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私、悪役令嬢おたすけ課 ~魔法少女は公務員です?!~  作者: ビオラン
対乙女ゲーム令嬢 案件

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令嬢第四事例 報告8

 ダリアの嫌がらせイベントを回避することに成功した私達だが、まだ文化祭中の主要イベント自体は回避できていない。


 今回の文化祭イベントは今後の進展に大きく影響することになるのを私達は把握していた。

 それ故に、今までのイベントの中では本腰を入れて取り組む必要がある。


 当のイベントの内容はというと、この文化祭中で一番攻略ポイントが高くなった人物が、文化祭の後夜祭に登場するというものらしい。

 しかもこのイベントは特典があり、今後後夜祭に出た人物は攻略し易いよう、ストーリーの中で登場回数が増える仕組みとなっているらしいのだ。


 元々エドウィンくらいしか攻略している人物はいないので、これ以上登場回数が増えると完全攻略一直線である。今後今以上に接触されるのは危険であるため、後夜祭イベントは何としても回避する必要があるのだ。


 私達は文化祭最中のエドウィンの監視を一層強化した。


 文化祭中のエドウィンの小さなイベントは同じクラス企画の中で、共に行動することで行われることが多いそうだ。ダリアと共に教室で待機する。


 すると、ダリアが私に声を掛けた。

 

「エミリーさん、見てください。あそこでエドウィン様がリゼットに射的の方法を教えていますよ」

「……え、もう接触をしているのですか?」


 二人が接触させないように、対策を練ろうとした矢先、すでに会話が始まってしまっていた。しまった、一つ小さなイベントの開始に出遅れた。


 2人の話し声が聞こえる。


「貸してごらん。こう構えると上手く打つことができるんだ」

「さすがエドウィン様!」


 上手く打てないと、しょんぼりとしているリゼットに、エドウィンが優しく指導しているようだ。リゼットに褒められて満更でもないエドウィンは、調子に乗ってこんなことを言い出す。


「まぁ、僕に射止められないものはないんだけどね。例えば、君の心とかっ……」


 リゼットに向けてウインクをした。


 うーーーーーわ。

 素であれを言い放つエドウィンに私は思わず引いた。


 一方、横でダリアは「グハッ」と言い鼻をハンカチで覆っている。


「見ましたかエミリーさん、あのセリフは本来別の機会で言われるはずの言葉なのです。ゲームではこの時のエドウィンがキラキラと描かれていてとても麗しくて……」


 鼻息荒く解説を始めたダリア。


「あの、ダリア様」

「はい?」

「本気でイベントを止める気ありますか?」

「し、失礼いたしました! リアルで見れて興奮してしまいましたわ。お恥ずかしい」


 私としては先を越されてイベントが始まってしまったことに腹立たしく思っている上に、寒い言葉を放つエドウィンにイラッとしていたのたが、回避しなければならない当の本人であるダリアが止める気配が無い。目の前のゲームの光景に見惚れて忘れてしまっていたらしい。


 私が苦言を呈すると、自分の役割をやっと思い出したダリアは、慌てて2人を止めに入った。


 罵っては悪役になってしまうので当たり障りのない言葉で止めに入るよう、精一杯の穏やかな笑顔を向けて声を掛けるダリア。


「まぁ、エドウィン様。本当にお上手だこと。素晴らしいですわね」


 しかし、ダリアが近づいたことにより、2人の空気感は先程までとは一変する。


 何故かリゼットがとても怖がるそぶりをしたのだ。

 ダリアは褒めただけなのであったが、存在が威圧的だったのだろうか。リゼットが声を震わせてダリアに言った。


「すみません、私がエドウィン様と一緒にいたために……。ダリア様、どうか誤解でございます!」


 エドウィンはリゼットが萎縮してしまっている様子に気づき、ダリアに厳しい目を向けた。


「何かな? そんなに威圧的に話されてもリゼット嬢が怖がるだけだと思うのだが」


「え……? わたくしは、エドウィン様のことを褒めただけですが……」

 多少は嫌な顔をされるとは思っていたが、予想以上に警戒をされてしまったダリア。


「私がエドウィン様と気安く話したせいで……こんな」

 まだ何も嫌み一つ言っていない状況にも関わらず、悲劇のヒロインばりに半泣きのリゼット。


 エドウィンはリゼットを庇うように、自分の後ろに控えさせる。


「いえ、だからわたくしは褒めただけで……」

「もし、何かした場合、覚えておくように」

 

 ダリアが否定する言葉もエドウィンにより遮られてしまった。


 なぜか、悪い方向にしか話は進まない。これが悪役令嬢の運命の力なのだろうか。

 誤解を解こうと話せば話すほど、悪く受け取られてしまう。


「ダリア様、ここはいったん引きましょう」

 膠着状態である今、何を話しても受け入れられないような気がした私は、取り巻きのふりをしてダリアに話しかけ、一旦この場から離れることにした。



 少し離れた場所に退避した私達。


「ダメだわ、悪いようにしか話が進まない」

 ダリアは先程の会話から疑心暗鬼になっている。


 その後もエドウィンとリゼットの2人に接触しようと試みる私達。……しかし、先程同様に悪い方向にしか話は進まず、文化祭イベントは私達の前で次々と進められていった。

 これでは未然に他のイベント開始を防ぐことも叶わない。


 ついに、私達の苦労も虚しく、暗雲が立ち込める中、文化祭は終わったのだった。



ーーそして訪れた後夜祭、リゼットが待つ場所に現れたのは……エドウィンとその側近だった。


 エドウィンルートを避けようとしているのに、ルート選択を加速させるチャンスを与えてしまうことになったのだった。


 後夜祭では、生徒たちによる光魔法のイルミネーションが披露されている。

 本来ならダリアがこの様子を嬉々として実況するのだろうが、今はそんな気力がないらしい。よほど状況の悪さに落胆しているようだ。

 私もあまりに順調に進まない現状をとても悔しく思った。


 力なく座っている私たちの前でリゼット達は楽しそうに会話を弾ませていた。


「「パララ、ララリラーン!」」


 ゲームのクリア音が高らかに響き渡る。イベントクリアがされたようだ。

 明るい音程なのに、こんなにも腹が立って聞こえるのはきっと私達の心情を察しない音楽にイラっとしていまったからだろう。


「ダリア様、私がいながらこんなにも力になれないなんて……力不足で本当に申し訳ございません」

「いいえ、私も自分で何にも出来てないのだもの」

「運命の力に抗おうと頑張っても空回りばかりで……悔しいです」

「そうね、どうしたらいいのかしらね」


 2人で大きなため息をついたのだった。


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