第6話
自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓
http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64536125.html
高等部に入って初日が終わった。
先生は用事でもあるのか、さっさと教室を出て行ってしまった。
いろいろ話したいことあったんだけど……まぁいいや。
「ねえねえ!」
いきなりフィルさんがみんなに話しかけてきた。
「折角だし、これからどこかでご飯でも食べない?」
「お、いいね!」
「うん、行こっ」
「……いいよ」
私、メーノ、ルーシーさんはOK。だけど……
「私はパスだ。それじゃあな」
やはりシオンはこういう。
「ちょっとシオン!」
「なんだ? 私だって暇じゃないんだ。行こうが行くまいが私の勝手だろう。それとも、力で屈服させるか? お前の方が『まだ』強いだろう」
「むぅ……」
春休みのちょっと会わない間にトゲトゲ度が増してる気がする。何かあったのだろうか?
「いいわ。その代り、たった5人のクラスで孤立しても知らないんだからね」
「ふん、もともと慣れ合うつもりはない」
そう言って、シオンは教室を出て行ってしまった。
「ごめんね~。シオン悪い奴じゃないんだけど」
「いーのいーの。まだ始まったばかり、これから仲良くなっていこう!」
「そだね」
……そうは言ったものの、中等部時代まったく仲良くなれなかった私が、しかもなんか敵視されてる私が、彼女と仲良くなることなんてできるんだろうか?
教室を出た私たちは、学園内にある食堂へと向かった。
全寮制だが、各自食事は授業に間に合えば自由。だから、朝昼夕全部食堂という人もいれば、街に出てファミレスやファーストフード店に行ったり、食材を買ってきて自分で作るなんて人もいる。私やメーノはほぼ食堂。外で食事できるほどお金ないしね。
「今日はガラガラだね~」
「中途半端な時間だし、みんな今日は出かけてるんじゃないかな」
食堂は夜中以外ずっと開いているから、とても便利。
食事というにはまだ早いので、4人分の飲み物とポテトとかの軽食をいくつか買い、テーブル席に座る。
「えーと、どうしようか。精鋭クラスかんぱーい、でいい?」
「うーん、まあいいんじゃないかな?」
「それじゃあ、精鋭クラスかんぱーい!」
『かんぱーい!』
フィルさんの号令で、4人で乾杯をする。
「で、どうしようか?」
「え、てっきりフィルさん何か考えてるのかと……」
「あはは……、なんかこういう時は集まってご飯!って気がして。あと、あたしのことは呼び捨てでいいよー」
「そう? じゃあ私も呼び捨てでいいよ」
「えぇ、恐れ多くてそんな……」
「なーに言ってんの、同い年でしょ」
「う、うん。じゃあよろしくね、フィーネ」
「よろしく、フィル」
うーん、こういう感じなんか久々だなぁ。彼女は活発だし、いろいろ楽しくなりそう。
「……で、そこの2人はいつまで黙ってるの?」
「うっ」
「……ん」
さっきから一言も発さないメーノとルーシーさん。2人とも人見知りなタイプだから仕方ない気もするが……。
「ほらほら、これから3年間一緒に過ごしてくんだから、今から仲良くしよ!」
「め、メーノです」
「……ルーシーです」
「え、えっと……私、人見知りでフィーネちゃん以外あまり友達って呼べる人いないから、仲良くなってくれる?」
「……私も、ずっと研究してて仲良い人いない。是非」
「あ、ありがとう! これからよろしくねっ」
「……よろしく」
メーノとルーシーさんが握手。この2人はほんと、気が合いそうだ。
その後、私やメーノの春休みの旅行の話とか、フィルの実家の話とか、ちょっと理解し切れなかったけどルーシーの研究の話とか(呼び捨て許可もらった)、いろんな雑談をしてるうちにあっという間に夕方になった。
「おー、もうこんな時間か」
「どうする? 夕食も一緒に食べる?」
「あー、ごめん。精鋭クラス祝いに両親が急遽こっちに来るんだ」
「……私も、ちょっと用事」
「そっかぁ。まぁ今日くらいは仕方ないね」
「明日からは一緒に食べよう!」
「うん! それじゃあね」
「……ばいばい」
「また明日~」
フィル、ルーシーと別れた私たちは、とりあえず寮に戻ることにした。
その道中。
「ふぃ、フィーネちゃん!」
「ん、どうしたの?」
「帽子のポンポンが1つないよ!」
「え」
帽子の後ろの方を触ってみる。中央からひもで繋がったポンポンが2つ……ない!
「メーノ! 探すよ!」
今後の作品・ストーリーの参考にしたいので、感想・意見等あれば是非お願いします!