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STEP0-2 『シミュレーション結果:蒼馬梓が日記をつけていたなら(3)』より抜粋-1

 俺はユキマイのイヌになった。

 待遇はよすぎるほどだ――本当に『ただの』イヌで済むとは。

 此花には、感謝してもしきれない。

 命の恩を返すチャンスをもらえたこと、ナナやおにーちゃんの側にいられること。心底マジにありがたい。

 俺はやつらのために、全力を尽くす。この命に代えてもだ。



 ナナとロクにーちゃん、スノー以外の七瀬は俺を睨んで避けて通る。

 騎士長は俺を親の敵のように扱う。

 逆にすでにその程度だけとか、こいつらおかしい。

 此花にいたっては俺と仲良くしたそうにしてやがる。

 まずい。それだけはまずい。

 ゆきを介して騎士長に頼み込み、接触禁止にしてもらう。少しだけ安心した。



 此花は不満そうだ。

 現世では記憶を飛ばしていないはずなのに、なぜ俺と仲良くなんぞと思えるのだ。

 間に立つ騎士長やナナが気の毒なほどだ。

 それは、俺だって許されるなら……。

 絶対にないことだと聞いているが、あの頃の記憶が戻ったらこいつはどうなるのだろう。

 同じ目に遭わされる覚悟はできているし、いっそそうされてしまいたいとすらときに思うが、家族と友ができてしまったいまはもう、そのエンドにだけは行けない。



 出張のシゴトだ!

 此花と離れるのは惜しい、が、間違っても触れずに済むと考えれば、ありがたいことだ。

 そうして忙しく働き続ければ、きっといつか、浄化することが出来る。

 此花はいまや何に変えても守らなければならない者たちのひとりなのだ。絶対に絶対に手を触れてはならない。

 ナナやおにーちゃんのそばにいると、ふしぎと清められていくような気がする。

 根っこからクソヤロウの俺が清浄な人間になることなんかはありえないが、それでも最低限、マシな男になれたらいい。ナナの友として、蒼馬家の一員としてあるのに、ふさわしい人間に。


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