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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

自証行為

作者: 630かに

白い華奢な手首に薄い皮膚が覆い、血管が青く映る。

そこに平行にカッターナイフをあてがい、浅く、引く。


すると血が珠になって、緩やかに流れていく。


裂けた皮膚と細かい血管が切れる痛みに、生理的な涙を浮かべ眉を寄せる。


生きている故の痛み。生を実感する瞬間というのは何故こんなにエクスタシーを感じるのか。


思わず同じように真っ直ぐカッターナイフを走らせてしまう。手首に浮き上がる細い骨を覆う皮膚を切る時は刺激的だ。

間もなく手首は真っ赤に染まり、興奮から少し深く裂いてしまった部分もある。


痛みに嗚咽が出て、鼻腔が染みるように痛み、涙腺を刺激する。


完全に忘我してしまったようだ。今日は一段と酷い。死ぬつもりは無いから馴れた手付きで消毒し包帯を巻く。

生を実感するための自傷行為で死んでしまっては意味が無い。


止めたくたって、もうどうしようも無い。

だってこの上なく感じるのだ。生を、自分の存在を。


浮き世の娯楽なんかたかがしれてる。そんなものから快感なんて感じない。


被虐趣向で飄々としてなきゃ生きて行けない。虐げる者も虐げられる者も分別できないし。ただ、虐げられている者である今だけは。この痛みに溺れて生を棄てないでいたいのだ。

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― 新着の感想 ―
[一言]  ここまでリアルに鮮明に、情景や心情が描けるのですから、小説として、主人公がどんな日常を送っているか、どんな人間であるかなどを描いたらすごくいいと思います。
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