第3話
俺が追いついた時には、馬車はすでに街の近くに差し掛かっていた。それを遠目で見つけた俺は一安心し、安堵の息を吐いた。後はゆっくりと御者の兄ちゃんのところに行けば問題ないと判断し、剣と銃をしまいゆっくりと歩く。
その道中に、ある一団と遭遇した。
「旅の人ですか!?」
一団のリーダーと思われる青年は切羽詰まったように、俺に問い詰めた。俺は確かに旅をしている者ということでああと軽く返事をした。すると後ろにいた僧侶のような可愛らしい女の人が俺に走り寄り、焦った口調で俺に問い詰めた。
「全身血まみれですが、お怪我は!?」
俺は不思議に思い、体を見ると、魔獣との一戦交えた時の返り血に気づくことなく、ここまで来たようだ。水浴びすることも忘れて、依頼主の安否を確認してて立派な傭兵だと心の中では思っていた。
「アナに勇者様、大丈夫みたいヨ? この人、相当な手練れみたい」
弓を担ぐ一人の妖艶な女の人が俺の体をひとしきり見て、肩に手を置いて先ほどの僧侶 アナと呼ばれていた子に安心するように伝える。流石のアナちゃんも胸に手を当てて、安堵の息を付く。
「勇者殿、彼が御者が言っておった傭兵殿では? 聞いた人相と服装が一致する。返り血まみれとは驚きましたが」
「そうかもしれないな。あの……」
勇者は後ろに控えていた戦士の言葉を聞き、俺に向かって質問を投げかける。戦士が御者と言っていた以上、御者の兄ちゃんが心配してくれていることに少し驚く訳だが。
「君に襲われて、命からがら逃げてきたって言っていたが、どうなんだい?」
前言撤回。あの野郎、魔獣と俺をすり替えやがった。あいつの中で魔獣は存在しないものと見なしていやがる。それを鵜呑みにする勇者も勇者だ。この返り血について俺はどう説明すりゃいいんだよ。全く傭兵の足元を見やがって……そもそも俺は傭兵なんてチンケな職業なんざ死んでもしねぇっつの。それでも、御者がそういうことについてもなんとなく世界情勢的な見解としても、言い訳する理由かつ十分な言い分なんだが。
「御者のヤローが言ってんだったら、正しいんだろうさ。今俺は魔獣に襲われてな、御者には護衛依頼を受けてたが、依頼料の高騰もあって、俺に襲われたことにして傭兵ではなく王国兵に依頼する方向性にしようとしてんだろうよ」
仕方のないことよ、と俺が一言締めくくったら、その言葉を受けてアナちゃんは悲しそうに今にも泣き出しそうな目で俺のことを見ていた。なしてそんな目で俺のこと見れるんだろ。不思議な子だなー。なんとなく彼女は出家して修道院から出てきたばかりだから、そんな目ができるんだろう。
哀れみは何も生まない。せめてそんな顔をしないことをおすすめしたいということを心の中にとどめておく。
作者的に勇者は個人的にムカつくキャラにしようと必死ですから、いろいろ自分本位にムカつく行動ばかりするようにしていきます。




