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サンタクロース株式会社  作者: 所長
2/7

 その女の子は、お母さんの手料理を食べながらTVを観ていた。

 大雪の景色。

 キラキラのイルミネーション。

 いつもより着飾ったTVの中の人達。

 そして、サンタクロースの格好をした街のお店の人達。

「お母さん、サンタクロースなんて居ないよね」

 お母さんは食事をしていた手を止めて、女の子を見た。

 お母さんからの返事がかえってこなくて、女の子はTVから目をお母さんに移した。

 お母さんは困ったような笑顔を浮かべていた。

「お母さん?」

 女の子は尋ねた。

 お母さんは静かにフォークを置いて、グラスのワインを少し飲んだ。

 そして少し間、お母さんは目を閉じた。

「あのね、サンタクロースはちゃんと居るのよ」

 ゆっくり目を開け、お母さんは女の子を真っ直ぐに見つめて言った。

「うっそだぁ。友達の家はお父さんがサンタクロースやってるって言ってたよ」

「そうね…それもサンタクロースだけど、世界にはちゃんとサンタクロースが居るの」

 女の子は天井を見て、その向こうの空を思い浮かべた。

「トナカイとか空飛ぶの?ソリにプレゼントいっぱい積んで?」

 お母さんはゆっくり首を横に振った。

「サンタクロースがくれるのは、もっと素敵なプレゼントよ」

 女の子は目をまるくしてお母さんを見た。

「たった一つ、その子の真実願うことが叶いますようにって、祈ってくれるのよ」

「それが、素敵なの?」

 お母さんは小さく頷き微笑んだ。

「世界中の子ども達の願いを、全て共に寄り添って祈ってくれるのよ。素敵だと思うわ」

「…ふ~ん」

 女の子は何か考えながら、温かいスープを飲んで、またTVに視線を戻した。

 お母さんは、TVを見る女の子が見ているだけで見ていない様子を見て、少し驚き、幸福そうに小さく微笑んだ。

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