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咲也・此花STEPS!! 4~もと・訳ありフリーターの俺が花いっぱいの国でにゃんこな王様になるまで~  作者: 日向 るきあ
STEP6.サクレア

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STEP6-0 シミュレーション結果:サクレアを拾った当時のサクスが、そのことを語ったら

 おれの村は、神の力に守られてあった。

 でも、一歩そとへ出れば、そこには荒野が広がっていた。

 かつては海沿いの豊かな湿原だったというそこは、いまや山の上、草も満足に生えない永久凍土。

 父上から教わったことによれば、長い年月をかけて土地が隆起するにつれ、この地は海から遠ざけられた。

 同時にここの南、海だった場所に新たな陸地が現れた。

 イメイと名づけられた新天地は、このユキマイから流れ下る水のおかげで、肥沃ないい土地となった。

 ここが寒冷できびしい土地になるにつれ、おれたち以外の人々は、みんなその新天地へ下りていった。

 ――みんな、しあわせを求めて旅立った。

 なのに、そこでは今、もめごとが起きまくっているらしい。

 村のさかい目に生える大きな木の下でお弁当を食べながら、おれは妹のルナに言った。


「信じられるか、ルナ?

 おれたちがこうしてる間にも、イメイではもめごとが起きて、だれかが死んだり、傷ついてるなんて」

「いいえ、お兄さま。

 ……正確に言うと、信じたくない、ですわね。

 皆さま、もっと幸せになれるはずと信じて、この山を下りていかれたはずなのに」


 優しいルナも、うれい顔だ。

 ルナは、幼いながらも才能を認められて、竜神の巫女として修行している。

 竜神の巫女は、村のお社で『トロン』に祈りをささげ、この村を助けて守ってもらうお仕事だ。

 つまりは、村のそとのことについては、助けてやれないということだ。


 父上はかつて、アユーラの乱を和解でおわらせた偉大な賢者だという。

 でもいま、イメイにいってやることはできない。

 村長として、父親として、おれたちをめんどうみなきゃいけないからだ。

 おれやルナが一人前になるまでには、まだ何年もある。

 それをほうりだしていくことは、父上には絶対できないことだという。


 おれだって、ルナをほっぽり出して、旅には出れない。

 けれど、思う。


「このユキマイの地が、もっと元気だったらな。

 そしたら、みんな戻ってきて、なかよく平和にくらせるんじゃないか?

 この地は、傷つき、病んでいるんだ。

 この地の化身が、そうなってるんだ。

 おれの、ぜんぶをかけてもいい。

 そいつをみつけて、いやしてやれたなら――」


 そのとき、がさり。

 すぐそばの草むらから、小さな音がした。

 見ればそこには、汚れた毛並みもボロボロの、小さな小さな子猫が、虫の息で横たわっていた。


 おれはとっさに服をぬいで、そいつをそっと包んだ。

 そしてルナに『いやしの水』をかけてもらいながら、せいいっぱいそっと、うちまでつれて行った。

 村に入ると、皆が合流してきた。

 ライバルのシャサ、おとなしいけどあたまのいいイサをてはじめに、みんなが子猫を心配してついてきた。

 先回りしたシャサにうちのドアを開けてもらうと、おれは叫んだ……


「父上! こねこ! たすけてやって!!」


 それが、おれとサクレアのなれそめだった。

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