前口上
時は精霊二〇十七年、精霊大王様が天下を差配する、不思議の国。
春・夏・秋・冬、それぞれの季節を司る女王様がおりました。
女王様たちは決められた期間、交替で大念塔に住むことになっています。
女王様達は一年十二カ月を四つに分け、三カ月ずつ塔の祈祷の間に置いて、昼夜を問わず繰り広げる荒行、大念法俸四季天変の行を行います。そうすることで、その国にその女王様の季節が訪れるのです。
ところがある時、いつまで経っても冬が終わらなくなりました。
冬の女王様が塔に入ったままなのです。
辺り一面雪に覆われ、このままではいずれ食べる物も尽きてしまいます。
困った精霊大王様はお触れを出しました。
冬の女王を春の女王と交替させた者には好きな褒美を取らせよう。
ただし、冬の女王が次に廻って来られなくなる方法は認めない。
季節を廻らせることを妨げてはならない。
そして、それとは別に、大王様は春の女王様に仕える一人の春忍に、密命を与えるのです。
何故冬の女王様は塔を離れないのでしょうか。
何故春の女王様は塔に訪れないのでしょうか。
その裏でうごめく陰謀とは。
さあさ、忍法帳開幕の時間と相成りました。
嫌な予感がしました皆様は、どうぞブラウザバックのお時間でございます。
問題ないと仰る奇矯物の皆さまは、どうぞ馬鹿馬鹿しいわらべかたりに、お付き合いを……。