第13話
「何をしている! 誰か援軍を……!」
「呼ばせる訳ないだろう? 隊長殿?」
ホールドアップした兵士の手足を銃で撃ち抜き、逃げようとした兵士に対して回り込み、恐怖に怯えた表情の兵士が大ぶりに槍で俺の心臓目掛けて突こうとし、それを左脇を空過するように突かせる。そして、槍を脇で抱え込み、回転しながら兵士をどこかに回し飛ばす。
その瞬間に他にいた兵士ごと薙ぎ倒し、隊長が援軍を呼ぼうとしたところで、後ろに立つように走って、銃を後頭部に当てている状態だ。ここで援軍を呼ばれると厄介だ。
「貴様……一体何者だ? 勇者、英雄、騎士によって叩き込まれた精鋭たちだぞ?」
どうやら、魔王を倒すということだけで、三傑は手を組んだ。そして、戦争を行うかのように魔王と戦ったようだ。推測の域は出ないのだが、それにしても、精鋭たちとはいえ弱すぎる。
だから……
「精鋭か……まだまだヌルいな。よくこれで精鋭と言えたな、本当の精鋭ではないのだから」
隊長はそれに肩を驚いたかのように揺らした。図星か、まあ出世のための点数稼ぎってところか。銃をホルダーに仕舞って、隊長の横を素通りする。
「待て! 何も言わないのか?」
「何か言えとでも? もっと修練を詰めば良い部隊になる。鍛錬しな、以上」
それ以外何も言うことはない。不審者だから、質問して、場合によっては捕縛。間違ってはいないし、職務を全うしている。悪くない隊長だ。判断次第では打首ものだから、補佐が居れば街道周辺の警備部隊として素晴らしいものだ。
そういうことを考えながら、また街をブラつくことにした。
「勇者、英雄、騎士の三傑がこの街で一休みすることがわかった。我々民衆で彼らを労おうではないか!」
平和の一助となった三傑が街で休息を取るとの情報を得た語り部は高らかに、そして誇らしげに声を上げた。魔王討伐の功労者達を労うことに名声を得ることができる。そんなヒトの欲望が見え隠れしていた。しかし、俺はそんなことを気にせず、今ここで彼らに会うことは悪手と考えた。
この街から出ることを優先した。
しかし、街の入口は全て閉鎖。兵士達の粋な計らいなのかどうか、俺にとっては余計なお世話とも言えることをしてくれた。まあ、今の俺の風貌で気付く三傑ではないはず。だから、今は大衆と共に拍手を送り続ける一町民となればいい。今は20数年前に共に戦ったことがあるものであることを隠さねば行けない。
遂に、伝説の三傑は街の入口に差し掛かり、凱旋を始めた。




