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サンタクロース株式会社  作者: 所長
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「サンタクロースの願い?」

 戸惑い尋ねる僕に、女の子はこくりと頷いた。

「サンタクロースはみんなの為に祈ってるって、お母さんが言ってたの」

 僕は促すようにひとつ首を縦にふると、女の子は話を続けた。

「それでね、考えたの。いっぱい考えてたらね、サンタクロースの願いを祈る人が居ないなって思ったの」

 僕は首を傾げた。

 女の子が満面の笑みを浮かべた。

「だからね、私がサンタクロースの願いが叶うように、お祈りしようと思ったの」

 そう言うと、女の子は僕の手を取って、小さな手で包んだ。

 僕は僕の右手と、女の子の両手を見つめた。

「僕の願い?」

 つぶやくように、僕は聞いた。

「うん」

 頷くと、女の子は小首を傾げて僕を見た。

 女の子の言ったことは、僕にはあまりにも唐突で、衝撃的だった。

 子ども達の願いを祈るサンタクロースの願いを祈る子ども。

「…願い事、無い?」

 黙り込んだ僕を、心配そうに女の子が見ながら言った。

「僕が、願う事?」

 僕は目を閉じて考えてみた。

 僕が真に願う事。

「それとも、私が祈っても、サンタクロースの願い、叶わない?」

 耳から滑り込んできた言葉と、その不安げな声音に、僕ははっとして、目を開けて女の子を見た。

 少し泣きそうな目と、頑張って笑みを浮かべる口元。

 女の子の不安定な表情を見て、なんとなく僕は、僕の鏡を見ているように思った。

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