だろう。勿論、この様子は記録媒体に録画させてもらった。


 オリヴィアの周囲を監視するリンちゃんも報告にやって来た。

「おい、監視してやったがオリヴィアに大きな動きはなかったぞ。なんなら放課後もずっと図書館にいて真面目な奴だった」

「リンちゃん、良い情報ありがとう!念のためオリヴィアの友人も監視しておこう!」


 念のため周囲の関係者も監視をすることにした。しかし、オリヴィアの周囲の人々もアリサに対して悪い印象があるものの、大きく動く者はいなかった。ましてや、妖精として何人かに聞き込みを密かに行ったが、皆オリヴィアがいじめている現場を見たことが無いらしかった。


 証拠は揃った。あとはこちらが動くのみだ。


 婚約破棄が言い渡されそうなタイミングは明日。ギリギリ間に合ったようだ。



 その夜、私はオリヴィアの部屋を訪ねた。

「オリヴィアさん、明日は私が助けます。だから胸を張って前を向いて下さいね!」

「あ、ありがとうございます……!」

 御礼を言う割には自身が無さそうだ。味方がいるといっても、とても不安なのだろう。私たちが部屋を出る時、オリヴィアは大きなため息をついていた。


◇◇◇◇◇


 翌朝、卒業式のパーティーが行われている会場の裏に潜入した。会場内はリンちゃんに監視をしてもらっている。タイミングを見計らい中に入る予定だ。私は久しぶりに妖精の姿から、魔法少女の姿へと戻った。


「うーん、やっぱりこっちの方がしっくりくる!」


 すると中が少し静かになった。

 始まったらしい。中のリンちゃんからもGOの合図が来た。

「……私、ジークは婚約者であるオリヴィアとの結婚を破棄する!……」


 今だ!


 私は魔法陣を出し、転移魔法を使った。

 そして会場に着くと大衆の目線に動じることなく言ってやった。


「お待ちください。その婚約破棄、正当な判断でしょうか」

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